前(節)へ 次(節)へ

第2編 ≪国家公務員倫理審査会の業務≫

第2部 平成11年度業務状況

1 国家公務員倫理規程及び各省各庁の訓令


(1) 国家公務員倫理規程の制定に関する意見の申出及び国家公務員倫理規程の制定

倫理法第5条第1項の規定により、内閣は、倫理法第3条に掲げる倫理原則を踏まえ、職員の職務に利害関係を有する者からの贈与等の禁止及び制限等職員の職務に利害関係を有する者との接触その他国民の疑惑や不信を招くような行為の防止に関し職員の遵守すべき事項を含んだ、職員の職務に係る倫理の保持を図るために必要な事項に関する政令(国家公務員倫理規程)を定めるものとされている。国家公務員倫理規程の制定又は改廃に当たっては、内閣は、国家公務員倫理審査会の意見を聴かなければならないとされており(倫理法第5条第2項)、国家公務員倫理審査会は、国家公務員倫理規程の制定又は改廃に関して、案をそなえて、内閣に意見を申し出ることとされている(倫理法第11条第1号)。

平成12年2月4日、国家公務員倫理審査会は、国家公務員倫理規程の制定に関する意見の申出を内閣に対して行った。

この意見の申出に基づき、内閣は、同年3月24日、国家公務員倫理規程を閣議決定し、国家公務員倫理規程は、同年3月28日、政令第101号として公布された。

国家公務員倫理規程の概要は、次のとおりである。

1 倫理行動規準

  •  職員は、国家公務員としての誇りを持ち、かつ、その使命を自覚し、倫理法第3条の倫理原則とともに国家公務員倫理規程第1条第4号及び第5号に掲げる事項をその職務に係る倫理の保持を図るために遵守すべき規準として、行動しなければならない。

2 利害関係者

  • (1) この政令において「利害関係者」とは、職員が職務として携わる許認可等をする事務、補助金等を交付する事務、立入検査、監査若しくは監察をする事務、不利益処分をする事務、行政指導をする事務、各省庁が所掌する事務のうち事業の発達、改善及び調整に関する事務、契約に関する事務又は予算、級別定数若しくは定員の査定に関する事務の相手方となる事業者等又は個人をいう。
    (2) 本省審議官級以上の幹部職員については、その属する行政機関の他の職員に係る利害関係者(強い行政権限に係る利害関係者に限る。)は当該幹部職員の利害関係者でもあるものとみなす。
    (3) 職員に異動があった場合において、当該異動前の官職に係る当該職員の利害関係者であった者が、異動後引き続き当該官職に係る他の職員の利害関係者であるときは、当該利害関係者であった者は、当該異動の日から起算して3年間は、当該異動があった職員の利害関係者であるものとみなす。
    (4) 他の職員の利害関係者が、職員をしてその官職に基づく影響力を当該他の職員に行使させることにより自己の利益を図るため、その職員と接触していることが明らかな場合においては、当該他の職員の利害関係者は、その職員の利害関係者でもあるものとみなす。

3 禁止行為

  • (1) 職員は、次に掲げる行為を行ってはならない。

    • 1) 利害関係者から金銭、物品又は不動産の贈与を受けること。
      2) 利害関係者から金銭の貸付けを受けること。
      3) 利害関係者から又は利害関係者の負担により、無償で物品又は不動産の貸付けを受けること。
      4) 利害関係者から又は利害関係者の負担により、無償で役務の提供を受けること。
      5) 利害関係者から未公開株式を譲り受けること。
      6) 利害関係者から供応接待を受けること。
      7) 利害関係者と共に飲食をすること。
      8) 利害関係者と共に遊技又はゴルフをすること。
      9) 利害関係者と共に旅行(公務のための旅行を除く。)をすること。

    (2) (1)の規定にかかわらず、職員は、次に掲げる行為を行うことができる。

    • 1) 利害関係者から宣伝用物品又は記念品であって広く一般に配布するためのものの贈与を受けること。
      2) 多数の者が出席する立食パーティーにおいて、利害関係者から記念品の贈与を受けること。
      3) 職務として利害関係者を訪問した際に、当該利害関係者から提供される物品を使用すること。
      4) 職務として利害関係者を訪問した際に、当該利害関係者から提供される自動車を利用すること(当該自動車の利用が相当と認められる場合に限る。)。
      5) 職務として出席した会議その他の会合において、利害関係者から茶菓の提供を受けること。
      6) 多数の者が出席する立食パーティーにおいて、利害関係者から飲食物の提供を受け、又は利害関係者と共に飲食をすること。
      7) 職務として出席した会議において、利害関係者から簡素な飲食物の提供を受け、又は利害関係者と共に簡素な飲食をすること。
      8) 利害関係者と共に自己の費用を負担して飲食をすること。ただし、職務として出席した会議その他打合せのための会合の際における簡素な飲食以外の飲食(夜間におけるものに限る。)にあっては、倫理監督官が許可したものに限る。

