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第1編 ≪人事行政≫

第2部 ≪平成11年度業務状況≫

第7章 職員の福祉

第1節 健康安全管理対策の推進


1 健康安全管理制度の概要

公務における健康安全管理体制は、職員の健康の保持増進を図るとともに、職場の安全を確保することで、公務能率の向上に資することを目的として設けられ、その具体的な内容は規則10-4等に定められている。これらの規則に従い、各省庁は健康安全管理のための措置を実施することとされているが、制度の円滑な運営を確保するため、人事院が基準の設定、総合的な指導、調整等を行っている。

2 健康管理対策の推進
(1) 生活習慣病対策の推進

がん、心臓病、脳卒中等の生活習慣病を積極的に予防するため、人事院は「生活習慣病管理研究会議」(平成10年度までは「成人病管理研究会議」)を昭和38年以降、毎年開催している。

本会議は、医療スタッフを構成員とする第1部会と健康管理事務スタッフを構成員とする第2部会とで構成されている。平成11年度は、生活習慣病の予防をテーマとして本省庁を対象に、職場のメンタルヘルスをテーマとして北海道及び東北地区を対象に、VDT作業の健康への影響及び生活習慣病の予防をテーマとして九州地区を対象に、それぞれ第2部会を開催した。

さらに、平成12年1月に第1部会と第2部会合同の生活習慣病管理研究会議総会を開催し、結核予防対策をテーマとする講演及び生活習慣病の一次予防をテーマとするパネルディスカッションを行った。

生活習慣病管理研究会議総会


(2) 喫煙対策の推進

平成9年4月に発出した「職場における喫煙対策に関する指針」に基づき、各機関において喫煙対策を推進するよう指導するとともに、職場の状況に即した喫煙対策をより一層推進できるように「喫煙対策研究会」を平成10年度は4地区、平成11年度は東北、関東、中部の3地区で開催した。そこでは、指針の説明のほか、専門医の助言の下に、たばこと健康、喫煙対策の実践、禁煙サポート及び喫煙対策の進め方についての研究討議を行った。

(3) メンタルヘルス対策

メンタルヘルス対策のより一層の強化を図るため、精神科医など専門家によるメンタルヘルス指導委員会を全国9ブロックに配置し、各省庁のメンタルヘルス対策を支援している。

平成11年度は、各省庁の地方機関の健康管理医及び健康管理の担当者等を対象とした「メンタルヘルス専門講習会」を北海道、近畿、中国、四国、沖縄の5地区で開催し、職場における精神健康管理の在り方について指導した。

また、本省庁における職場内のメンタルヘルス対策を推進するリーダーを養成するため、平成10年11月に出されたメンタルヘルス指導委員会の提言を踏まえ、「本省庁メンタルヘルス専門講習会」を開催した。平成11年10月からは、近畿事務局に加え東北事務局において、管内の国の職員であれば誰でも利用できるメンタルヘルス相談室を開設した。また、各省庁の取組を支援するため、健康管理関係者向けに職場不適応などの身近な事例研究等を内容とする定期的な情報提供誌「こころの相談室」を作成し、各省庁に配布した。

(4) 単身赴任者の健康管理対策

各省庁における単身赴任者の総合的な健康管理対策を推進するため、各省庁の単身赴任中の管理監督者を対象とした「単身赴任者生活管理研究会」を平成11年度は中国及び九州の2地区で開催し、心身両面の健康管理について研究討議、調理実習等を行った。

(5) 国家公務員死亡者数調査

国家公務員の死因についてその実情を把握し、職員の健康管理及び安全管理の向上に資するため、毎年「国家公務員死因調査」を実施していたが、死因についてはある程度の傾向が把握できたことから、同調査は3年に一度実施することとし、同調査を実施しない年度(平成9年度、平成10年度)については「国家公務員死亡者数調査」を実施することとした。

平成10年度における在職中の死亡者は940人で、前年度より17人減少した。

死亡者の死因別は、病死が716人、災害死が224人(うち自殺が124人)であった。また、国家公務員と国民(18歳〜60歳)の死亡率(職員又は国民10万人に対する率)を比較してみると、国家公務員が115.6であるのに対し、国民は192.6となっている。

