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第1編 ≪人事行政≫

第2部 ≪平成11年度業務状況≫

第1章 職員の任用

第2節 任用状況


1 採用状況

職員の採用は、公開平等の競争試験によることが原則である。試験機関である人事院及び外務省が実施した採用試験に合格した者は、採用試験の種類ごとに作成される採用候補者名簿(以下「名簿」という。)に記載され、任命権者は、当該名簿に記載された者の中から採用(以下「試験採用」という。)することとなる。

I種試験名簿から採用する場合は、任命権者からの請求に応じ、人事院が、採用候補者の志望を考慮して適当と認める人数の候補者を受験成績の高得点順に提示(推薦)し、任命権者はその中から選択し採用する。

I種試験名簿以外の名簿から採用する場合は、名簿(人事院が適当と認める名簿を含む。)に記載されている候補者の中から、任命権者が任意に選択し採用する。

その他、行政職(二)、医療職等の採用試験を実施していない官職及び原則として競争試験により採用することとされている官職のうち特別な知識、技術等を必要とする官職等については、競争試験以外の能力の実証に基づく試験の方法である選考による採用(以下「選考採用」という。)が行われている。

(1) 採用者総数

職員の任用状況の実態を把握し、任用施策等の検討に資するため、毎年「一般職の国家公務員の任用状況調査」(以下「任用状況調査」という。)を実施している。平成10年度における採用者総数は、図1-3に示すとおり31,060人(男性21,008人、女性10,052人)であり、前年度に比べ2,069人(男性1,721人、女性348人)減少している。採用者総数のうち、試験採用者は12,613人、選考採用者は18,447人(その約半数は教育職及び医療職への採用者であり、任期付研究員法に基づく任期付研究員(以下「任期付研究員」という。)は66人)となっている。

図1-3 職員の採用状況


試験採用者を試験の種類別でみると、I種試験及びこれに相当する試験による者は566人(試験採用者全体の4.5%)、II種試験及びこれに相当する試験による者は3,493人(同27.7%)、III種試験及びこれに相当する試験による者は7,986人(同63.3%)、国税専門官採用試験及び労働基準監督官採用試験による者は568人(同4.5%)となっている。これを男女別構成比でみると、男性67.5%、女性32.5%であり、図1-4に示すとおり、ここ数年間、女性の割合は30%台前半で推移している。

図1-4 最近5年間の試験採用者の男女別構成比


採用者総数を給与法適用職員(任期付研究員を含む。以下同じ。)、給与特例法適用職員別にみると、給与法適用職員は22,784人(うち任期付研究員66人)、給与特例法適用職員は8,276人となっている。採用率(前年度末在職者数に対する当該年度中の採用者数の割合)は、給与法適用職員で4.5%、給与特例法適用職員で2.6%、全職員では3.8%となっており、このうち教育職、医療職における採用率が高いのは、中途離職者が多いため頻繁に欠員補充をしなければならないこと、人事交流による採用が多いこと等によるものである。(資料1-20)

なお、給与法適用職員について、原則として競争試験により採用することとされている官職(試験対象官職)への採用者数は8,050人であり、このうち試験採用者は7,151人で88.8%を占めている。

(2) 採用候補者名簿からの採用

平成10年度の採用試験の結果に基づき作成された名簿(海上保安学校学生(特別)名簿については平成11年度に作成されたもの)からの試験採用等の状況は表1-4に示すとおりである。

表1-4 採用候補者名簿からの採用等の状況(平成12年3月31日現在)


これらの名簿からの平成11年度における採用者数は、大学卒業程度の採用試験に係る名簿から4,571人(男性3,532人、女性1,039人)、高校卒業程度の採用試験に係る名簿から8,115人(男性5,064人、女性3,051人)で、合計では12,686人(男性8,596人、女性4,090人)となっている。前年度に比べ、男性が603人、 女性が502人、 全体で1,105人減少している。

このうち、主として各省庁に共通する官職を対象とするI種試験、II種試験及びIII種試験の各名簿からの採用状況は次のとおりである。

ア I種試験名簿からの採用状況(表1-5資料1-21)

採用者数は545人で、前年度に比べ129人減少している。平成12年3月31日現在における残存者数は233人となっているが、その大半は、大学院修士課程等への進学等のため提示の延期を申し出ている者である。

表1-5 国家公務員採用I種試験の年度別学歴別の合格者数及び採用者数


イ II種及びIII種試験名簿からの採用状況

II種試験名簿からの採用者数は、3,250人で、前年度に比べ232人増加し、III種試験名簿からの採用者数は、7,415人で、前年度に比べ1,055人減少している。

各省庁に共通する行政区分について、II種試験及びIII種試験からの採用割合をみると、近年の行政の複雑・高度化等を反映して、II種試験からの採用が漸増してきている。

(3) 試験採用者と同様の取扱いを受ける採用

選考採用によることができる官職のうち、その官職の特殊性から「正規の試験」と同等の能力検証に基づき採用を行う官職への採用者については、人事院の承認を得て試験採用者と同様に取り扱うことができることとされている。このような取扱いを受ける者の採用状況は次のとおりである。

