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第1編 ≪人事行政≫
第2部 平成14年度業務状況
第2章 人材の育成
第1節 研修の実施
人事院は、国公法及び同法に基づく規則10-3の定めるところにより、各府省が実施する研修に関し、総合的な企画、調整等に当たるとともに、自ら実施することが適当と認められる研修についてはこれを計画し、実施することとしている。このため、人事院は、研修に関し広く必要な調査研究を行い、これらの結果を踏まえつつ、随時、研修担当官会議、研修所長等会議を開催するなどにより、研修の指導、調整に当たるほか、中央及び地方において、全府省の職員を対象とした行政研修、本府省職員研修、地方機関職員研修その他各種の研修を実施している。(図2-1)
図2-1 人事院が実施している研修

平成13年度において人事院、各府省及び各特定独立行政法人が実施した研修は、合計で、研修コース数19,207コース、研修人員548,829人となっており、このうち、研修時間20時間以上の研修は、研修コース数7,656コース、研修人員194,193人となっている。また、平成14年度において、人事院が各府省の職員を対象として実施した研修は、研修コース数189コース、研修人員6,327人となっている。
2 行政研修人事院は、各府省の行政運営の中核となることが期待される職員を対象に、全体の奉仕者としての使命感をかん養すること、所属組織等を超え国民全体の視点から行政を展開するための見識・判断力・実行力を向上させること及び国家公務員として協力して行政を展開するための相互信頼を促進することを基本的な目的とした合同研修(行政研修)を実施している。(資料2-1)
行政研修は、我が国が直面する各種の重要な政策課題について国全体としての対応策を研究する「政策課題研究」、研修員の所属府省が抱えている個別の行政課題について問題点や解決策などを所属組織を超え国民全体の視点から研修員同士が討議する「個別政策研究」、公務員倫理に関する講義・演習・読書研究など討議を中心とした参加型のカリキュラムが柱となっている。また、合宿生活を通じて研修員相互の理解・信頼をより一層促進している。
行政研修は、採用時の合同初任研修、初任行政研修をはじめ、本府省の係長級、課長補佐級、課長級の各職員に対する研修など各階層ごとに実施している。
また、様々な分野の者との交流を通じ幅広い視野を身につけ相互の理解を深める観点から、民間企業、地方公共団体、外国政府等からの参加を得て実施している。
平成14年度における行政研修の実施状況は、表2-1のとおりである。
表2-1 平成14年度行政研修実施状況

I種試験(これに相当するものを含む。)により採用された直後の職員を対象に、総務省と共同で実施している。
平成14年度は、各界を代表する講師による「人間としての生き方」、「行政に望む」、「科学技術創造立国」、「世界潮流の見方と日本の課題」と題した講演のほか、本府省局長・審議官級の幹部による各府省横断的な行政課題についての講義(レクチャー・フォーラム方式)、公務員の服務・倫理についての講義・事例研究、人事管理官及び先輩職員を囲んでの班別座談会を中心として実施した。
合同初任研修開講式

将来、本府省において政策の企画・調整の衝に当たることが見込まれる各府省のI種試験(これに相当するものを含む。)により採用された職員を対象に、4コースに分けて実施している。
平成14年度は、「公務員倫理」に関する講義・演習のほか、社会保障の在り方、経済構造改革等をテーマとした「行政課題研究」、5、6人が一組となり研修員が自主的に設定したテーマについてグループ討議を行いつつ研究論文をまとめる「共同研究」、日米自動車交渉事例、京都議定書採択事例等社会的、歴史的意味の大きい行政事例を題材として、政策決定の在り方を考察する「行政政策史」などを行った。また、体験型カリキュラムとして、社会福祉施設での実地体験を通じて社会や地域のあるべき姿を考え、国民の目線でものを見ることの重要性を学ぶ「介護等実地体験研修」、地方自治体へ赴き、地方自治体行政の実情を学び、地方行政に携わる職員や地域住民との意見交換を行うこと等により、地域の多様性、生活実態、住民の意識やニーズ等について認識を深める「地方自治体実地研究」の二つを多様な内容で実施した。
カリキュラムの概要は表2-2のとおりである。
表2-2 平成14年度初任行政研修の内容

