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第1編 ≪人事行政≫

第2部 ≪平成11年度業務状況≫

第2章 職員の給与

第2節 給与法の実施


1 給与勧告に伴う給与法等の改正
(1) 給与法等の改正

給与勧告を実施するための給与法等の改正は、前記の「公務員の給与改定に関する取扱い」(閣議決定)に基づき、「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案」として平成11年11月5日に閣議決定され、同月8日、第146回国会に提出された。同法案は、参議院先議とされ、参議院総務委員会、衆議院内閣委員会における審議を経て、11月18日の衆議院本会議で可決成立し、同月25日に公布された(法律第141号)。

なお、参議院総務委員会の採決(11月11日)及び衆議院内閣委員会の採決(11月16日)に当たって、次のような附帯決議が採択された。

参議院総務委員会附帯決議(11月11日)

政府並びに人事院は、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

一 人事院勧告制度が労働基本権制約の代償措置であることを踏まえ、政府は人事院勧告制度を引き続き尊重するとともに、人事院は官民給与の精確な比較等により公務員給与の適正な水準の維持・確保に努めること。

一 国民の公僕たる公務員は、国民から疑惑を招くことのないよう一層の綱紀の粛正に努めること。

衆議院内閣委員会附帯決議(11月16日)

政府並びに人事院は、人事院勧告制度が労働基本権制約の代償措置であることにかんがみ、勧告制度を維持・尊重する基本姿勢を引き続き堅持するとともに、給与勧告機能を十分に発揮させ、公務員の適正な処遇を確保するよう努めること。

改正後の法律の規定は、公布の日から施行され、平成11年4月1日から適用された(福祉職俸給表の新設、宿日直手当の改正及び育児休業者への期末・勤勉手当等の支給は平成12年1月1日から、平成12年度以降の期末手当・期末特別手当の改正は同年4月1日から、それぞれ施行された。)。

改正の内容の主要なものは、次のとおりである。

ア 俸給表

指定職俸給表を除く各俸給表が改定されるとともに、福祉職俸給表の新設を行った。なお、民間における厳しい経済・雇用情勢や民間事業所における給与の抑制措置の状況等を踏まえ、本省庁課長級以上の職員が格付けられている行政職俸給表(一)の10級及び11級については、俸給月額の改定を見送り、9級(本省庁準課長級)については抑制的な改定としており、他の俸給表についても、これに準じて、上位の級について改定の見送り又は抑制的な改定とした。

また、任期付研究員に適用される俸給表についても、各号俸の俸給月額が改定された。

イ 宿日直手当

宿日直手当の支給額の限度が、通常の宿日直勤務については勤務1回につき4,200円、医師又は歯科医師の宿日直勤務については同じく20,000円、規則で定める特殊な業務を主として行う宿日直勤務については同じく7,200円(執務時間が午前8時30分から午後0時30分までと定められている日等の退庁時から引き続く宿直勤務にあっては、それぞれ6,300円、30,000円、10,800円)に、また常直勤務については月額21,000円に、それぞれ引き上げられた。

ウ 期末手当及び期末特別手当の支給割合
(ア) 平成11年度の支給割合

3月期及び12月期の期末手当の支給割合が、それぞれ0.55月から0.5月、1.9月から1.65月(本省庁課長等の特定幹部職員については、それぞれ0.55月から0.5月、1.7月から1.45月)に引き下げられた。

また、3月期及び12月期の期末特別手当の支給割合が、それぞれ0.55月から0.5月、1.9月から1.65月に引き下げられた。

(イ) 平成12年度以降の支給割合

3月期、6月期及び12月期の期末手当の支給割合が、それぞれ0.55月、1.45月、1.75月(本省庁課長等の特定幹部職員については、それぞれ0.55月、1.25月、1.55月)に改定されることとなった。

また、3月期、6月期及び12月期の期末特別手当の支給割合が、それぞれ0.55月、1.45月、1.75月に改定されることとなった。

エ 育児休業者に対する期末手当・勤勉手当等

期末手当、勤勉手当又は期末特別手当の基準日に育児休業をしている職員のうち、直前の基準日の翌日から基準日までの間に勤務した期間(期末手当及び期末特別手当については、これに相当する期間を含む。)がある職員には、それぞれの手当が支給されることとなった。