ア 採用試験に準ずる試験(規則9-8第6条第2項第2号関係)

造船工学、原子力工学等の専門的知識、技術等を必要とする官職については、採用予定数が少ないこと等から正規の試験は行っていないが、関係省庁においては、人事院の承認を得て「正規の試験に準ずる試験」を行っている。試験の内容及び方法は、正規の試験とほぼ同様であり、人事院は、教養試験問題の提供、専門試験問題の作成指導等の援助を行っている。

平成10年度においては、「I種試験に準ずる試験」として、造船工学、原子力工学、林産学、意匠学及び獣医学の5区分について、「II種試験に準ずる試験」として、畜産、水産及び造船工学の3区分について実施した。(資料1-22)

なお、平成11年度において、「I種試験に準ずる試験」により採用された者は28人、「II種試験に準ずる試験」により採用された者は26人となっている。(資料1-23)

イ 試験対象官職と同等の官職の認定(規則9-8第6条第2項第3号関係)

医学等の特殊な知識を必要とし、かつ、その職務の複雑、困難及び責任の度が正規の試験の行われる官職と同等と認められる官職に任用された者で各省庁がその取扱いにつき、あらかじめ人事院の承認を得たものは、試験採用者と同様に取り扱うことができることとなっている。

人事院の承認を受けた者のうち、I種試験からの採用者と同様に取り扱うことについて承認を受けて平成11年度中に採用された者は50人となっており、そのほとんどが研究職への採用である。

ウ 研究公務員への博士課程修了者の採用

研究職への採用について、特定の専門分野を深く研究し、相当程度の研究実績を有する大学院博士課程修了者を採用する場合には、一定の条件を満たせば、I種試験からの採用者と同様の取扱いで任命権者が独自に選考により採用することができることとしている。

平成10年度中に採用された者は、65人(前年度比24人増)となっており、採用省庁は科学技術庁、環境庁、厚生省、農林水産省、通商産業省(工業技術院)、運輸省、気象庁、郵政省及び建設省の9省庁22機関である。これらの省庁においては、それぞれの機関誌又は学会誌への募集案内の掲載や採用予定官職と関連のある大学院への公募を行い、応募者の中から論文審査等により選考を行った。

平成11年度においては、科学技術庁、環境庁、農林水産省、水産庁、通商産業省(工業技術院)、運輸省、気象庁、郵政省及び建設省の9省庁29機関が採用を計画し選考手続を行った。また、公募については、人事院ホームページにおいても情報提供を行った。

2 在職及び離職状況

平成10年度の任用状況調査による在職及び離職状況は次のとおりである。(資料1-24)

(1) 在職状況

平成11年3月31日現在の定員内職員(休職者、専従休職者、派遣職員及び育児休業職員を含み、検察官及び臨時的任用の職員を除く。)の在職者総数(同日付けで辞職した者を除く。)は810,701人であり、前年度に比べ4,256人減少している。これを給与法適用職員、給与特例法適用職員別にみると、給与法適用職員は500,548人で973人減少し、給与特例法適用職員は310,153人で3,283人減少している。

俸給表別(給与特例法適用職員については企業別)の在職者の状況は、図1-5に示すとおりであり、在職者を男女別にみると、男性は648,411人、女性は162,290人である。その構成比は男性80.0%、女性20.0%で、前年度に比べ女性の割合が0.1ポイント高くなっている。

図1-5 職員の俸給表別在職状況(平成11年3月31日現在)


なお、最近5年間の俸給表別在職者数の推移は資料1-25のとおりである。

(2) 試験任用者の在職状況

在職者のうち、採用試験に合格して任用された者(以下「試験任用者」という。)の総数は400,606人(うち女性71,323人)であり、前年度に比べ1,446人減少している。これを試験の種類別にみると、I種試験(上級甲種試験を含む。)及びこれに相当する試験による者は19,765人(試験任用者全体の4.9%)、II種試験及びこれに相当する試験による者は35,019人(同8.7%)、III種試験(初級試験を含む。)及びこれに相当する試験による者は304,836人(同76.1%)、上級乙種試験(国税専門官試験及び労働基準監督官試験を含む。)及びこれに相当する試験による者は18,108人(同4.5%)、中級試験及びこれに相当する試験による者は22,878人(同5.7%)となっている。在職者総数に対する試験任用者の割合は49.4%であり、前年度に比べ0.1ポイント高くなっている。

また、給与法適用職員のうち、試験採用を行っている俸給表の適用職員について試験任用者の割合をみると、在職者が最も多い行政職(一)では85.7%となっており、前年度に比べ1.0ポイント高くなっている。(資料1-26)

その他の俸給表においては、専門行政職60.7%、税務職98.6%、公安職(一)66.1%、公安職(二)71.9%、研究職59.9%となっている。

(3) 高年齢職員の在職状況

高年齢職員(55歳以上の職員)の在職状況をみると、在職者数は96,907人であり、そのうち給与法適用職員は58,087人(うち任期付研究員1人)、給与特例法適用職員は38,820人で、前年度に比べ給与法適用職員は2,496人増加し、給与特例法適用職員は283人減少している。(資料1-27)

