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第1編 ≪人事行政≫

第1部 人事行政の動き

第2章 人事行政この1年の主な動きと今後の課題

I 人材の確保


1 採用試験の申込状況

平成14年度の公務員試験の申込者の総数は、民間企業の選考開始時期の早期化や若年人口の減少傾向の下で、前年度に比べ4.5%減の223,363人となった。

試験別では、大学卒業程度の試験であるI種、II種試験でそれぞれ前年度比0.5%、2.2%の減、高等学校卒業程度の試験であるIII種試験においても郵政事務区分の採用予定数の減少などが影響して、同区分の申込者数が大幅に減ったことから、全体として同13.4%の減少となった。()

図 国家公務員採用試験(I種・II種・III種)の申込者数の推移


2  募集活動の充実・強化

人事院は、多様で有為な人材を公務に確保するため、積極的に募集活動に取り組んでいる。平成14年度は、従来からの募集活動に加え、募集活動の効率化を図り、より広く学生に働きかけるために、法文系については、公務の魅力を語る公務講演と各府省業務説明を組み合わせ、受験希望者は誰でも参加できるオープン形式の「本府省業務説明会in東京」を開催し、同様のプログラムを札幌市、名古屋市、京都市及び福岡市でも開催した。理工農系については、従来からの東京都に加え初めて大阪市で同様の説明会を開催した。また、本府省が一斉に学生等を受け入れ、業務説明を行う「学生のための霞が関官庁探訪」を引き続き開催したほか、地方機関における同様のプログラムを6都市でも行った。

さらに、公務における女性の採用の拡大に向け、意欲ある多くの女性が公務を志望するよう、1)公開プログラムとして女性公務員による「女子学生のための霞が関セミナー」、2)各大学ごとのプログラムとして「女性職員からのメッセージ」等を各地で開催した。

今後も、各府省と連携し、公務の具体的な姿を学生に直接伝えることを重視した募集活動を積極的に、かつ、幅広く行っていくことにより、公務への意欲を持った多様な有為の人材の確保に努めていくこととしている。

3 I種試験における合格者数の規模の設定

平成14年度試験においては、平成13年12月に閣議決定された「公務員制度改革大綱」の趣旨を踏まえ、多様な有為の人材の確保を促進するため、採用試験としての性格に十分留意しながら、行政、法律、経済の3区分について、合格者数を採用予定数の1.9倍から2.5倍へと増加させた。

その結果を分析したところ、1)合格者を出した学校数は、前年度の41校から58校へ増加したが、内定者のいない学校数は、前年度の16校から33校へと倍増した、2)行政、法律、経済の3区分の合格者697人中、採用内定者が290人であるのに対し、内定を得られなかった者は407人(合格者の約6割)にのぼり、その多くが就職も決まっていない実情が明らかになった、3)I種試験とII種試験に重複合格した者が前年に比べ約6割増加した、などの影響が具体的に生じており、合格者を増加させることにより多様な人材が確保できる等のメリットが実際には実現されず、問題も生じていることが明らかになった。

このような平成14年度試験の結果を踏まえ、合格者の増加は地方大学の出身者に不利であるといった意見などが有識者から出されたが、採用府省側から平成15年度は多様な大学等の出身者の採用に努めるという考え方が示されていること等を勘案し、平成15年度I種試験の合格者数の規模については、平成14年度と同様、採用予定数のおおむね2.5倍を基本として実施することとした。

4 大学院教育に対応した行政の中核を担う人材の確保

近年の学術研究の進展、急速な技術革新、社会・経済の高度化・複雑化などの変化に伴い、高等教育を取り巻く環境も著しく変化しており、中でも大学院において、社会的・国際的に活躍できる高度専門職業人の養成を促進するため、専門職大学院制度が整備されつつある。その中で、法曹養成の充実・高度化に資する教育を目的とした法科大学院については平成16年4月からの学生受入れ開始を目指して検討の具体化が進められており、また、政策の立案や評価にかかわる職業人養成を主目的とした公共政策系大学院については一部の大学でその設立構想も提示されている。

公務においては、現在、事務系区分については、大学院修了者の占める割合は低い状況にあるが、行政環境の国際化、高度・専門化等を背景に、将来の行政の中核を担う人材は、大学院修了程度の高度の専門的能力を基礎的素養として備えることが必要との指摘もなされてきたところである。これに加えて、従来学部卒業時に公務を目指した人材が法科大学院、公共政策系大学院等への進学を希望することも見込まれ、公務の人材供給源に変化が生じる可能性が出てきている。

これらの状況を踏まえて、法科大学院、公共政策系大学院等からの受験も想定される平成17年度採用試験に向けて、これらの設置動向や教育内容、教育方法を始めとする大学院及び大学教育に関する検討の動向を注視しつつ、I種試験の抜本的見直しを進めている。

人事院としては、現在の公務員試験における知識偏重との批判も踏まえつつ、I種試験を中心に、論文試験を主体とした、問題設定能力・多角的考察力等の能力検証を重視する採用試験の内容・方法に改める方向で、各方面の意見を聞きながら幅広く検討を進めることとしている。


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