本府省の係長級の職員を対象に実施している。
平成14年度は、今後の社会保障制度の在り方をテーマとした「政策課題研究」、今後の我が国とアジアとの関係をテーマとした「国際関係研究」、各府省の行政課題についての「個別政策研究」のほか、公務員倫理演習などをカリキュラムとして1回実施した。
(4) 行政研修(係長級特別課程)II種試験又はIII種試験等により採用された本府省の係長級の職員で、各府省が将来の幹部要員として計画的に育成しようとしている者を対象に実施している。
平成14年度は、経済社会構造の変化と行政の対応等をテーマとした「政策課題研究」、我が国のODA等をテーマとした「国際関係研究」、各府省の行政課題についての「個別政策研究」のほか、公務員倫理演習、ディベートなどをカリキュラムとして2回実施した。
また、研修員の所属府省における今後の育成の参考に資するため、研修期間中における研修員の能力・適性等について評価を行った。
(5) 行政研修(課長補佐級)本府省の課長補佐級の職員を対象に実施している。
平成14年度は、今後の行政の在り方、日本経済の再生と構造改革、今後の日米関係の在り方等をテーマとした「政策課題研究」、各府省の行政課題についての「個別政策研究」のほか、公務員倫理に関する講義又は読書研究、民間施設の実地見学などをカリキュラムとして7回実施した。
政策課題研究のテーマは、表2-3のとおりである。
表2-3 平成14年度行政研修(課長補佐級)の政策課題研究テーマ

独立行政法人を含む研究所の研究職員のほかに、本府省の科学技術関連の部局に勤務する行政職員を対象に実施している。
平成14年度は、我が国の産業競争力強化を目指した創造的科学技術研究体制をテーマとした「政策課題研究」、各機関における課題についての「個別政策研究」、公務員倫理講義などをカリキュラムとして1回実施した。
(7) 行政研修(課長補佐級特別課程)II種試験又はIII種試験等により採用された本府省の課長補佐級の職員で、各府省が将来の幹部要員として計画的に育成しようとしている者を対象に実施している。
平成14年度は、デフレ・不良債権問題と金融政策をテーマとした「政策課題研究」、我が国の安全保障外交の在り方をテーマとした「国際関係研究」、各府省の行政課題についての「個別政策研究」のほか、公務員倫理講義などをカリキュラムとして1回実施した。
また、研修員の所属府省における今後の育成の参考に資するため、研修期間中における研修員の能力・適性等について評価を行った。
(8) 行政研修(課長級)本府省の課長級職員を対象に実施している。
平成14年度は、今後の行政の在り方、経済問題、国際情勢などをテーマとしたレクチャー・フォーラム方式の「政策課題研究」、各府省の行政政策についての「政策事例研究」、公務員倫理に関し思索等を深める観点からの「古典読書研究」のほか、企業経営者による講義などをカリキュラムとして5回実施した。
政策課題研究のテーマは、表2-4のとおりである。
表2-4 平成14年度行政研修(課長級)の政策課題研究テーマ

行政フォーラムは、長期間の研修の参加が困難な本府省の課長級職員に研修機会を提供する場として、霞が関近辺を会場とし、講義と意見交換を合わせて2時間30分という参加の容易な形式で実施している。
平成14年度は、各界から著名な講師を招いて、政と官、日本経済、日中関係等をテーマとして6回実施した。
各回のテーマ及び講師は、表2-5のとおりである。
表2-5 平成14年度行政フォーラムのテーマ及び講師