(2) 規則の改正等

給与法等の改正に伴う関連規則は、同法の公布に合わせて平成11年11月25日に公布・施行され、同年4月1日から適用された(福祉職俸給表の新設、宿日直手当の改正及び育児休業者への期末手当等の改正については平成12年1月1日に施行。)。

改正の内容の主要なものは、次のとおりである。

ア 俸給表の適用範囲

福祉職俸給表の新設に伴い、同俸給表の適用範囲を規定する等のため、規則9-2の一部を改正した。

イ 初任給、昇格、昇給等の基準

俸給月額が改正されたことに伴い規則9-8の特定号俸表を改正したほか、福祉職俸給表の新設に伴い、同規則の級別標準職務表等の一部を改正した。

ウ 俸給の切替え

俸給月額が改正されたことに伴い、最高号俸を超える俸給月額を受ける職員の俸給の切替えに関し、新たに規則9-108(平成11年改正法附則第3項の規定による最高の号俸を超える俸給月額を受ける職員の俸給の切替え等)を制定した。また、新設された福祉職俸給表の適用を受けることとなる職員のうち最高号俸等を受ける者の俸給の切替えに関し、新たに規則9-109(平成11年改正法附則第10項の規定による最高号俸等を受ける職員の俸給の切替え等)を制定した。

エ 俸給の調整額

福祉職俸給表の新設及び俸給月額の改定に伴い規則9-6の調整基本額表を改正した。

オ 宿日直手当

宿日直手当の支給額の限度が引き上げられたことに伴い、宿日直勤務の種類に応じた手当額について所要の改正を行うため、規則9-15の一部を改正した。

カ 期末手当等

育児休業法の改正により、育児休業中の職員に対する期末手当・勤勉手当等の措置が行われたことに伴い、人事院規則で定めることとされている事項に関する所要の定め等を行うため、規則19-0及び規則9-40の一部を改正した。

2 その他の制度改正等
(1) 新再任用制度導入に伴う給与法等の改正

新再任用制度の導入に伴い、給与法等が改正されたが、その改正の内容の主要なものは、次のとおりである。

ア 再任用職員の俸給月額

再任用職員について、各俸給表の職務の級ごとに単一の俸給月額を定めた。

なお、再任用短時間勤務職員の俸給月額は、各俸給表の再任用職員の欄の俸給月額に、常勤職員の1週間当たりの勤務時間(40時間)に対するその者の1週間当たりの勤務時間の割合を乗じて得た額とすることとした。

イ 再任用職員の諸手当

再任用職員の諸手当については、職務に直接関連する手当に限って支給することとし、長期継続雇用を前提にライフステージに応じた生計費の増嵩等に対処することを目的とする生活関連手当や主として人材確保を目的とする手当については支給しないこととした。寒冷地手当についても、同様に、寒冷地手当法の改正により支給しないこととした。

また、期末・勤勉手当については、俸給と合わせて適正妥当な年間の給与水準が確保され得るように支給割合を設定した。

(2) 官民人事交流法の施行に伴う改正

平成11年12月22日、官民双方向の新たな人事交流システムを導入するための官民人事交流法が公布されたことに伴い、交流派遣職員が職務に復帰した場合の給与の取扱いや交流採用職員に対する初任給等の特例が規則21-0で規定された。

なお、官民人事交流法に係るその他の関連規則については、平成12年3月21日に施行された。

(3) その他の主な規則改正
ア 俸給の特別調整額

行政組織の改正、官職の新設等に伴い、俸給の特別調整を行う官職の新規指定及び支給区分の変更等を行うため、規則9-17の別表の一部を改正した。

イ 特殊勤務手当

手当額の引上げ(爆発物取扱等作業手当、航空手当、教員特殊業務手当及び刑務作業監督等手当)、適用範囲の拡大(坑内作業手当、爆発物取扱等作業手当及び異常圧力内作業手当)、適用期間の延長(小笠原業務手当)、近年の業務実態の変化を踏まえた措置業務等の整理、手当の統合等を行うため、規則9-30の一部を改正した。

3 級別定数の改定等
(1) 級別定数の改定

級別定数制度は、職務評価の統一性を確保し、もって適正・妥当な俸給決定が行えるように、職員の職務内容を級別標準職務を基準として客観的に評価するために設けられているものであるとともに、給与勧告の前提となる官民の給与比較において、官民の対応する職務段階の職責の重さを比較する上で不可欠の機能を果たしている。具体的には、職務の級別の人員数を組織別、会計別及び職名別に定めている。

