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第1編 ≪人事行政≫

第1部 ≪人事行政の動き≫

第1章 人事行政この1年の主な動きと今後の課題

II 人材の確保


1 採用試験の実施状況

平成11年度の雇用情勢は、完全失業率が平成11年4月には過去最高の4.8%を示し、その後も4%台後半で推移するなど極めて厳しい状況にあった。

公務員試験の申込者数は、ここ数年、経済の停滞にもかかわらず減少してきたが、平成11年度は各大学における学生説明会の拡充及び学生を対象とした新たな企画の「霞が関ツアー」の開催をはじめ積極的な募集活動の展開等もあり4年ぶりに増加に転じ、同年度に人事院が実施した公務員試験の申込者の総数は、前年度に比べ16.6%増の274,253人となった。

試験別では、大学卒業程度の試験であるI種、II種試験でそれぞれ前年度比13.4%、13.2%の増、高等学校卒業程度の試験であるIII種試験においても同17.7%の増となった(図1)。

図1 国家公務員採用試験(I種・II種・III種)の申込者の推移

2 募集活動の充実・強化

人事院は、多様な有為の人材を公務に確保することは行政の将来を左右する重要な要素であるとの認識から、積極的に募集活動に取り組んでいる。平成11年度は、従来からの募集活動に加え、1)各省庁の参加も得て、実際の行政課題をテーマとする公開講座「学生のための霞が関フォーラム」を札幌、東京、大阪及び福岡の4都市において開催し、2)平成10年度に初めて事務系区分を対象として開催した、学生が中央省庁をめぐって業務説明を受ける「学生のための霞が関ツアー」を、技術系を含めた全区分を対象として開催した。また、3)国家公務員の実際の姿を見てもらうため、募集ガイド・ビデオ「What’s new 国家公務員?-時代が変わる、国家公務員が変わる!」を作製して全国の大学に送付するとともに、4)民間企業の採用活動の早期化を踏まえ、I種試験、II種試験等の申込受付期間を前年度より約1か月延長する措置を講じた。

さらに、公務において男女が社会の対等な構成員として政策の立案及び決定に共同して参画する機会を確保することの重要性にかんがみ、意欲と能力のある女子学生を公務に誘致するため、新たに1)「女性公務員による女子学生のための霞が関セミナー」を東京において開催し、また、2)「女子学生のための公務講演会」を開催した。

今後も、各省庁と連携し、公務の具体的な姿を学生に直接伝えることを重視した募集活動を幅広く行っていくことにより、公務への意欲を持った多様な有為の人材の確保に努めていくこととしている。

3 採用試験の改善

適正な競争試験により優秀な人材を公務に確保するため、人事院は、採用試験の種類、方法等についても、様々な改善を行ってきている。

(1) I種技術系試験区分の再編

行政環境が著しく変化する中で、技術系行政官については、特定の限られた専門分野に通じている人材だけでなく、将来の行政の中核を担う者として養成していくにふさわしい基礎的素養を持つ人材を確保することが求められている。また、I種技術系試験区分においては、これまで、専門性を中心に細分された区分が設けられ、採用後の育成等もこれに対応して行われており、このことがセクショナリズムの弊害等の原因となっているとの指摘もなされている。

人事院は、これらの状況を踏まえ、I種技術系試験区分の再編(大くくり化)について、各省庁の意見も聴きつつ検討を行った結果、平成13年度試験から「行政」・「法律」・「経済」の区分を除く25区分を10区分に再編することとした。

再編後の新区分(かっこ内は区分についての説明)
  • 1)人間科学I(心理系)
  • 2)人間科学II(教育・社会系)
  • 3)理工I(一般工学系)
  • 4)理工II(数理科学系)
  • 5)理工III(物理・地球科学系)
  • 6)理工IV(化学・生物・薬学系)
  • 7)農学I(農業科学系)
  • 8)農学II(農業工学系)
  • 9)農学III(森林・自然環境系)
  • 10)農学IV(水産系)

新区分の専門試験については、専門分野に関する基礎的素養を問う問題に加え幅広い応用力を問う問題を出題することを基本とし、大学等で自身の専門分野を勉強し、かつ行政や社会に対する関心を持っている受験者であれば対応できる内容とし、具体的な出題分野について学生等に周知を図っている。

(2) 人物の重視

行政をめぐる情勢が大きく変化する中で、公務においては、従来以上に柔軟性や創造性などの多様な能力・資質を有する有為の人材が求められている。

人事院では、このような能力・資質を有する人材を確保する観点から、知識・学力面の評価に加え人物的な側面をより重視する方向で採用試験を改善してきているが、さらに、人物試験における評価方法や評価者の在り方について検討し、人物試験の評価結果を従来以上に合格決定に反映させる方向で検討を行っているところである。

(3) 試験日程等

平成9年度の就職協定の廃止以来、多くの民間企業において採用活動が一段と早期化したため、平成11年度は、大学卒業程度の試験であるI種試験、II種試験、国税専門官採用試験、労働基準監督官採用試験及び法務教官採用試験の受付開始時期を早め(5月6日→4月2日)、受付期間を延長(8日間→42日間)した。

4 民間人材採用の円滑化

内外の社会経済情勢の激しい変化に的確に対応して国民の期待する行政を遂行していくためには、柔軟で機動的な行政運営を図っていくことが必要であり、これら行政に当たる公務員について、新規学卒者等の部内育成を基本としつつも、部内育成だけでは得られない多様な有為の人材を確保していく必要がある。

人事院では、こうした観点から、平成10年3月に「公務の活性化のために民間の人材を採用する場合の特例」に関する規則を整備し、これによりこれまで相当数の公認会計士、弁護士、金融の専門家などが採用されているが、さらに、公務外における実務の経験等を通じて公務に有用な知識経験等を有すると認められる人材の採用を一層円滑化するため、任期付採用を含む民間人材の採用システムに関する新たな制度の整備について検討を進めているところである。

なお、こうした制度面の整備に加え、各省庁における民間人材の採用を支援するため、平成11年度に、人事院ホームページにおいて、民間人材採用サポートシステムの運用を開始した。


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