近年、官民の人材交流が進み、民間から公務に中途採用される者が増えていることから、これらの専門的な知識経験を有する民間からの中途採用者に対して、公務員としての倫理観のかん養や行政の中立性・公正性についての意識を徹底させることを目的として、平成15年1月に、本院において初めて本府省の中途採用職員を対象とした研修を2日間の日程で実施し、25人が参加した。
研修のカリキュラムは、「公務員倫理」、「国家公務員の服務」及び「セクシュアル・ハラスメントの防止を考える」など、公務員の倫理を中心に主として講義・事例研究方式で行ったほか、外部専門家による「メンタルヘルス」、公務から民間へ転出された経営者による講演「中途採用職員に期待する」をカリキュラムの中に盛り込んだ。
平成15年1月に専門的な知識経験を有する民間からの中途採用者を対象とした研修が新設されました。そこで、第1回の研修員25人のアンケートの中から研修を受ける前の気持ちや、研修を受けた後の感想などを紹介します。
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本府省の局長、審議官及び管区機関の局部長を対象に、各界の有識者を交えて、これからの行政と行政官の在り方を基本に立ち返って考え、意識改革を図る幹部行政官セミナーを実施した。全国9都市で10回開催され、155人が参加した。
セミナーにおいては、それぞれ3時間にわたり、各界の有識者からの講話と講師を交えた意見交換を行った。本府省の審議官を対象としたセミナーでは、これに加えて、国会議員とNPO(民間非営利組織)の代表者それぞれ3人を招いて、政治と行政、国民と行政の在り方について率直な意見を交換した。
幹部行政官セミナーにおけるテーマ等実施状況は、表2-6のとおりである。
表2-6 平成14年度幹部行政官セミナーの実施状況

幹部行政官セミナー(局長級)

平成13年5月に人事院が各府省に発出した「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」を踏まえ、女性職員が意欲的に自らのキャリアアップを考え、より高度な業務遂行のために必要な能力等を向上させ、併せて人的ネットワークの形成を促進することを目的として、平成13年度から女性職員を対象とした研修を実施している。平成14年度においては、全国10都市で10回実施し、389人が参加した。
本府省係長級のII種・III種等採用女性職員を対象とした、「女性職員のためのエンパワーメント・セミナー(係長級)」では、1日の通勤研修に加え2泊3日の合宿研修を行い、女性国会議員による特別講義や論理的思考力、プレゼンテーション力の向上を目指すディベート実習をカリキュラムとして盛り込んだ。また、地方事務局(所)においては、「男女共同参画セミナー」を女性職員研修と並行的に実施した。
女性職員研修の実施状況は、表2-7のとおりである。
表2-7 平成14年度女性職員研修の実施状況

人事院は、本府省に勤務する上級係員、係長及び課長補佐級の職員を対象に、本府省職員研修を実施している。また、地方機関に勤務する職員に対しては、新採用職員、中堅係員、係長、課長補佐、課長級を対象に階層別の研修、語学研修、特定のテーマを取り上げるテーマ別の研修を実施している。(資料2-2)
平成14年度の実施状況は、表2-8のとおりである。
表2-8 平成14年度本府省職員研修・地方機関職員研修実施状況

