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第1編 ≪人事行政≫

第1部 人事行政の動き

第2章 人事行政この1年の主な動きと今後の課題

II 幅広い人材の活用


1 女性国家公務員の採用・登用の拡大
(1) 女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する取組

男女共同参画社会の形成を図っていく上で、政策・方針決定過程への男女共同参画はその基盤をなすものであることから、国が率先して女性国家公務員の採用・登用に取り組む必要があるとの認識の下に人事院が策定した「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」(以下IIにおいて「指針」という。)に基づき、各府省は2005年度までの目標を設定した「女性職員の採用・登用拡大計画」(以下IIにおいて「計画」という。)を策定し、女性の採用・登用の拡大に向け取組を推進している。

(2)  各府省の「女性職員の採用・登用拡大計画」の取組状況

平成14年10月、計画を策定した31機関について、計画の取組状況の調査を実施したところ、各府省は次のような様々な取組を始めていることが明らかになった。

平成14年度における試験の種類別の女性の採用状況は、前年同期と比べ、I種は12機関、II種は13機関、III種は14機関でそれぞれ採用数が増加しており、採用についての目標との関係において「進んでいる」と評価している機関は17機関と約半数強となっている。採用の拡大に向けた主な具体的取組例は、女性を対象とした募集活動の充実、女性の新規採用者がほとんど就くことがなかったポストへの配置などとなっている。

平成14年度における登用状況は、係長級では15機関、課長補佐級は9機関で登用数が増加している。登用の拡大に向けた主な具体的取組例は、幅広い職務経験の付与、研修参加機会の確保、階層別研修において男女共同参画に関するカリキュラムを設け職員の意識啓発に努めるなどとなっている。

上記以外にも、女性職員の能力向上、意識の啓発のための研修を企画・実施、業務説明会の企画、育児休業の取得に資する代替要員の確保策、超過勤務縮減策などの取組が実施又は計画されている。

なお、特定独立行政法人についても同様の調査を実施している。

(3)  今後の取組

人事院は、各府省の人事担当課長等から構成する「女性職員の採用・登用拡大推進会議」を開催し、指針に基づく施策の実施状況、計画の進捗状況、計画の目標達成に向けての具体的取組状況及び勤務環境の整備状況等について情報交換を行いながら、今後、計画のフォローアップを行うこととしている。また、従来取り組んできた女子学生を対象とした募集活動、女性職員を対象とした研修の実施、職業生活と家庭生活の両立支援策の推進等についても、引き続き積極的に行い、女性国家公務員の採用・登用の拡大に向けて総合的かつ計画的な取組を推進していくこととしている。

2  II種・III種等採用職員の幹部職員への登用

公務の一層の活性化を図るためには、能力・適性に基づく人事管理の徹底が求められており、意欲と能力のある優秀なII種・III種等採用職員の幹部職員への登用を一層推進していくことが必要である。

そのため、人事院は、意欲と能力のある優秀なII種・III種等採用職員の早い時期からの選抜、計画的育成についての具体的な手法を盛り込んだ「II種・III種等採用職員の幹部職員への登用の推進に関する指針」に基づき、平成11年度から、登用施策の一環として、各府省が選抜し幹部登用に向けて計画的に育成しようとしている職員を対象とした行政研修(係長級特別課程)を実施し、平成12年度からはこれに加えて行政研修(課長補佐級特別課程)を実施している。

さらに、計画的育成の一環として、係長級研修受講者の中から選抜した6人を短期在外研究員制度の特別枠による海外研修に1年間派遣した。

人事院は各府省の人事担当課長で構成する「II種・III種等採用職員登用連絡協議会」を定期的に開催し、意見交換、情報交換等を行うとともに、各府省における登用の状況の把握・公表などを通じてその取組を促し支援しており、今後とも、各府省と緊密な連携を保ちつつ、指定職ポストや本省課長等への登用、従前I種採用職員が就いていたポストへの配置など、II種・III種等採用職員の幹部職員への登用を着実に推進していくこととしている。

3  キャリアシステムの見直し

国家公務員の人事管理においては、採用時の1回限りの試験結果で幹部候補者の選抜を行い、採用同期の者は一定年齢までほとんど差を付けない早い昇進と遅い選抜によるいわゆる「キャリアシステム」が採られている。

キャリアシステムは、国家公務員法上の制度として位置付けられたものではなく、各府省の運用として事実上行われているものであるが、これにより、例えば、I種試験(特に事務系)で採用された者は昇進が早く、その多くが指定職(審議官、局長等)になることができるのに対して、II種・III種等採用職員は、優秀であっても、指定職になるのは容易ではない実態が生じている。

このようなシステムによって、近年、I種採用職員の中には誤った特権意識を抱く者が出てきたり、優秀なII種・III種等採用職員の意欲を削いだりすることとなり、組織の活力の維持に支障を生じるなど弊害が目に付くようになっている。

しかしながら、極めて複雑、専門化し、かつ激変する社会・経済にあって、国民の要請にこたえる質の高い行政を展開していくためには、使命感、責任感を持ち、政策立案能力、管理能力等にも優れた有能な幹部公務員は不可欠であり、幹部要員の早期選抜、計画的育成システムは、今後とも必要であると考えられる。

現行の幹部養成システムであるキャリアシステムは、前述のような弊害が指摘されているため、選抜方法の公平性・公正性の確保、幹部要員への集中的・効率的人材育成、選抜プロセスの中での中途採用者の位置付けなどに十分配意しながら、新たな幹部公務員の選抜・育成システムの構築に向けて、有識者の意見等を聴取しつつ、国民的な合意形成を図っていく必要がある。


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