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第1編 ≪人事行政≫

第1部 ≪人事行政の動き≫

第1章 人事行政この1年の主な動きと今後の課題

XI 新たな研修の取組


1 幹部公務員に対する研修の実施

公務を取り巻く環境が大きく変化し、行政運営や組織管理の舵取りが非常に難しい時代となっている。このような状況の中で、国民の信頼と期待にこたえる行政を進めるためには、幹部公務員が高い倫理観を保持するとともに、公務員の役割についての認識を深め、公正で透明性の高い行政の実現に積極的に取り組んでいく必要がある。

このため、平成11年度は、初めての試みとして、本省庁の局長、審議官及び管区機関の局部長を対象として、各界の有識者を交えて、公務員としての職業倫理やこれからの幹部公務員の役割と在り方について基本に立ち返って考える「行政エグゼクティブ・フォーラム」を開催した。同フォーラムは、全国9都市で延べ11回開催し、本省庁、地方機関を合わせて、180人の幹部公務員が参加した。

今後とも、行政及び公務員に対する信頼の確保と公務全体の活性化を図るため、このような研修の充実を図っていくこととしている。

2 幹部登用のための新たな研修の実施

能力と適性に基づく幹部登用を一層推進するため、各省庁が幹部への登用に向けて計画的に育成を図っているII種・III種等採用職員を対象とした行政研修(係長級特別課程)を新たに実施した。

この研修は、将来行政の中核を担う職員に求められる柔軟で幅広い視野と高い識見を持った人材を育成することをねらいとしており、我が国が直面する各種の政策課題についての研究、研修員の所属省庁が抱える個別の行政課題についての研究、地方行政の実情を学ぶ実地研究のほか、公務員倫理や国際情勢などを主な内容として実施した。

平成11年度は2回実施し、96人の職員が参加した。平成12年度からは、係長級の特別課程に加えて、課長補佐級の職員を対象とする同様の研修コースを実施することとし、その準備を進めている。

3 海外研修の機会の拡大

今日、あらゆる行政活動が諸外国や国際機関などとの関わりを深めており、国際的な視野、経験を有する公務員を育成するための海外研修の重要性が高まっている。

このため、特に近年、各省庁の若手の公務員を海外の大学院に留学させる「長期在外研究員制度」及び中堅の公務員を諸外国の政府機関等に派遣して調査、研究に従事させる「短期在外研究員制度」による海外研修の機会の一層の拡大に努めており、平成11年度は、長期在外研究員として86人(前年度比13人増)、短期在外研究員として44人(前年度比2人増)を派遣した。

なお、平成12年度は、それぞれ106人、49人の派遣を予定するとともに、短期在外研究員については、行政研修(係長級特別課程)の修了者の中からも5人を計画的な育成策の一環として派遣することとしている。

4 人事院式監督者研修(JST)基本コースの全面改訂

JST基本コースは、係長などの初任監督者に、仕事の進め方や部下の管理・監督の基本を習得させる討議を中心とした研修コースである。

昭和26年の開発以来、人事院は時代の変化に応じて逐次改訂してきているが、前回の改訂(平成3年度)から10年近くが経過した。この間、組織のフラット化や柔軟化、業務遂行における透明性確保の要請、情報化の著しい進展など組織の在り方や仕事の進め方に様々な変化が生じている。これらの状況を踏まえ、JSTを全面改訂し、平成12年度から新しい内容で実施することとしている。

今回の改訂では、電子メールによるコミュニケーションなどの新しい題材を取り入れる一方、21世紀の行政において初任監督者に期待される役割を念頭に置いて、職制上の上司としての立場よりも自らチームを動かす主体的で自立したリーダー像を強調し、仕事の改善、改革、迅速な決断と対処方法など、より実践的で効果的な内容としている。

5 幹部公務員の意識改革等への取組

幹部公務員については、その果たす役割の重要性から、高い職業意識の下での的確な判断力や社会経済の動向、国民の意識への鋭い感性が特に求められる。

ここ数年、幹部公務員に求められるこれらの資質について疑問を抱かせる事例が相次ぎ、行政や公務員に対する国民の信頼が大きく揺らいだため、その回復に向けて、行政運営や人事管理の面での取組が進められている。

このような状況の下、なお幹部公務員に重大な不祥事がみられることにかんがみると、幹部公務員について、幹部としての使命感や倫理感、国民の立場で物事を考える感性の充実・強化が急務であり、そのための実効ある方策について広く有識者の意見も聴きつつ、鋭意検討を進めることとしている。


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