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第1編 ≪人事行政≫

第2部 平成14年度業務状況

第5章 職員の福祉

第1節 健康安全管理対策の推進


公務における健康安全管理制度は、職員の健康の保持増進を図るとともに、職場の安全を確保することで、公務能率の向上に資することを目的として設けられ、その具体的な内容は規則10-4等に定められている。これらの規則に従い、各府省は健康安全管理のための措置を実施することとされているが、制度の円滑な運営を確保するため、人事院が基準の設定、総合的な指導、調整等を行っている。

1  健康管理対策の推進
(1)  生活習慣病対策の推進 (2)  喫煙対策の推進

タバコは、吸う本人の健康によくないばかりか、タバコを吸わない周囲の人たちの健康にも悪い影響を与えることが明らかになっていることから、平成9年に「職場における喫煙対策に関する指針」を発出し、これに基づき、各機関において喫煙対策を推進するよう指導している。

平成14年度は北海道地区において、平成15年1月各機関の健康管理担当者の出席を得て、喫煙対策推進会議を開催し同対策の徹底を呼びかけるとともに、その後平成15年3月にかけて4度にわたり希望者を対象に「禁煙サポート」に関する講座を開催した。

(3)  メンタルヘルス対策

メンタルヘルス対策のより一層の強化を図るため、従来から精神科医など専門家によるメンタルヘルス対策推進指導委員会を設置するとともに、全国9ブロックに委員を配置して、各府省のメンタルヘルス対策を支援している。

平成14年度は、前述の生活習慣病管理研究会議において心の健康問題をテーマとして取り上げたほか、各府省の健康管理担当者、管理監督者等を対象とした「メンタルヘルス講習会」を本院並びに東北、関東、中部及び九州の5地区で開催し、職場における精神保健体制の在り方について指導した。この講習会には計345人が参加したが、受講者の評価は非常に高く、アンケートの結果、いずれの地区においても「有意義だった」としたものが90%以上であった。

また平成14年12月、各府省におけるメンタルヘルス対策の中核的な要員を育成するため、各府省の医務室等に勤務する看護師及び保健師29人を対象として、第2回目のメンタルヘルス相談員養成講座を3日間の日程で開催し、メンタルヘルスの基礎知識等についての講義、ロールプレイ、事例研究等を行った。

そのほか、各府省への支援策として、職場不適応などの身近な事例研究等を内容とした健康管理関係者向けの情報提供誌「こころの相談室」を引き続き各府省に配布した。

全国10か所に設置しているメンタルヘルス相談室の平成14年度における相談件数は、合計195件であった。これら相談の内容等をみると、悩みを抱く職員本人からの相談では、「病気等自身の問題」が98件、「職場の問題」が47件、「家庭の問題」が18件となっている。また、職場の管理監督者等本人以外の者からの相談では、「悩みを抱えている職員への対応に関するもの」が31件、「その他」が1件となっており、依然として、メンタル面の問題を抱える職員の対応に苦慮している職場の管理監督者等が少なくないことがうかがえる。

(4)  VDT作業対策

電子化の進展に伴いVDT作業の増加が著しく、大部分の職員が何らかの形でVDT作業に従事している状況にある中、VDT作業従事職員の心身の負担を軽減し、作業を支障なく行うことができるように、平成14年12月16日、当該職員に係る環境管理、作業管理及び健康管理に関する新たな指針(勤務条件局長通知)を発出し、その対策の充実に努めている。

公務におけるVDT作業

人事院は、平成14年12月に「VDT作業従事職員に係る環境管理、作業管理及び健康管理の指針」を16年ぶりに見直しましたが、これに先駆けて国の機関におけるVDT機器の導入状況、職員のVDT作業従事実態等について調査を行いました。

