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第1編 ≪人事行政≫

第1部 人事行政の動き

第2章 人事行政この1年の主な動きと今後の課題

IX 早期退職慣行の是正


1  基本的考え方

公務員の定年年齢は原則60歳と定められているが、各府省では、キャリアシステムの下、組織の新陳代謝を図り活力を維持する趣旨で、I種採用職員の場合、50歳前後から早期に退職する慣行が広く行われ、多くの場合、退職した職員は、府省のあっせんにより民間企業や特殊法人等に再就職している。こうした再就職については、国民からは、いわゆる「天下り」として、各府省による押し付けであるなどといった厳しい批判が寄せられている。特に、経済の停滞が続き、これまで退職者を受け入れてきた民間企業等にも余裕がなくなる中、「天下り」が公益法人等の増加や官民癒着の原因とみなされるなど、国民の批判はかつてない厳しいものとなっている。

人事院は、従来より、民間企業への再就職が官民癒着との批判を招かないよう、再就職の承認について厳正に対処してきているが、本格的な高齢社会を迎える中で「天下り」問題を抜本的に解決し、行政に対する国民の信頼を保持していくためには、幹部公務員の早期退職慣行を是正し、公務内においてその能力を活用できるよう、人事システムを再構築することが極めて重要であると考えている。

このような認識の下、平成8年以来、人事院勧告時の報告等においても、早期退職慣行の是正に向け、政府全体としての方針の下で各府省が新たな人事システムの構築に向けて計画的に取り組むことが重要である旨言及してきた。

2  早期退職慣行の是正に向けた取組

このような状況の中、平成14年7月23日、閣僚懇談会において内閣総理大臣から、国家公務員の早期退職慣行が各種の弊害を生んでいるとの認識の下、公務員としてできるだけ長期間、国民全体の奉仕者としての職責を全うできるように、早急に早期退職慣行の見直しに着手しなければならないとして、各府省において、勧奨退職年齢を引き上げるための計画を立て、ピラミッド型の人事構成や年次主義を見直し、併せて、職員の意識改革を進めていくよう指示が出された。

これを受け、各府省において人事管理、退職管理の実態を踏まえた勧奨退職年齢を引き上げるための計画が検討されるとともに、政府全体としての取りまとめが進められ、平成14年12月17日、閣僚懇談会において早期退職慣行の是正に関する申合せが行われた。

同申合せでは、各府省の幹部職員の勧奨退職年齢を平成15〜19年度の5年間にかけて段階的に引き上げ、平成20年度に原則として現状と比べて平均の勧奨退職年齢を3歳以上高くすることが目標として掲げられ、この目標の達成に向け、政府が一体となって早期退職慣行の是正に取り組むとともに、各府省は、それぞれの実情に合わせて可能な限り勧奨退職年齢の段階的・計画的な引上げに努めることとされている。

今後、各府省においては、採用年次等に基づく一律的な人事管理から能力・実績等を反映した弾力的な昇進管理への移行、新たな行政ニーズに対応して整備するスタッフ職等への幹部公務員の登用などによる複線的な昇進管理への移行など、それぞれの実情に合わせ、早期退職慣行の是正に向けた計画的な取組が進められることとなる。人事院は、これらの取組が円滑に進められるよう、人事行政の専門機関として、また、人事管理に関する諸制度を所掌する立場から、必要な助言、協力を行うこととしている。


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