(6) 定期の健康診断

平成10年度の一般定期健康診断は、各省庁において、全職員を対象として胸部エックス線検査(受診率69.6%)、血圧測定(同72.3%)及び尿の検査(蛋白)(同71.3%)が、血糖検査受診者を除いた者を対象として尿の検査(糖)(同64.0%)が、40歳以上の職員を対象として肺がん胸部エックス線検査(同47.0%)、喀痰細胞診(同23.4%)、胃の検査(同40.9%)及び便潜血反応検査(同42.9%)が、35歳時及び40歳以上の職員を対象として血糖検査(同23.0%)、心電図検査(同52.8%)、血清総コレステロール検査(同61.1%)、HDLコレステロール検査(同23.4%)、中性脂肪検査(同60.7%)、貧血検査(同60.3%)及び肝機能検査(同60.9%)が実施された。(資料7-1)

さらに、有害な業務又は健康障害を生ずるおそれのある業務(放射線に被ばくするおそれのある業務など規則10-4に定める18種類の業務)に従事する職員を対象として、特別定期健康診断が各省庁において実施された。

3 安全管理対策の推進
(1) 職場における災害の防止

平成10年度に職場で発生した災害により死亡した者及び1日以上休業した者は、図7-1に示すとおり死傷者総数315人で、前年度に比べ36人の減少となった。また、死亡者は3人で前年度と比べて3人の減少となった。

災害の発生状況を事故の型(労働災害分類基準)別にみると、武道訓練が22.9%と最も多く、次いで転倒19.4%、レク・スポーツ10.2%、動作の反動・無理な動作9.8%の順となっており、これらで全体の62.3%を占めている。(図7-2)

これら職場における災害を防止し、安全管理対策を推進するため、中央及び全国9地方ブロックにおいて本省庁及び地方機関等の安全管理担当者を対象に安全対策会議を開催し、安全管理の啓発に努めた。

また、死亡事故等重大な災害については、その報告を求め、事情聴取等により詳細な調査を行い、適切な指導を行った。

図7-1 死傷者数の推移[休業1日以上(平成元年度〜平成10年度)]


図7-2 事故の型別死傷災害発生状況[休業1日以上(平成10年度)]


(2) 放射線障害防止対策

放射線業務に従事する職員の放射線障害の防止を図るため、健康安全管理状況監査に際して、放射線の管理及び職員の障害防止措置の状況を把握し、必要な指示・指導を行った。

また、平成11年9月に発生した核燃料加工施設における臨界事故を契機に、核燃料物質の使用承認を得ている3研究機関に対し、職員の放射線障害防止の観点からの実地調査を行った。

なお、平成11年度に科学技術庁に申請された放射性同位元素等の使用の変更承認に関し、人事院に協議のあった73件について承認することに同意した。

(3) 設備等の届出

ボイラー、クレーン等安全管理上特に配慮を必要とする設備については、規則10-4の規定に基づき、設置等の際にその設備の状況を人事院に届け出ることになっている。

平成11年度は総台数1,280台の設備届(設置647台、変更1台、廃止632台)があり、これらの審査を通じて各機関に対し必要な安全上の指導を行った。

また、エックス線装置を設置等した際には、規則10-5の規定に基づき人事院に届け出ることとなっており、平成11年度は107台(設置62台、変更1台、廃止44台)の届出があった。

なお、届出を行わなければならない設備等のうち、「ボイラー」についての検査及び届出の流れを例示すると、図7-3のとおりである。

図7-3 ボイラー(小型を除く)検査等の流れ


4 健康安全管理の指導及び啓発
(1) 健康安全管理の研修会

人事院は、健康安全管理について、各省庁との密接な連絡及び法令の周知を図るため、本省庁の健康安全管理の担当者を対象とした研修会等を開催するとともに、地方機関等の担当者に対する研修会を仙台、東京、大阪、高松及び熊本の5地区で開催するなど、健康安全管理に対する認識と実務についての理解を深めることに努めた。

(2) 健康安全管理状況の監査

人事院は、各省庁における健康安全等に関する法規の遵守状況を把握し、改善が必要な場合には、その是正の指導と改善結果の確認を行うことを目的に健康安全管理状況の監査を実施している。平成11年度は、本省庁及び有害物質を取り扱う業務、設備等を多く保有する機関、更に過去、災害が発生した機関等を中心に64機関について実施した。

(3) 国家公務員健康週間・安全週間

平成11年度の国家公務員安全週間は、「安全対策 何かあるはず できること」を標語として7月1日から、また健康週間は、「すてきです! あなたの健康 その笑顔」を標語として10月1日から、それぞれ1週間実施し、広く職員の健康管理、安全管理の推進についての意識の高揚を図った。


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