その結果を前回(昭和59年)の調査と比較すると次のようになっています。

VDT作業等の実態


近年の情報技術の急速な進展を踏まえ、国の機関においてもVDT機器が1人につき1台以上導入されており、ほぼ全職員が毎日VDT作業に従事し、かつ、約半数が1日4時間以上従事しているなど、昭和59年当時とは大幅に変化していることが分かります。

VDT作業とは・・・

ディスプレイ、キーボード等により構成されたVDT機器を使用して、データの入力・検索・照合等、文書・画像等の作成・編集・修正等、プログラミング、監視等を行う作業をいいます。

(5)  単身赴任者の健康管理対策

各府省における単身赴任者の総合的な健康管理対策を推進するため、各府省の単身赴任中の管理監督者等を対象とした「単身赴任者生活管理研究会」を平成14年度は中国及び沖縄の2地区で開催し、心身両面にわたる健康管理についての講義、討議、調理実習等を行った。

(6)  C型肝炎対策

C型肝炎は日本国民の約3%がその原因となるウイルス(HCV)を保有するとされ、その転帰は肝硬変、肝臓がんにつながるなど、まん延防止は公衆衛生上大きな課題となっている。こうした状況を踏まえ、平成14年7月10日、公務におけるC型肝炎抗体検査の適切な実施に関する職員課長通知を発出した。

(7)  国家公務員死亡者数調査

職員の健康管理及び安全管理の向上に資するため、3年に一度「国家公務員死因調査」を実施し、他の年度については、「国家公務員死亡者数調査」を実施している。

平成14年度は、平成13年度中に死亡した一般職の国家公務員について「国家公務員死亡者数調査」を実施した。

平成13年度における在職中の死亡者は879人で、前年度より35人減少しており、死因別では、病死が682人で前年度より13人の減少、災害死が197人で22人の減少であった。災害死のうち自殺は129人で昨年度と同数である。

また、国家公務員と国民(18歳〜60歳)の死亡率(職員又は国民10万人に対する率)を比較してみると、国家公務員が109.9であるのに対し、国民は188.9となっている。(表5-1)

表5-1 死亡者数及び死亡率(国民との比較)


(8)  国家公務員長期病休者実態調査

職員の健康管理に関する諸施策の検討に資するため、一般職の非現業国家公務員のうち、平成13年4月1日から平成14年3月31日までの間に引き続いて1か月以上の期間、負傷又は疾病のため勤務していない者を対象に「国家公務員長期病休者実態調査」を行った。

長期病休者は、6,591人(全職員の1.4%)であり、前回調査(平成8年)に比べ435人減少している。性別にみると男性は4,375人(全男性職員の1.2%)、女性は2,216人(全女性職員の1.9%)となっている。

傷病別にみると、「精神及び行動の障害」1,912人(長期病休者総数に対する割合は29.0%)、「新生物」1,045人(同15.9%)、「損傷、中毒及びその他外因の影響」644人(同9.8%)、「筋骨格系及び結合組織の疾患」539人(同8.2%)、「消化器系の疾患」485人(同7.4%)の順となっている。(図5-1)

図5-1 平成13年度傷病別長期病休者数


前回調査と比べ「精神及び行動の障害」が862人、「妊娠、分娩及び産じょく」が37人それぞれ増加しているが、その他の傷病はいずれも減少している。(表5-2)

表5-2 傷病別長期病休者数の比較


(9)  健康診断の実施状況

平成13年度の一般定期健康診断は、各府省において、1)全職員を対象とする胸部エックス線検査、血圧測定及び尿の検査(蛋白)、2)血糖検査受診者を除いた者を対象とする尿の検査(糖)、3)40歳以上の職員を対象とする肺がん胸部エックス線検査、喀痰細胞診、胃の検査及び便潜血反応検査、4)35歳時及び40歳以上の職員を対象とする血糖検査、心電図検査、血清総コレステロール検査、HDLコレステロール検査、中性脂肪検査、貧血検査及び肝機能検査が実施された。(資料5-1)