II種試験又はIII種試験等により採用され、本府省に勤務している職員を対象に、将来の本府省の中堅幹部等としてふさわしい知識、能力を習得させるとともに、国民全体の奉仕者たる政府職員としての一体感を培うことを目的として階層別に実施している。
ア 上級係員研修平成14年度は、「少子・高齢社会に対応する行政について」を中心テーマに1回実施した。
イ 係長研修平成14年度は2回実施した。第1回は「行政の役割を考える-地方分権等の視点から」を中心テーマに、地方公共団体の職員の参加を得て行った。第2回は「男女共同参画社会を考える」を中心テーマに、男女ほぼ同数ずつの参加者により全期間合宿で実施した。
ウ 課長補佐研修平成14年度は、「政治と行政の役割を考える」を中心テーマに1回実施した。
(2) 地方機関職員研修地方機関の実情を踏まえつつ、各階層ごとに求められる能力、資質等を向上させ、併せて政府職員としての一体感を培うことを目的として階層別の研修を実施するとともに、特定のテーマに関する知識・スキルを深めるための研修などを実施している。
階層別研修の内容は、各階層に必要な基本的知識等を付与する科目のほか、近年の公務を取り巻く諸情勢を踏まえ、公務員倫理、男女共同参画、セクシュアル・ハラスメント防止等の科目を取り入れている。なお、一部の研修では、研修員の一体感を醸成し、研修効果を高めるため合宿研修を取り入れている。また、ここ数年、障害者疑似体験など障害者施策に関する研修に力を注いでいる。
ア 新採用職員研修採用人数の関係等により、自らこの研修を実施することが困難な府省の地方機関に採用された職員を対象に、公務員倫理、公務員制度の解説、応接とマナーの科目を中心に実施している。
イ 中堅係員研修将来、職場のリーダーとなる中堅係員を対象にその能力を向上させるため、職場の現状や課題についての討議やプレゼンテーション、ディベートなどを主要科目として実施している。
ウ 係長研修職場のリーダーとして必要な能力の付与を目的として、リーダーシップやコミュニケーションなどの科目を中心に実施している。
エ 管理監督者研修(課長補佐研修・課長研修)課長、課長補佐を対象に、新たな行政需要に的確に対応し得る地方機関の幹部職員の養成を目的として、管理監督者の役割に関する科目を中心に実施している。また、異分野交流を図るため、民間企業からの参加を得て実施している。
オ 語学研修職務上、外国人と接触する機会のある部署の職員を対象として、英語の会話能力等の向上を図る研修を実施している。
カ テーマ別研修プレゼンテーション、高齢者・障害者に対するボランティア活動など特定のテーマを取り上げて研究、体験するテーマ別研修を実施した。また、管理監督者を対象に、職業観などを養い、人事管理等の行政運営に資することを目的として、講師の指導の下、あらかじめ指定された書物を読んで討議を行い、講評を受ける「名著を読む」を平成13年度に引き続き実施した。
7 派遣研修人事院は、我が国における行政運営の国際化に的確に対応し得る人材を育成する研修として、各府省の行政官を国外の大学院、政府機関等に派遣する「行政官長期・短期在外研究員制度」を、また、複雑かつ高度化する行政に対応する専門的な知識、技能を習得させる研修として、各府省の行政官を国内の大学院に派遣する「行政官国内研究員制度(大学院コース)」、司法研修所に派遣する「同(司法修習コース)」を実施している。
このほか、職員を民間企業等に派遣して、民間企業等の効率的業務運営の手法を体験、習得させる民間派遣研修の制度を運営している。
(1) 在外研究員制度ア 行政官長期在外研究員制度
この制度は、複雑・多様化する国際環境に的確に対応するとともに国際的視野を持って行政運営に当たり得る行政官の育成を図ることを目的に、各府省の行政官を2年間諸外国の大学院等に派遣し、国際化する行政に必要な各分野の研究に従事させるものである。
派遣される研究員は、在職期間が6年未満の行政官で、各府省の長が推薦する者のうちから、人事院の選抜審査及び大学院等の選考を経て決定している。
昭和41年度に発足して以来、平成14年度までに派遣した研究員の総数は、1,658人で、派遣先国別の内訳は、米国1,208人、英国230人、フランス118人、ドイツ52人、カナダ37人、オーストラリア12人及びデンマーク1人となっている。
派遣人員は、このところ毎年着実に増加しており、平成14年度には過去最高の124人を派遣した。(図2-2)
図2-2 行政官長期在外研究員派遣者数の推移

