前(節)へ 次(節)へ

第1編 ≪人事行政≫

第1部 人事行政の動き

第2章 人事行政この1年の主な動きと今後の課題

IV 法科大学院の教員としての一般職の国家公務員の派遣


司法制度改革に伴う新たな法曹養成制度においては、法科大学院における教育が、司法試験及び司法修習生の修習との有機的な連携の下に、法曹としての実務に関する教育の一部を担うものであることから、そのような実務に関する教育の実効性の確保を図るためには、裁判官及び検察官に加えて、行政実務に関する最先端の専門的な知識と経験を有する一般職の国家公務員をその教員として継続的かつ安定的に派遣することが、国の責務と考えられている。

このため、司法制度改革推進本部(内閣総理大臣を本部長とし、すべての国務大臣で構成)は、法科大学院の教員として裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員を派遣するための制度について検討を進めていたが、新たな制度は一般職の国家公務員の身分、給与等に関係することから、平成15年2月28日、内閣官房長官(司法制度改革推進副本部長)から人事院総裁に対して、司法制度改革推進本部で検討中の方針を示し、それに対する見解を求める要請がなされた。

人事院は、法科大学院に派遣される職員の適切な処遇等の取扱いについて検討し、同年3月11日、提示のあった案は適切なものと考える旨回答するとともに、給与その他この制度に関し必要な事項についての見解表明を行った。この見解が盛り込まれた「法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律案」は、第156回国会に提出され成立したところである。

法科大学院に派遣される一般職の国家公務員の身分、給与等に関する人事院の見解表明の概要

裁判官及び検察官のほか、一般職の国家公務員を法科大学院の教員として派遣するための制度に関し、お示しのあった貴案は適切なものと考える。給与その他本件制度に関し必要な事項についての本院の見解は、以下のとおりである。

1 派遣に当たっての取決め
  • (1) 任命権者は、法科大学院設置者との間の取決めにおいて、法科大学院における勤務時間、教授等の業務に係る報酬その他の勤務条件、業務内容、派遣期間等について定めること。
    (2) 任命権者は派遣の実施に先立ち、派遣される職員に取決めの内容、給与の支給に関する事項を明示し、その同意を得なければならないこと。
    (3) 任命権者は派遣期間を延長しようとするときは派遣職員の同意を得なければならないこと。
2 派遣の終了
  •  任命権者は、派遣職員が派遣先の法科大学院の教授等の地位を失った場合等でその派遣を継続することができないか又は適当でないと認めるときは速やかにその派遣を終了させ、フルタイム型派遣の場合(国家公務員としての職務に従事せず専ら法科大学院での教授等の業務を行うもの)には職員を職務に復帰させなければならないこと。
3 派遣職員の給与
  • (1) パートタイム型派遣の場合(国家公務員としての職務とともに法科大学院における教授等の業務を行うもの)、国から支給される給与と法科大学院での報酬等との合計額(派遣後の給与額)が、法科大学院に派遣されなかった場合に支給される給与の額を下回り、職員の派遣を確保するため特に必要があると認められるときは、法科大学院での教授等の業務のため減額される俸給並びにこれに対する調整手当及び研究員調整手当の減額分のそれぞれ50/100以内の額を派遣されなかった場合に支給される給与の額と派遣後の給与額との差額を限度として支給できること。
    (2) フルタイム型派遣の場合、法科大学院での報酬等が派遣の直前に国から支給されていた給与の額を下回り、職員の派遣を確保するため特に必要があると認められるときは、俸給、扶養手当、調整手当、研究員調整手当、住居手当、期末手当及び期末特別手当のそれぞれ50/100以内の額を派遣の直前に国から支給されていた給与の額と法科大学院での報酬等との差額を限度として支給できること。
4 派遣職員の復帰時における処遇等
  • (1) 派遣職員が職務に復帰した場合における職務の級、俸給月額及び昇給期間は、部内の他の職員との均衡に配慮して、人事院規則の定めるところにより、必要な調整を行うことができること。
    (2) 派遣職員が職務に復帰した場合における任用、給与等に関する処遇について、部内の他の職員との均衡を失することのないよう、適切な配慮が加えられなければならないこと。
5 派遣対象から除外される職員の範囲
  •  任期付職員、非常勤職員等は、派遣することができないこと。
6 その他
  •  派遣の要請の手続、派遣職員に対する給与の支給等に関し必要な事項については、人事院規則で定めること。

前(節)へ 次(節)へ
© National Personnel Authority