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第1編 ≪人事行政≫

第1部 人事行政の動き

第2章 人事行政この1年の主な動きと今後の課題

VIII 人事管理における手続きの簡素化


1  個別承認の基準化
(1)  基本的考え方

人事院は、これまで成績主義による任用を確保する観点、公務員の権利保護を適切に行う観点、制度の公正な運用を確保する観点などから、事前の承認・協議という形で、各府省における任用や給与等の人事管理に個別に関与してきている場合がある。こうした仕組みについては、これまでも、各府省からの要望等を踏まえ、承認事項等の基準化、包括承認化を進めてきているが、各府省の主体的・機動的な人事管理を進める観点から、平成13年8月の給与勧告時の報告において、公務における人事管理システムについて、人事院が事前に個別・詳細にチェックすることから、明確な基準の設定とその遵守をチェックすることに移行していく旨報告し、一層の取組を進めることとしたところである。

(2)  平成14年度における取組

平成14年度においては、こうした基本的考え方の下、これまでの承認・協議事例の蓄積等を踏まえ、客観性のある明確な判断基準が示し得るものについて、可能な限り基準化を図ることとした。その際、併せて各府省の運用状況の的確な把握と各制度の趣旨に沿った必要な是正が行えるよう、人事院への報告を求めるなどの事後チェックの仕組みを措置することとした。その結果、平成14年度においては、任用、給与、勤務時間、服務等に関わる合計64項目の承認・協議事項を基準化し、年間で約4,400件の承認・協議等を削減したところである。これにより、各府省における自己責任による主体的な人事管理に資する措置が講じられたものと考えている。

今後とも、適切な人事管理の枠組みを整えていく観点から、各府省の具体的な要望等に応じて基準化の措置を行っていくとともに、事後報告等に基づく各府省への必要な助言・是正方策等を充実していくこととしている。

平成14年度に行った基準化措置の概要
1 人事院の承認・協議を廃止したもの
【36項目】

〔主な具体例〕

  • (1) 中途採用

    •  高度の専門的な知識経験を有すると認められる者を公務外から中途採用しようとする場合、従来人事院へ個別に協議することとされていたが、公募及び選考委員会による審査を義務付けるなどの選考手続を整備することで、人事院への協議制を廃止した。

    (2) 給与

    •  特殊の知識を必要とする官職への選考採用者を試験採用者と同等の給与格付けとする場合、従来人事院が個別に承認していたが、選考採用者の知識経験、学歴免許等の資格に照らして、正規の試験の結果により採用された者に相当すると各府省が判断した場合には、試験採用者と同等の給与格付けとすることができることとし、人事院の承認制を廃止した。

    (3) 役員兼業

    •  国立大学教員又は研究職員が、技術移転事業者(TLO)や研究成果活用企業の役員を兼業する場合、従来人事院が個別に承認していたが、承認基準(人事院規則で規定)の運用指針を示した上で、承認権限を所轄庁の長等に委任した。

    (4) 休職

    •  官民が共同して、あるいは国又は特定独立行政法人の委託を受けて行う科学技術に関する研究に係る業務に従事する場合で、休職期間が3年を超える場合には従来人事院の承認が必要であったが、これまでの運用の定着や研究内容の長期化等の現状を踏まえ、任命権者の判断により休職期間を予め5年以内で定めること、及び5年以内で更新することを可能とした。

2 基準を明示し、これにより難い例外的な事例が生じた場合のみ、人事院が承認・協議を行うこととしたもの【28項目】

〔主な具体例〕

  • (1) 任期付採用

    •  任期付職員法に基づく任期付採用を行う場合、従来人事院が個別に承認していたが、弁護士、公認会計士など高度の専門的な知識経験を有する者を一定期間活用する必要があることが業務内容(計画)等に照らして明らかであり、公募及び選考委員会による審査を経て採用する場合については、人事院の承認があったものとして取り扱うことを可能とし、これにより難い場合のみ個別に承認することとした。

    (2) 給与

    • ・ 指定職俸給表の適用及び号俸決定について、従来、多くの場合、人事院が個別に指令を発出していたが、指定職俸給表を適用する官職及び号俸決定について包括指令により基準を明示し、これにより難い場合のみ個別に指令を発出することとした。
      ・ 行政職俸給表(一)9級以上等の上位級に職員を格付ける場合、これまで人事院が個別に承認(既に一部は包括承認済み)していたが、(ア)本省の課長や管区機関の部長等に行(一)11級を適用するケースなど上位級についての昇格基準を定めるとともに、(イ)本省課長等については経験年数に関わらず行(一)10級への格付けを可能とする等の基準を定め、これにより難い場合のみ個別に承認することとした。

    (3) 懲戒

    •  懲戒処分に付せられるべき事件が刑事裁判所に係属する間においては、従来人事院の承認を得て懲戒手続を進行させていたが、公判廷における職員本人の供述等により懲戒処分の対象とする事実があることが認められた場合等には、人事院の承認があったものとして懲戒手続を進行できるものとし、これにより難い場合のみ人事院が個別に承認することとした。

    (4) 本府省課長等への任用

    •  本府省課長以上の官職に役職段階を飛び超えて昇任を行うケース(係長等からの抜擢)については、従来人事院へ個別に協議することとされていたが、選考委員会による審査を通じ、顕著な業績等に基づき就こうとする官職の職務遂行能力が実証された場合には、直近下位の段階での勤務実績等が無い場合であっても、人事院への協議を経ることなく役職段階を飛び超えて昇任を行うことを可能とした。

2  人事・給与関係業務の電子化

人事院は、「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律」(平成14年法律第151号、平成15年2月3日施行)に基づき、人事院所管の各種手続等について、書面により行うことに加え、電子的な方法により行うことも可能とするための制度的枠組みを定めた人事院規則1-38(人事院関係法令に基づく行政手続等における情報通信の技術の利用)を制定した(平成15年4月1日公布、施行)。

また、「e-Japan重点計画-2002」(平成14年6月18日IT戦略本部決定)において、各府省共通の人事・給与等の内部管理業務については、手続の簡素合理化等業務の合理化を図り、その電子化を推進することとされた。そのため、人事院においては、人事管理、給与管理、職員からの届出・申請の処理及び各府省が共同利用できるデータベースへの登録等の諸機能を一体化した人事・給与関係業務情報システムの構築に向けて検討を行っている。

具体的には、各府省の人事・給与等業務の担当者で構成する「人事・給与等業務情報システム化推進連絡会議」やこれにIT関連事業者を加えたメンバーで構成する「人事・給与等業務情報システム化勉強会」などにおいて、各府省の要望や意見の聴取、システム構築上の留意点の整理などを行っている。

加えて、各府省の人事・給与等担当者に「届出・申請の処理システム」の概要について、理解を深めてもらうとともに、担当者や職員にとって使いやすいシステムづくりを進めるため、国家公務員研修センターにおいて平成15年1月16日・17日の両日届出・申請の処理システムのデモンストレーションを行った(全府省を通じ延べ264人参加)。

平成17年度の運用開始を目指し、今後も、多様な職場の実態や人事・給与等担当者の意見を十分反映させながら、人事・給与関係業務情報システムの構築に積極的に取り組むこととしている。

なお、平成15年3月31日の各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議において、人事・給与等業務の合理化を図るシステムを効率的に整備するため、人事院、総務省及び財務省は、連携協力して、各府省と連絡調整しつつ、人事管理、給与管理、職員からの届出・申請の処理及び各府省が共同利用できるデータベースへの登録等の諸機能を一体化した人事・給与関係業務情報システムを開発する旨決定された。


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