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第1編 ≪人事行政≫

第1部 ≪人事行政の動き≫

第1章 人事行政この1年の主な動きと今後の課題

IX 勤務環境の整備


1 超過勤務の制限

我が国全体の目標である年間総実勤務時間1,800時間達成・定着に向けて、時間外労働の縮減は官民問わず大きな課題となっており、民間においては、長時間にわたる時間外労働の抑制を図るため、時間外労働協定で定める時間数の上限について労働基準法に根拠が設けられた。

公務においても、職員の適正な勤務条件の観点から、長時間の超過勤務はできる限り上限時間を設けて抑制していくことが望ましく、人事院ではこのような認識の下、平成11年4月1日から「超過勤務の縮減に関する指針」を施行し、年間360時間を上限の目安として超過勤務をさせないよう努めることを各省庁に求めている。

2 育児又は介護を行う職員の深夜勤務及び超過勤務の制限

小学校就学前の子を養育する職員や要介護者を介護する職員については、職業生活と家庭生活の両立を図る上で、深夜の勤務や長時間の超過勤務に対する配慮がとりわけ必要とされることが多いと考えられる。このため、これら職員が請求した場合には、深夜勤務や年間360時間を超えた超過勤務をさせてはならないこととする規則10-11(育児又は介護を行う職員の深夜勤務及び超過勤務の制限)を平成11年4月1日より施行した。

3 国立大学教官の勤務の在り方に関する検討

現在、一般職非現業職員については、裁量勤務制の適用を受ける招へい型任期付研究員を除き、あらかじめ勤務時間が割り振られ、それに沿った勤務をすることが求められている。

しかし、国立大学教官は、学生に対する教育業務のほかに、本人に時間配分をゆだねた方が能率向上に資すると考えられる研究業務等を行うなど、一般の職員とは相当異なる特性があり、通常の勤務時間制度をそのまま適用することにはなじみにくいのではないかとの指摘がある。さらに、大学教官は、今日、その高度な専門的知識をいかした学外での社会貢献もますます求められてきており、このような観点からも勤務時間の在り方を改めて考えていく必要が生じている。

このため、人事院は、平成11年6月に有識者からなる「大学教官の勤務の在り方に関する研究会」(座長:塩野宏成蹊大学教授)を設置し、勤務時間制度を中心に、社会の要請に対応し得る国立大学教官の勤務のあるべき姿の検討を依頼し、同年11月、研究会より報告書が提出された。

この報告書の主な提言は、国立大学教官につき、勤務時間は1週当たり40時間のままとしつつも、各教官が自らの判断で実際に勤務する時間帯を選択できるよう、事前の割振りは行わず、この時間を勤務したものとみなす、いわゆる裁量勤務制を導入すべきとの点にある。

あわせて、同報告書は、このような措置の導入の際には、適切な職務遂行を担保するための方策や適切な業務量を確保するための歯止めについても検討するよう求めている。

人事院では、この報告書を基に、関係者の意見を十分踏まえながら、検討を進めている。

4 セクシュアル・ハラスメント防止対策の推進

セクシュアル・ハラスメントは、官民を問わず、個人の基本的な人権にかかわるとともに、職員の勤務条件や勤務環境に重大な影響を及ぼし職員の能率発揮にかかわる問題であることから、人事院では関係方面の意見等を踏まえ、アフターファイブにおける言動を含む防止対策等について規定した規則及びセクシュアル・ハラスメントになり得る言動を例示した指針等を定め、平成11年4月1日より施行した。

この規則を受けて、各省庁においては、部内規程が作成され、職員に対する研修及び苦情相談体制等の整備が行われた。また、人事院は、同年12月に「国家公務員セクシュアル・ハラスメント防止週間」を新設し、その期間中にシンポジウムの開催やセクシュアル・ハラスメントホットライン(一日110番)の開設を行った。

今後は、各省庁の防止対策の実施状況及び職員の意識等を調査し、セクシュアル・ハラスメント防止対策のより組織的、効果的な推進を図ることとしている。

5 メンタルヘルス対策の充実

職員の健康の保持・増進のためには、身体面だけでなく、精神面の健康管理も重要である。人事院は、精神科医等で構成される「メンタルヘルス対策推進のための指導委員会」を設置し、各地での講習会や講演会の開催等を通じて各省庁におけるメンタルヘルス対策を支援するなど、従来から積極的な取組を進めてきた。

近年、社会環境、職場環境が大きく変貌する中で、新たなストレス要因が加わるなどの状況にあり、人事院は、指導委員会の協力の下に、近畿事務局に次いで東北事務局にもメンタルヘルス相談室を開設したほか、新たに本省庁の健康管理関係者を対象としてメンタルヘルス専門講習会を実施するとともに、職場不適応などの身近な事例研究等を内容とする情報提供誌「こころの相談室」を年2回発行し、各省庁に配布した。

自殺防止をはじめメンタルヘルス対策は、予防と早期発見が重要であることにかんがみ、今後、メンタルヘルス相談室の拡充、「こころの相談室」の定期発行、メンタルヘルス教育の強化に加え、メンタルヘルス相談員の養成の在り方について検討を進めることとしている。


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