平成14年度の国別の派遣先内訳は、表2-9のとおりである。
表2-9 平成14年度行政官長期在外研究員派遣状況

この制度の修了者は、そのほとんどが派遣期間中に修士号の学位等を取得するとともに、帰国後、再び海外の第一線で活躍する者が多い(第1回から第25回までの758人のうち、延べ572人が海外勤務を経験している。)。国内にあっても、国際的視野に立った行政施策の企画・調整の衝に当たるなど、我が国行政の国際的な活動において、大きな役割を担っている。
イ 行政官短期在外研究員制度この制度は、諸外国において専門的な知識、技能等を習得させることにより、増大しつつある国際的業務に適切かつ迅速に対処し得る人材の育成を図ることを目的に各府省の中堅行政官を約6か月間又は1年間、諸外国の政府機関等に派遣するものである。
派遣される研究員は、在職期間がおおむね6年以上で、かつ、職務の級が行政職俸給表(一)の4級から8級まで(他の俸給表についてはこれに相当する級)の行政官で、各府省の長が推薦する者のうちから、人事院が選抜審査を行って決定している。研究員は、諸外国の政府機関、国際機関等に派遣され、それぞれの課題について調査研究活動に従事する。
昭和49年度に発足して以来、平成14年度までに派遣した研究員の総数は、1,016人で、派遣先国別の内訳は、米国501人、英国206人、オーストラリア64人、ドイツ49人、フランス49人、カナダ46人、その他101人となっている。(資料2-3)
平成14年度の国別の派遣先内訳は、表2-10のとおりである。
表2-10 平成14年度行政官短期在外研究員派遣状況

研究員が帰国後に提出する研究報告書は、海外の制度、実情に関する最新の情報であり、関連する行政分野における貴重な資料として、各府省の行政に反映されている。
(2) 国内研究員制度ア 行政官国内研究員制度(大学院コース)
この制度は、高度の専門知識、技能を持った行政官を育成し、行政の複雑・高度化に対処することを目的に、各府省の職員を2年間を限度として、国内の大学院の修士課程に派遣し研究に従事させるものである。
派遣される研究員は、在職期間が2年以上おおむね16年未満で、かつ、職務の級が行政職俸給表(一)の2級から8級まで(他の俸給表についてはこれに相当する級)の行政官で、各府省の長が推薦する者のうちから、人事院の選抜審査及び大学院の入学試験を経て決定される。
平成14年度は、19人の研究員を派遣した。(表2-11)
表2-11 平成14年度行政官国内研究員(大学院コース)派遣状況

これまでの派遣者総数は、筑波大学大学院104人(昭和51年度から)、横浜国立大学大学院42人(平成2年度から)、東京大学大学院60人(平成4年度から)、京都大学大学院18人(平成6年度から)、政策研究大学院大学17人(平成12年度から)及び埼玉大学大学院97人(昭和52年度から平成11年度まで)となっている。
イ 行政官国内研究員制度(司法修習コース)この制度は、各府省の行政官のうち、司法試験に合格している者を司法研修所に派遣して、法律に関する理論と実務の研究に従事させることにより、複雑かつ高度化する行政に対応し得る専門的な法律的知識等を習得させることを目的としている。
平成14年度の新たな派遣はなかったが、昭和63年度に発足して以来、平成14年度までに派遣した研究員の総数は20人となっている。
(3) 民間派遣研修制度この制度は、職員を民間会社等に派遣して、その業務を体験させることにより、民間会社等の業務運営の手法等を理解させることを目的としている。
平成14年度においては、地方機関からの派遣も含めて、4府省から79人の行政官が民間企業に派遣され、業務を体験する方法により研修が実施された。
8 指導者養成研修等人事院は、人事管理や研修に関して各府省がより効果的に研修を実施できるよう、各種の定型討議方式の研修を開発するとともに、それらの研修の指導者を養成する研修を行っている。また、プレゼンテーション能力など職員に求められる特定の能力を向上させるための研修や研修に従事する職員のための研修を実施している。(資料2-4)
平成14年度の実施状況は、表2-12のとおりである。
表2-12 平成14年度指導者養成研修等実施状況