    (3) 職員が、利害関係者から、物品を購入した場合等において、その対価がその行為が行われた時における時価よりも著しく低いときは、当該職員は、当該利害関係者から、当該対価と当該時価との差額に相当する額の金銭の贈与を受けたものとみなす。

4 禁止行為の例外

  • (1) 職員は、私的な関係がある者であって利害関係者に該当するものとの間においては、職務上の利害関係の状況、私的な関係の経緯及び現在の状況並びにその行おうとする行為の態様等にかんがみ、公正な職務の執行に対する国民の疑惑や不信を招くおそれがないと認められる場合に限り、3(1)の規定にかかわらず、3(1)に掲げる行為を行うことができる。
    (2) 職員は、(1)の公正な職務の執行に対する国民の疑惑や不信を招くおそれがないかどうかを判断することができない場合においては、倫理監督官に相談し、その指示に従うものとする。
    (3) 職員が、任命権者の要請に応じ特別職国家公務員等となるため退職し、引き続き特別職国家公務員等として在職した後、引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合は、当該特別職国家公務員等としての身分にかかわる関係は私的な関係に該当しない。

5 利害関係者以外の者等との間における禁止規定

  • (1) 職員は、利害関係者に該当しない事業者等であっても、その者から供応接待を繰り返し受ける等通常一般の社交の程度を超えて供応接待又は財産上の利益の供与を受けてはならない。
    (2) 職員は、自己が行った物品の購入等の対価を、その者が利害関係者であるかどうかにかかわらず、その行為が行われた場に居合わせなかった事業者等にその者の負担として支払わせてはならない。

6 講演等に関する規制

  • (1) 職員は、利害関係者からの依頼に応じて報酬を受けて講演等をしようとする場合は、あらかじめ倫理監督官の承認を得なければならない。
    (2) 倫理監督官は、(1)の報酬に関し、職員の職務の種類又は内容に応じて、職員に参考となるべき基準を定めるものとする。

7 倫理監督官への相談

  •  職員は、自らが行う行為が禁止行為に該当するかどうかを判断することができない場合には、倫理監督官に相談するものとする。

8 贈与等の報告

  • (1) 贈与等の報告の対象となる報酬は、次のいずれかに該当する報酬とする。

    • 1) 利害関係者に該当する事業者等から支払いを受けた講演等の報酬
      2) 利害関係者以外の事業者等から支払いを受けた講演等の報酬のうち、職員の現在又は過去の職務に関係する事項に関する講演等であって職員が行うものであることを明らかにして行うものの報酬

    (2) 贈与等又は報酬の内容、贈与等をした事業者等と贈与等を受けた職員の職務との関係等、倫理法の委任を受けて贈与等報告書の記載事項を定める。

9 報告書の様式

  •  贈与等報告書、株取引等報告書及び所得等報告書の様式を定める。

10 報告書等の送付期限

  •  贈与等報告書等の国家公務員倫理審査会への送付は、提出期限の翌日から起算して30日以内にしなければならない。

11 贈与等報告書の閲覧

  •  贈与等報告書の閲覧は、提出期限の翌日から起算して60日を経過した日の翌日以後することができる。

12 各省各庁の長の責務

  •  各省各庁の長は、当該各省各庁に属する職員が倫理法又は同法に基づく命令に違反する行為を行った場合には厳正に対処すること、当該各省各庁に属する職員が倫理法又は同法に基づく命令に違反する行為について倫理監督官その他の適切な機関に通知をしたことを理由として不利益な取扱いを受けないよう配慮すること等の責務を有する。

13 倫理監督官の責務等

  • (1) 倫理監督官は、その属する行政機関の職員に対し必要な指導及び助言を行うこと、倫理法又は同法に基づく命令に違反する行為があった場合にその旨を主任の大臣に報告すること等の責務を有する。
    (2) 倫理監督官は、その属する行政機関の職員にその職務の一部を行わせることができる。

14 地方警務官に関する特例

  •  地方警務官に関する読み替え規定等を定める。

15 附則

  • (1) この政令は、平成12年4月1日から施行する。
    (2) 国家公務員倫理審査会は、この政令の施行の日から5年以内に、職員の職務に係る倫理の保持の観点からこの政令の施行状況等について検討を加え、当該検討の結果この政令の改正が必要であると認めるときは、当該改正に係る意見を内閣に申し出るものとする。

倫理法第5条第4項の規定により、内閣は、国家公務員倫理規程の制定又は改廃があったときは、これを国会に報告しなければならないとされており、平成12年3月28日、国家公務員倫理規程の制定について国会に対し報告が行われた。

(2) 各省各庁における訓令の制定

倫理法第5条第3項の規定により、各省各庁の長は、国家公務員倫理審査会の同意を得て、当該各省各庁の長に属する職員の職務に係る倫理に関する訓令を定めることができることとされている。

平成11年度中に、14省庁がこの訓令を定めた。

各省各庁の訓令の制定については、倫理法第5条第4項の規定により、平成12年3月28日、国家公務員倫理規程の制定と併せて国会に報告された。


前(節)へ 次(節)へ
© National Personnel Authority