前(節)へ 次(節)へ

第1編 ≪人事行政≫

第1部 ≪人事行政の動き≫

第1章 人事行政この1年の主な動きと今後の課題

III 能力・適性に基づく人事管理の推進


1 試験区分の別等による固定的な人事管理の見直し

採用試験の種類・試験区分等を基本とした人事管理については、昇進コースの固定化や同一年次同時昇進などの硬直的な人事運用の結果、一部職員の誤った特権意識や組織活力の低下につながるなどの弊害がみられる。このような固定的な人事管理を見直し、柔軟で弾力的な人事管理を推進することが必要である。

とりわけ、事務官、技官等の別による固定的人事管理については、狭い職種に限定した配置や昇進コースの固定化など細分されたグループ内での閉鎖的な育成・昇進管理が人材の育成と能力の活用を阻害し、セクショナリズムの弊害等の要因となっているとの指摘がある。行政が様々なニーズに柔軟に対応するためには、事務官、技官等の別にとらわれない、職員の意欲、能力、適性等に応じた柔軟な人事運用を推進し、様々な分野の素養を持つ人材の中から行政を支え得る幹部職員を育成・登用していくことが必要である。人事院は、各省庁と緊密な連携をとりつつ、この推進を図っていくこととしている。

2 II種・III種等採用職員の幹部職員への登用

公務の一層の活性化を図るためには、能力・適性に基づく人事管理の徹底が求められており、その一環として、意欲と能力のある優秀なII種・III種等採用職員の幹部職員への登用を一層推進していくことが必要である。

そのため、人事院は、意欲と能力のある優秀なII種・III種等採用職員の早い時期からの選抜、計画的育成等についての具体的な手法を盛り込んだ「II種・III種等採用職員の幹部職員への登用の推進に関する指針」を平成11年3月に各省庁に示すとともに、平成11年度には登用施策の一環として、各省庁が選抜し、幹部登用に向けて計画的に育成しようとしている「計画的育成者」を対象とした「行政研修(係長級特別課程)」を実施した。さらに平成12年度には「行政研修(課長補佐級特別課程)」を新たに実施することとしている。なお、この研修受講者について、人事院は、その人事配置、昇任等についてフォローアップを行うこととしている。

さらに、各省庁の人事担当課長で構成する「II種・III種等採用職員登用連絡協議会」を定期的に開催し、各省庁と意見交換、情報交換等を行いながら、登用を着実に推進していくこととしている。

3 能力、実績等の評価・活用に関する検討

職員の能力を十全に発揮させ、行政の複雑・高度化の下で、国民に対して質の高い行政サービスを効率的に提供していくためには、上記の施策をはじめ、能力、適性に基づいた適材適所の人事配置・昇進管理や専門職等の活用による複線的な人事管理を行うとともに、能力、実績を重視した給与処遇を行う必要性が高まっている。

このような昇進管理や給与処遇等を実現するためには、職員の能力、実績等を公正、適切に評価するためのシステムを整備することが極めて重要である。

人事院は、この問題について、平成11年9月に関係分野の専門家8人の参加を得て、「能力、実績等の評価・活用に関する研究会」(座長:笹島芳雄明治学院大学教授)を設置した。

同研究会では、各省庁における人事管理の実情等を把握した上で、民間企業や諸外国政府における能力、実績評価に関する制度や運用の状況等も参考にしながら、公務組織における人事管理及び人事評価システムの実状と問題点の分析、公務におけるこれからの能力、実績等の評価の在り方、方法等について、実質的かつ専門的見地から幅広く検討が進められており、近く中間報告が提出される。


前(節)へ 次(節)へ
© National Personnel Authority