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第1編 ≪人事行政≫

第2部 ≪平成11年度業務状況≫

第10章 公平審査

第2節 勤務条件に関する行政措置の要求


行政措置要求の制度は、職員から勤務条件に関し、適当な行政上の措置を求める要求があった場合に、人事院が必要な審査をした上で判定を行い、あるいはあっせん又はこれに準じる方法で事案の解決に当たるものである。この制度は、単に職員の勤務条件に関する不平不満の解消を図るというだけではなく、労働基本権を制約されている職員が勤務条件の積極的な改善と適正化を能動的に求めることを保障するものであり、労働基本権制約の代償的機能を果たすものである。事案の処理に当たっては、判定によりその判断を示すことを基本に処理を進めることとしているが、場合によっては、要求内容、事案の性質等に応じてあっせん等により解決を図っている。

行政措置要求の審査は、規則13-2に定められた手続に従って行われ、事案の審査に当たっては、要求内容の十分な整理、分析をした上で事実調査を行い、事案の早期処理に努めている。

平成11年度は、新たに受け付けた6件と前年度から繰り越した4件の計10件が係属したが、その処理状況は、判定を行ったもの2件、取り下げられたもの4件、要求の事由の消滅、審査の対象外等のため却下したもの2件であり、平成12年度に繰り越したものは2件である。(資料10-2)

平成11年度に行った判定の要旨は、次のとおりである。(( )内の数字は、判定年月日である。)(表10-2)

表10-2 平成11年度行政措置要求事案判定一覧


(1) 技術専門官に係る昇任・昇格選考基準の廃止等に関する要求(平成10年第8号)(11. 4.23)

大学工学部教職員組合執行委員長から、技術専門官に係る文部省の選考基準並びに大学が定めた8項目の資格基準及びその例示は、学位(修士号・博士号)や資格の取得を前面に出したものであり、教官的(研究者的)であるとして、1)文部省の選考基準を廃止し、2)資格基準及びその例示を改善するよう要求があった。

これについて、1)文部省の選考基準の「学位、資格の取得等」というのは、技術専門官の選考に当たって、極めて高度の専門的な技術を有することが客観的に明らかである者を示す基準の例として掲げられたものであり、しかも具体的な基準である8項目の資格基準とその運用の実態をみると、学位や資格の取得は技術専門官への昇任選考の判断要素の一つにすぎず、学位等の取得者を優先して任用することはないとされており、文部省の選考基準を廃止しなければならない特段の理由は認められないこと、2)資格基準は、極めて高度の専門的な技術の有無を客観的に判断する基準として定められたものであり、資格基準のいずれか一に該当すればよく、各項目間には優劣の差はなく、また、各項目に掲げられている例示は、あくまでも例示であって、これら以外は認めないというものではないのであり、資格基準及びその例示を今直ちに改善しなければならない特段の理由はないことから、本件各要求は、認めることができないと判定した。

なお、調査の結果、人事当局は、申請者側に対して資格基準及びその運用について十分な説明を行っておらず、説明不足に起因すると思われる申請者の主張や誤解も多く見受けられるため、今後、速やかに説明を行うよう付言した。

(2) 休憩時間における休憩の確保等に関する要求(平成11年第1号)(11.12.24)

少年鑑別所職員から、少年を収容している寮の勤務に就いた場合の寮当直勤務者は、寮の1階と2階にそれぞれ1人配置されており、休憩時間については2人が交互に休憩し、残る1人が1階と2階を併せて勤務することになっているが、休憩時間とはいえ業務があるため、2人とも勤務せざるを得ない状況にあることから、これを休憩できるようにすること等について要求があった。

これについて、申請者が休憩時間に処理しているとする業務についてみると、特段、休憩時間に処理しなければならないとは認められない業務や、現に勤務に就いている他の職員が対応すれば足りる業務であり、したがって、寮当直勤務者の休憩時間中には、特段、行われなければならない業務はなく、休憩時間に休憩できないということはないことから、要求は認めることはできないと判定した。


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