(4) 離職状況

離職者総数は35,235人(男性25,716人、女性9,519人)であり、前年度に比べ230人減少(男性618人の減少、女性388人の増加)している。これを給与法適用職員、給与特例法適用職員別にみると、給与法適用職員は23,923人で615人減少し、給与特例法適用職員は11,312人で385人増加している。

離職率(前年度末在職者数に対する当該年度中の離職者数の割合)は給与法適用職員で4.8%、給与特例法適用職員で3.6%、全職員では4.3%(男性3.9%、女性5.9%)となっている。(資料1-20)

3 臨時的任用

常勤官職に欠員が生じた場合に、緊急やむを得ない事情があって、成績主義による正規の任用を待っていては公務の運営に支障をきたすおそれがあるときには、人事院の承認を得て6月を超えない任期を定めて臨時的任用ができることとされている。

平成10年度において、人事院の承認を得て臨時的に任用した者は郵政省の696人であった。

4 公務の活性化のための民間人材の採用
(1) 規則1-24に基づく採用

規則1-24(公務の活性化のために民間の人材を採用する場合の特例)は、行政の複雑・高度化、国際化等に伴って、部内の養成では得られない高度の専門性や多様な経験を有する民間の人材を円滑に採用し、公務の活性化に資するための弾力的な採用システムであり、1)実務経験等により高度の専門的な知識経験を有する民間の人材を採用する場合、2)新規の行政需要に対応するため、実務経験等により公務に有用な資質等を有する民間の人材を採用する場合、3)公務と異なる分野における多様な経験等を通じて公務に有用な資質等を有する民間の人材を採用する場合に認めている。

この制度により平成11年度は4省庁で21人が採用された。採用事由別にみると、1)に該当するものとして弁護士、公認会計士から5人、2)に該当するものとして銀行等から13人、3)に該当するものとして研究所等から3人となっている。

(2) 民間人材採用サポートシステムの運用開始

人事院では、より一層、民間の人材の活用を促進するため、制度面での整備に加え、各省庁が採用をより円滑に行うことができるようにすることを目指し、平成11年6月から人事院のホームページにおいて、民間人材採用サポートシステム(「KOH(コー)ちゃんの人材情報局」)の運用を開始した。

このシステムは、

からなっている。

人事院のホームページ

http://www.jinji.admix.go.jp/

民間人材採用サポートシステム「KOH(コー)ちゃんの人材情報局」について


5 研究公務員の任期を定めた採用
(1) 規則に基づく任期制(研究プロジェクトに係るもの)

国立試験研究機関等において、研究プロジェクトの能率的遂行のため、民間企業や私立大学等から専門的知識を有している研究者を5年以内に終了する研究業務に一時的に受け入れる必要があり、職員の利益保護の観点からも問題がないと認められる場合については、規則に基づいて任期を定めた採用ができることとされている。

平成11年度において、人事院の承認を得て任期を定めて新たに採用された研究公務員は、3人である。

また、平成4年7月の制度新設以来の総数は、平成12年3月31日現在、18人となっている。

(2) 任期付研究員法に基づく任期制

任期付研究員法では、国の試験研究機関において研究業務に従事する一般職の職員について、1)高度の専門的知識を必要とする研究業務に従事させるため特に優秀な研究者を採用する「招へい型」と、2)先導的役割を担う有為な研究者となるために必要な能力のかん養に資する研究業務に従事させるため、独立して研究する能力があり、研究者として高い資質を有すると認められる若手研究者を採用する「若手育成型」の二つの場合に、一定の任期を付して研究者の採用を行うことができることとなっている。

この制度により、平成11年度に採用された任期付研究員は、招へい型が3人、若手育成型が60人となっている。

6 本省庁の課長等への任用

本省庁の課長相当以上の官職及び地方支分部局、施設等機関等のこれと同等以上の官職のうち人事院の指定する官職に任命権者が職員を昇任、配置換等を行う場合には、人事院の定める基準に従い、任命権者が選考機関として各々定める選考基準により選考等を行うこととなっている。ただし、その基準を満たすことができない場合等には、あらかじめ人事院と協議して選考等を行うことができ、また、これらの官職への任用を行った場合(人事院にあらかじめ協議した場合を除く。)には、任命権者はその旨を人事院に報告しなければならないとされている。なお、人事院が指定する本省庁の課長等の官職の総数は、平成12年3月31日現在2,326である。

平成11年度中における本省庁の課長等への任用に係る各省庁からの報告は555人、協議は89人であり、その内訳は表1-6に示すとおりである。

表1-6 本省庁の課長等への任用の報告、協議状況


7 任用に関する調査

従来から各省庁における任用関係法規の遵守状況を監査し、任用制度の適正な運用の確保を図ってきたところであるが、平成10年度からは職員の採用、異動及び離職等制度の運用状況に加え、広く各機関の実態を把握し、今後の任用施策の検討に資することを目的として、新たに「任用に関する調査」を実施しており、平成11年度においては81機関を対象として実施したが、制度運用面においては、全体的におおむね良好に処理されていた。


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