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第1編 ≪人事行政≫

第1部 人事行政の動き

第2章 人事行政この1年の主な動きと今後の課題

III 人材の育成


1  国民全体の奉仕者性の徹底の観点からの研修の充実

近時、政治家と公務員の不透明な関係や郵政局の選挙違反事件など政治と行政の在り方を問われる事件が相次ぎ、また、一連の外務省の不祥事やBSE問題の不手際など、全体の奉仕者性を疑われるような不祥事が跡を絶たない状況である。これらのことから研修面においては、特に、政治主導の理念の下での政治と行政の関係に関する確固とした理解や全体の奉仕者としての意識の徹底、倫理観の向上等国民の信頼を確保するための施策が求められている。

このため、人事院が実施する府省合同研修においては、国民の公務に対する信頼を高めるため、1)国民全体の奉仕者としての意識の徹底、2)政治的中立性の重要性の徹底、3)公務員としての倫理観のかん養を図るための研修を充実させていくこととしている。これらの研修については、受講者に幅広い教養を身につけつつ公務員の在り方を原点から見つめてもらうことなどを目的に、平成14年度は古典読書研究を取り入れた。今後は、これに加え、歴史的視点などを踏まえた新しい研修に取り組むほか、適切な講師の選定などに取り組んでいくとともに、研修の効果的な在り方について更に研究していくこととしている。

また、国民全体の奉仕者としての意識の徹底、政治的中立性の重要性の徹底等について、各府省において効果的・効率的に研修が実施できるような教材の開発などを含め、各府省との連携強化に取り組んでいくこととしている。

2  海外研修の展開

行政の国際化が一層進展する中で、多様化し複雑化する国際関係業務を担うことができる公務員の育成の重要性が高まるとともに、行政を主導していく公務員にも国際的な広い視野・感覚が必須のものとなってきている。

このため、各府省の若手の公務員を海外の大学院に留学させる長期在外研究員制度及び中堅の公務員を諸外国の政府機関等に派遣して調査、研究に従事させる短期在外研究員制度の着実な実施に努めてきており、平成14年度は、長期在外研究員は前年度比7人増の124人、短期在外研究員は46人を派遣した。

さらに昨今の行政の高度化、国際化に伴い、行政施策の企画・展開に携わる管理職員についても、従前以上に国際的な視野を持って業務遂行に当たることが必要となってきていることから、これまで短期在外研究員の対象となっていなかった企画官クラス(行政職(一)9級)以上の職員についても、その有効性や効果を検証するために派遣する等、在外研究員の派遣の在り方について検討していくこととしている。

3  研修の開発と充実
(1)  JST専科コースの開発

職場のリーダー(監督者)に特に必要とされる能力を付与し、公務員として求められる意識のかん養を図るためJST(人事院式監督者研修)専科コースを新たに設け、平成14年度は「職場におけるリスクマネジメント」と「説明責任とプレゼンテーション」をテーマとする研修コースを開発した。

リスクマネジメント及び説明責任・プレゼンテーションは、公務組織におけるリーダーに不可欠な意識・技能であるが、これまでまとまった形でこれらの研修が行われることは少なかった。そこで、リスクマネジメントを適切に行うためにはどのようにすればよいか、説明責任の意識を高めるにはどのようにしたらよいか、国民に向けてプレゼンテーションを行う際にはどのような点に留意すればよいかなどについて習得する研修を開発した。

(2)  本府省上級係員研修の実施

II種試験又はIII種試験等により採用され、本府省に勤務する職員を対象に人事院が実施する階層別研修は、これまで「課長補佐研修」及び「係長研修」の二つであったが、平成14年度より上級係員研修を実施することとした。

上級係員研修は、30歳未満の若手職員を対象にしており、他府省の職員と一堂に会し、公務員倫理や各府省が共通に抱える課題について討議させることにより、所属府省にとらわれない政府職員としての一体感の醸成、セクショナリズムの解消などを主なねらいとしている。

(3)  中途採用職員研修の実施

近年、官民の人材交流が進み、民間から公務に中途採用される者が増えている。人事院は、これらの専門的な知識経験を有する民間からの中途採用者に対して、公務員としての倫理観のかん養や行政の中立性・公正性についての意識を徹底させることを目的として、平成15年1月に、本院において初めて本府省の中途採用職員を対象とした研修を実施した。平成15年度においても引き続き全体の奉仕者性の徹底の観点からのカリキュラムを中心に研修を拡充することとしている。


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