各検査項目の受診率は、前年度に比べ尿検査(糖)及び喀痰細胞診が上昇したほかは低下したが、一方、総合健診(人間ドック)(規則10-4第21条の2)を受診した者が、全職員の24.6%と、前年度に比べ1.8ポイント上昇した。一般定期健康診断の受診率は低下しているものの、総合健診の受診率は年々上昇しており、両者を含めた受診率はほぼ横ばいとなっている。

また、有害な業務又は健康障害を生ずるおそれのある業務(規則10-4で放射線に被ばくするおそれのある業務など18種類の業務を定めている。)に従事する職員を対象として、特別定期健康診断が各府省において実施された。18業務を合わせた受診率は86.1%で前年度に比べ0.2ポイント低下した。その結果、健康に異常又は異常を生じるおそれがあるとして、指導区分の決定を受けた職員の割合は、要医療が受診者の0.9%、要観察が2.4%であった。

このほか、各府省において、子宮がん健診、VDT健診等が臨時の健康診断として実施された。

2  安全管理対策の推進
(1)  職場における災害の防止

平成13年度に職場で発生した災害により死亡した者及び1日以上休業した者は、399人で、前年度に比べ63人の増加となった。増加した要因としては、集団食中毒の発生(2件で71人が被災)が挙げられる。なお、死亡者は2人(前年度3人)で交通事故及び建物からの墜落によるものであった。(図5-2)

図5-2 死傷者数の推移〔休業1日以上(平成4年度〜13年度)〕


災害の発生状況を事故の型別にみると、武道訓練が17.0%と最も多く、次いで転倒14.5%、墜落・転落11.5%、レク・スポーツ6.8%、交通事故(道路)6.3%の順となっており、これらで全体の56.1%を占めている。(図5-3)

図5-3 事故の型別死傷災害発生状況〔休業1日以上(平成13年度)〕


これら職場における災害の発生を防止するため、死亡事故等や公務における特徴的な災害である武道訓練での負傷事故については、個別の事情聴取等により詳細な調査を行い、的確な再発防止措置が講じられるよう指導するとともに、その後の措置状況について確認した。

(2)  放射線障害防止対策

職員の放射線障害を防止するため、各府省の安全管理担当者に対し、監査結果により規則10-5に基づく放射線管理に必要な措置について指導を行った。

また、平成14年度に文部科学省に申請された放射性同位元素等の使用承認及び変更承認に関し、人事院に協議のあった73件(使用承認9件、変更承認64件)について承認することに同意した。

(3)  設備等の届出

ボイラー、クレーン等安全管理上特に配慮を必要とする設備については、規則10-4の規定に基づき、設置等の際にその設備の状況を人事院に届け出ることとなっている。

平成14年度は総台数642台の設備届(設置407台、変更1台、廃止234台)があった。

また、エックス線装置を設置等した場合には、規則10-5の規定に基づき人事院に届け出ることとなっており、平成14年度は344台(設置204台、変更5台、廃止135台)の届出があった。

3  健康安全管理の指導及び啓発
(1)  健康安全管理の研修会等

人事院は、健康安全管理について、各府省との密接な連絡及び法令の周知を図るため、各府省の健康安全管理の担当者を対象とした研修会等を開催している。平成14年度は、本府省のほか、北海道、関東、中部、中国及び沖縄の5地区で開催し、健康安全管理に対する認識と実務についての理解を深めることに努めた。

(2)  国家公務員安全週間・健康週間

人事院は、健康安全管理の推進について、広く職員の意識の高揚を図るため、毎年、7月1日から「国家公務員安全週間」を、また10月1日から「国家公務員健康週間」をそれぞれ実施している。平成14年度は、各週間の実施に先立ち、標語の募集、ポスターの配布、人事院ホームページへの掲載を行うとともに、本院及び各地方事務局(所)において安全対策会議等を開催した。なお、平成14年度の標語は、安全週間については「一人よりみんなで確認事故防止」、健康週間については「見直そう、あなたの体のバランスシート」であった。


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