級別定数については、毎年、組織の新設又は改廃等職務内容の変化に応じ所要の改定を行ってきているが、平成11年度においても、職務の重要性が増大し、職務負担の加重化傾向の著しい官職について、各省庁における職員構成の動向、人事運用の実態等を踏まえ、組織間・世代間の均衡及び長期的視点に立った職員の適切な処遇の確保にも留意しつつ、所要の改定を行った。

なお、平成13年1月に中央省庁が1府12省体制へと再編されることに伴って新たに設けられる官職については、その職務内容等に応じて適切に職務の評価を行った。

(2) 職務の級の決定等の審査

規則9-8に基づく職務の級及び俸給月額の決定等について、各省庁からの個別の協議に応じ、審査を行った。

4 特別昇給の承認
(1) 表彰等による特別昇給の承認

職員の中には、辺地等に勤務し、極めて困難な勤務条件の下で献身的に職務に従事している者や、勤務成績の向上、能率の増進、発明考案等により職務上特に功績のある者が少なくない。各省庁においては、これらの職員に対してその労に報いるとともに、職員の士気を高めるため、積極的に表彰ないし顕彰を実施し、給与上も人事院の承認を得て特別昇給を行ってきている。平成11年度は、人事院総裁賞3件のほか、警察庁、科学技術庁、運輸省及び建設省で実施した22件の表彰について、特別昇給の承認を行った。表彰による特別昇給を行った職員について例示すれば、次のとおりである。

(2) 本省庁内部部局に勤務する職員に対する特別昇給の承認

勤務密度や拘束時間等の面から精神的、肉体的負担の大きい法令の立案、国会対応、予算折衝などの困難業務に従事する各省庁内部部局の職員のうち、公務に対する貢献が顕著であるものに対して、その勤務条件の特殊性等を考慮して、特別昇給の承認を行った。

なお、一時的な業績・繁忙等に対して機動的な対応が可能となるよう、平成11年度においても、一定期間だけ効果を有する特別昇給の承認を行った。

(3) 教育職俸給表(一)又は研究職俸給表の適用を受ける職員に対する特別昇給の承認

研究活動の活性化に資するため、教育職俸給表(一)又は研究職俸給表の適用を受ける職員のうち、勤務成績が特に良好で顕著な研究業績を挙げた優秀な研究者に対して、特別昇給の承認を行った。

なお、これについても一定期間だけ効果を有する特別昇給の承認を行った。

5 給与簿の検査

人事院は、国公法の規定に基づき、適正な給与事務の確保を目的として毎年給与簿の検査を実施している。

平成11年度は、平成2年4月1日に実施された初任給基準の改正に伴う在職者調整及び同日以後に採用された者の初任給の経過的特例の適用状況、平成4年4月1日に実施された昇格制度の改正に伴う在職者調整及び経過措置の適用状況、平成6年4月1日に実施された初任給基準の改正に伴う在職者調整の適用状況、平成8年4月1日に実施された号俸の削減措置に伴う切替え及び同日以後に採用された者の初任給の経過的特例の適用状況、平成11年4月1日に実施された昇給停止年齢の引下げに伴う経過措置の適用状況並びに平成9年以降の諸手当の額の改定等を重点に495機関を対象として実施した。また、特別の検査として平成8年4月1日に実施された号俸の削減措置に伴う切替え及び同日以後に採用された者の初任給の経過的特例の適用状況について、65機関を対象として実施した。

その結果、法規の理解不足又は事務的誤り等に起因するものについて若干の誤りが発見されたが、全体的には、おおむね良好に処理されているものと認められた。

なお、検査を実施した機関において発見された誤りについては、是正のための適切な措置を講ずるよう指導、助言を行うとともに、当該省庁に対して検査対象外の職員にあっても類似の誤りが生じているおそれがあるので、これらの内容について速やかに調査し、同様の措置を講ずるよう指導した。

また、法規の理解不足等に起因する誤りを防止するため、各省庁の給与実務担当者を対象とした研修会を本院及び各地方事務局(所)において40回開催するとともに、給与実務に必要な資料を作成、配布するなど、実務処理上の知識の周知に努めた。

給与実務担当者研修会


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