上記研修の内容及び目的は、次のとおりである。
(1) 指導者養成研修ア 人事院式監督者研修(JST)基本コース
初任監督者に仕事の進め方や部下の管理・監督の基本を習得させる。内容はマネジメントの基本、リーダーシップ、コミュニケーションを三つの柱としている。(JST:Jinjiin Supervisory Training)
イ JST応用実践コースJST基本コースの修了者等を対象とし、マネジメントの基本を踏まえてこれを応用・実践するための技能や態度などを事例研究を通じて習得させる。
ウ 討議式研修「公務員倫理を考える」(JKET)公務員の倫理観のかん養を図り、公務への信頼を確保する。(JKET:Jinjiin Koumuin Ethics Training)
エ 人事院式ミドルエイジ職員プログラム(JAMP)中高年職員が、自分の長所、強みを再認識し、より充実した職場生活と人生の実現に向けての意欲を一層高めることによって、組織の活性化及び公務能率の向上を図る。(JAMP:Jinjiin Active Middle-age Program)
オ 接遇研修接遇の基本を習得させ、職員の執務態度の向上を図る。
カ OJT実践コース第一線の管理・監督者の部下の指導・育成能力を向上させる。
(2) JST専科コース職場のリーダーに求められるマネジメント能力、意識のうち、特に近年その重要度が高まっているテーマについて研修し、必要な能力・意識の向上を図ることを目的として本年度開発した。現在、「職場におけるリスクマネジメント」と「説明責任とプレゼンテーション」の二つの研修を実施している。
(3) 研修企画担当官研修各府省において研修の企画、実施等の事務に従事する職員で、その経験がおおむね1年未満の者を対象とし、研修カリキュラムの立て方、研修技法、研修評価などについての理解を深める。
(4) 教官研究会各府省の研修所等において研修指導に当たっている職員で、その経験年数が1年未満の者又は近くこうした職員になることが予定されている者を対象とし、指導者としての心構え、研修技法などについて理解を深めるとともに、指導実習を行う。
9 各府省が実施した研修各府省は、その所属職員を対象とした研修を実施するとともに、所管の行政分野について全府省の職員を対象とした専門研修(会計研修、統計研修など)を実施している。
人事院は、各府省が行う研修に関する調整、指導を行うため、研修の実施状況について各府省に報告を求めているが、平成13年度の報告からは、次のような特徴が見受けられる。
- (1) 職員の職務に係る服務・倫理の保持及び公務に対する国民の信頼を確保し公務員倫理のかん養に資するため、国家公務員倫理規程や自府省の倫理規程、職務倫理の科目を組み入れ、更なる職員への周知を図っている。
(2) 近年の社会情勢に対応し、女性職員の採用・登用の拡大を推進する動きに合わせ、職員の意識啓発を図るため、男女共同参画、セクシュアル・ハラスメント等人権問題に関する科目を積極的に取り入れている。
(3) 多岐にわたる国際業務に対応できる人材の育成や、グローバル化する業務を円滑に遂行するため、語学研修の充実を図っている。
(4) 各種アプリケーションソフトを習得させることにより操作技術を向上させ、業務の能率化・効率化を図るパソコン研修を実施している。
(5) 各府省は、今後の課題として、国際化、高度情報化、複雑高度化する行政需要に的確に対応できる人材育成の在り方や、職員の能力向上を目的とした効果的な研修の策定、講義中心の内容から参加型のカリキュラムを多く取り入れ、職員の研修参加意欲、自己研磨意欲等の醸成を図る研修や、省庁再編による研修体系の見直しなどを挙げている。
なお、規則9-8の定めるところにより、特別昇給対象の人事院の定める研修に参加し、その成績が特に良好であった者については特別昇給させることができることとされているが、平成14年度においてこの制度により人事院が定めている研修コース数は、29コースであった。
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