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第1編 ≪人事行政≫

第1部 人事行政の動き

第1章 行政のパワーアップを目指して〜第2ステージを迎えた民間人材の活用施策の展開〜

おわりに〜行政のパワーアップを目指して〜


本章では、民間人材の登用及び公務員の民間企業への派遣に関して、特にここ5年間に講じてきた施策を中心に、それぞれの制度の整備の背景・意義及び制度施行後の運用状況を振り返った。

その中で、まず、民間人材の中途採用システムについては、特に新規事業を立ち上げる場合等に活用され、人材確保方法の一つとして定着してきている状況がうかがえる。官民人事交流システムについては、実績が次第に上がってきているものの、民間企業への派遣者が少なくかつ利用が特定の府省に限定されている実態にある。民間人材の任期付採用システムについては、高度の専門的な知識経験等を有する業務を中心に着実な活用が図られ、管理職クラスでの活用も相当数に上ってきている。

我が国全体として雇用の流動化が進み、その中で公務と民間の垣根を低くして多様な人材の相互流動性を高めていくことは、公務組織の活性化という観点からも重要である。新規学卒者に依存し、部内育成を中心として人材の育成を図る現在の公務員人事管理システムは、繰り返し指摘されるようにいわゆるキャリアシステムと相まって業務運営における閉鎖性、意識における特権性、さらにはセクショナリズム等を生み出す要因ともなっている。一方で、組織としては部内育成を中心とせざるを得ない側面があり、それが組織の活力を生み出す原動力にもなっているが、他方、部外の人材の多様性に着目し、活用することは更なる組織の活性化を生み出すことにつながると考える。

公務にあっては、職員個々人のキャリアディベロップメントは官房を中心とする人事当局が組織全体を考えて決定していくのが一般的であり、職員の採用から退職までのキャリアパスが相当程度見通せるシステムとなっている。このため中途採用者については、部内育成者のキャリア形成と齟齬が生じない限りにおいて活用するとのメンタリティーが働くことはある意味で当然であり、人事当局者が中途採用に躊躇する理由はそこにあり、その点任期付採用者が管理職クラスで採用されることがあるのはまさに任期付であることによるともいえる。しかしながら、キャリアシステムの弊害が指摘されているおり、中途採用者を戦略性をもって有機的に活用することによって公務における幹部職員の選抜の在り方を見直すといったことは十分に検討されるべきものと考えられる。

今後、民間人材の更なる活用に向けた取組が重要であるが、その際関係者の果たす役割については、次のように考える。

各府省においては、まず、現行制度の活用について、府省ごとに再点検を行うことにより、民間人材の採用の拡大に積極的に取り組むことが必要である。また、行政展開の方向性に応じた一定の導入目的をもって民間人材の活用を戦略的に行うとともに、官民人事交流に関し民間企業への職員派遣の拡大に計画的に取り組むよう強く要請したい。

民間企業には、官民の相互理解・人材育成の必要性についての理解、優秀な人材の公務への派遣及び公務の人材の受入れについての協力をお願いしたい。

人事院においては、官民間の人材交流のより一層の円滑化のために、障害・阻害要因となっている点の軽減又は除去に向けて、これまで講じてきた制度についての必要な見直しを行うとともに、各府省における民間人材の活用を促進・支援するための措置について検討していきたい。なお、採用した職員の能力、実績を適切に評価する仕組みの整備や採用試験に関して受験資格の在り方、民間経験等を有する者を対象とする試験なども検討しなければならない課題ととらえている。

民間人材の活用について新たなステップを踏み出し、官民の交流を通じて公務の活性化を図っていくことは、国民に良質の行政サービスを提供するために極めて重要である。

公務は常に国民のためにあり、行政を取り巻く環境や社会経済情勢の変化を見据えながら、真に国民のための行政を支えられるよう、人事院としても、引き続き、公務員人事管理の課題に取り組んでいくこととしたい。


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