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第1編 ≪人事行政≫

第2部 ≪平成11年度業務状況≫

第11章 国際協力

第2節 国際協力研修


1 人事管理研修

我が国の開発途上国に対する技術協力の一環として、国際協力事業団の協力を得て、各国政府の人事管理制度を改善し、政府活動の能率化に寄与する目的で、人事管理に関する研修を実施している。この研修では、各国の中央人事行政機関の職員に対し、我が国の人事管理制度や実情の研究及び各国との比較研究を通じ、それぞれの国に適合する人事行政の改善策を探求する機会を提供している。

平成3年度から各国の中央人事行政機関の課長級以上の幹部職員を対象とする「上級人事管理セミナー」を実施してきているが、平成11年度からはそれに加え、開発途上国からの要請に応じて、各国の中央人事行政機関の課長補佐級の職員を対象とする「人事行政研修」を新たに開始した。

(1) 上級人事管理セミナー

平成11年度は、14か国、14人を対象に、平成11年8月31日から9月26日までの約4週間にわたり、日本の公務及び民間企業における人事管理の仕組みや実情等を主題に、講義、討議等からなる研修を実施した。

平成3年度発足以来の参加者は、36か国(地域)100人に達している。国別の参加状況は、資料11-2 のとおりである。

(2) 人事行政研修

開発途上国の公務における人事管理制度の改善を支援するために、平成11年度から新たに人事行政研修を開始し、11か国の課長補佐級の職員11人を対象に、平成12年1月11日から2月5日までの約4週間にわたり実施した。平成11年度は、人事管理の基礎理論と実情を主題に、講義、討議等からなる研修を実施した。

参加国の内訳は、アジア地域5か国(中国、インドネシア、マレイシア、フィリピン、タイ)、中南米地域1か国(メキシコ)、中近東地域1か国(エジプト)及びアフリカ地域4か国(ガンビア、ケニア、セネガル、タンザニア)であった。

2 国家行政研修

開発途上国に対する技術協力の一環として、国際協力事業団の協力を得て、各国公務員の資質向上を図り、それらの国の社会経済の発展に向けての行政の近代化に寄与することを目的として国家行政研修を実施している。この研修では、各国の中央政府機関の公務員に対し、我が国の社会・経済政策の形成及び執行等を題材にそれぞれの国の近代化に資する行政の在り方を探求する機会を提供している。

この研修は、昭和43年1月の発足以来、年間1コースであったものを、昭和61年度に、各国の中央政府機関の課長級以上の職員を対象とし国家行政の近代化とその発展を主題とする「上級国家行政セミナー」と各国の中央政府機関の課長補佐級職員を対象とし行政の近代化の基礎を主題とする「国家行政コース」の2コースに分割、拡大した。後者は「国家行政コースII」として現在に至っている。

(1) 上級国家行政セミナー

平成11年度は、13か国13人を対象に、平成11年11月4日から12月12日までの約6週間にわたり、国の社会・経済発展に果たす行政の役割及びそれを担う行政官の在り方を主題として、講義、個別行政分野に関する事例研究、参加者相互の討議等からなる研修を実施した。

昭和61年度発足以来の参加者は、46か国(地域)174人に達している。地域別及び国別の参加状況は、それぞれ図11-4及び資料11-3のとおりである。

図11-4 平成11年度末現在までの上級国家行政セミナー地域別参加実績


(2) 国家行政コースII

平成11年度は、15か国15人を対象に、平成11年5月11日から6月25日までの約7週間にわたり、開発途上国における行政の近代化の基礎を主題として、講義、政策の事例研究、参加者相互の討議等からなる研修を実施した。

昭和42年度発足以来の参加者は、58か国390人に達している。地域別及び国別の参加状況は、それぞれ図11-5及び資料11-4のとおりである。

図11-5 平成11年度末現在までの国家行政コースII地域別参加実績


3 その他の国際協力研修
(1) 大韓民国政府職員研修

大韓民国政府の要請に基づき、行政の分野における日韓両国の交流を促進する目的で、課長級及び課長補佐級職員を対象とする大韓民国政府職員研修を実施している。

この研修では、日本の行政における政策課題をはじめ、日韓両国の社会比較・経済比較、日本の地方自治制度等に関する研究のほか、関連する施設等の調査見学を実施するなど、日本における行政の実情及びそれを取り巻く環境等についても理解を深められるように配慮している。

平成11年度は、大韓民国政府の課長及び課長補佐級職員15人のほか、同国の地方自治体職員3人を加えた18人を対象に、平成11年10月16日から10月30日までの約2週間にわたり実施した。

昭和59年度発足以来の参加者は、415人に上っている。

(2) ヴィエトナム行政・公務員制度セミナー

ヴィエトナムでは、昭和61年(1986年)以来、いわゆる「ドイ・モイ」政策を採用し、市場経済への移行を目指す一方で、平成6年(1994年)に設置された「政府組織・人事委員会」が中心となって近代的な公務員制度の構築を含む行政改革を進めており、同国の要請に基づき、平成8年度から国際協力事業団の協力を得てヴィエトナム行政・公務員制度セミナーを実施している。

平成11年度は、政府組織・人事委員会の幹部職員5人のほか、首相府及び投資計画省において組織・人事行政を担当する幹部職員2人の合計7人を対象に、平成12年2月15日から3月11日までの約4週間にわたり、日本の行政制度及び公務員制度を主題として研修を実施した。

(3) アルゼンティン人事管理セミナー

アルゼンティンでは、現在、公務員制度の改革、中央政府の機構・機能の再編・合理化が重要政策課題となっており、効率的に国家を運営していく行政手法、政策の継続性・安定性に資する公務員の管理・育成を模索しているが、同国の要請に基づき、平成9年度から国際協力事業団の協力を得てアルゼンティン人事管理セミナーを実施している。

平成11年度は、アルゼンティンの中央及び地方政府において人事管理に携わる職員10人を対象に、平成11年10月28日から11月13日までの約2週間にわたり、日本の行政制度及び公務員制度を主題として研修を実施した。

4 マンスフィールド研修

本研修は、米国連邦政府職員の対日理解を深め、日米関係の一層の円滑化を図ることを目的として、米国の連邦法であるマイク・マンスフィールド・フェローシップ法(1994年4月成立)に基づいて派遣された職員に対し、日本政府内での研修の機会を与えるものである。

ワシントンにおいて1年間にわたり日本語、日本の政治経済及び文化について集中訓練を受けた研修員を、日本の各省庁、国会等に1年間配置し、実務を通じた研修が行われる。

人事院は、研修員の各省庁等への受入れのアレンジ等をはじめ、オリエンテーション、調査見学旅行、行政研修への参加等の共通プログラムを企画・実施するとともに、外務省、各省庁と連携をとりつつ本研修の効果的な実施に努めている。

平成8年9月に第1期研修員の受入れを開始し、平成11年度は、第4期研修員6人を平成11年9月より1年間の予定で受け入れた。

これまでの研修員の米国における出身機関は、表11-1のとおりである。

表11-1 マンスフィールド研修員(第1期〜第4期)の出身機関別人員数


5 専門家の派遣

人事院は、開発途上国の公務員制度の整備等を支援するため、国際協力事業団の協力を得て人事行政の専門家を各国政府の要請に応じ派遣している。平成11年度においては、次のとおり人事院職員を派遣した。

(1) ヴィエトナム及びウズベキスタン

近代的な公務員制度の構築を含む行政改革の推進を支援するため、ヴィエトナム政府に対し平成9年度より毎年派遣しているが、引き続き2人を派遣した。また、市場経済を推進するための人材育成に力を入れているウズベキスタン政府を支援するため、平成9年度に続き、3人を派遣した。

(2) インドネシア及びモーリシャス

行政改革を進めるための人材育成を支援するため、インドネシア政府に2人を、また、公務員制度改革に対する助言等を行うため、モーリシャス政府に2人を、それぞれ派遣した。

(3) タンザニア

平成6年度からタンザニア政府の中央人事行政機関である公務員庁に職員を長期にわたって1人派遣し(現在の者は平成9年度から)、同国の公務員制度改革に対する助言を行っている。


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