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第1編 人事行政

第3部 平成15年度業務状況

第3章 職員の給与

第2節 給与法等の実施


1 給与勧告に伴う給与法の改正
(1) 給与法の改正

給与勧告を実施するための給与法の改正は、前記の「公務員の給与改定に関する取扱い」(閣議決定)に基づき、「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案」として、平成15年9月26日に閣議決定され、同日、第157回国会に提出された。同法案は、衆議院総務委員会、参議院総務委員会における審議を経て、10月10日の参議院本会議で可決・成立し、同月16日に公布された(法律第141号)。

なお、平成15年の給与法の改正は、俸給等を引き下げる内容であり、法的安定性の尊重等の観点から同年4月に遡及して適用せず、本法公布後の同年11月1日に施行された。また、平成15年4月から10月までの間の官民較差相当分を解消するため、4月の給与に較差率(1.07%)を乗じて得た額の7月分の額と、6月期のボーナスの額に較差率を乗じて得た額の合計額を、同年12月に支給する期末手当及び期末特別手当の額で調整する措置が講じられた。

この給与法の改正により、職員(行政職)の平均で、改正前の年間給与6,316,000円が改正後では6,153,000円となり、約16.3万円(△2.6%)の減となった。( 表3−2 )これは5年連続の引下げであり、5年間の合計は、地方機関勤務の係長(40歳、扶養家族は配偶者及び子2人)の場合で、年間給与でみて約49万円(△7.7%)の引下げとなる。

●表3−2 給与法改正後の主な官職の給与例


(2) 規則の改正等

給与法等の改正に伴う関連規則は、平成16年4月1日施行となる調整手当、通勤手当に関するものを除き、改正法の公布に合わせて平成15年10月16日に公布、同年11月1日に施行された。(調整手当、通勤手当に関連する規則は、同年12月26日に公布された。)

ア 初任給、昇格、昇給等の基準

俸給月額が改正されたことに伴い、規則9−8の特定号俸表を改正した。

イ 俸給の切替え

俸給月額が改正されたことに伴い、最高号俸を超える俸給月額を受ける職員の俸給の切替えに関し、新たに規則9−113(平成15年改正法附則第2項の規定による職務の級における最高の号俸を超える俸給月額等を受ける職員の俸給の切替え等)を制定した。

ウ 平成15年12月に支給する期末手当等の特例措置

改正給与法の附則に規定する平成15年12月に支給する期末手当及び期末特別手当に関する特例措置の実施に関し、同年4月1日から改正給与法の施行日の前日までの期間において在職しなかった期間等がある職員の取扱いなど人事院規則で定めることとされている事項に関する所要の定め等を行うため、新たに規則9−114(平成15年12月に支給する期末手当及び期末特別手当に関する特例措置)を制定した。

エ 俸給の調整額

俸給月額が改正されたことに伴い、規則9−6の調整基本額表を改正した。

オ 初任給調整手当

医師及び歯科医師等の初任給調整手当の最高支給限度額が引き下げられたことに伴い、職員区分、支給期間区分に応じて支給額を引き下げるため、規則9−34の一部を改正した。

カ 調整手当

調整手当の異動保障が改正されたことに伴い、異動等前日に在勤していた調整手当支給地域等に引き続き6か月を超えて在勤していた場合との権衡上異動保障の必要があると認められる場合及びこの場合における異動後1年目の異動保障の支給割合など人事院規則で定めることとされている事項を定めるため、規則9−49等の一部を改正した。

キ 住居手当

自宅に係る住居手当を新築・購入後5年に限り支給することとされたことに伴い、規則9−54の一部を改正した。

ク 通勤手当

交通機関等利用者に係る通勤手当について、通用期間6か月定期券等の価額による一括支給を基本とすることとされたことに伴い、一括支給の対象となる支給単位期間、返納させることとなる事由、返納額等について定めるため、規則9−24の一部を改正した。

ケ 特地勤務手当及び特地勤務手当に準ずる手当

平成15年4月1日以降に特地官署等への異動等があった職員に対し俸給月額等の改定日以降支給される特地勤務手当等について、その算定基礎額のうち「異動等の日に受けていた俸給及び扶養手当の月額」を改正後の月額とするため、規則9−55の一部を改正した。

コ 非常勤職員の給与

委員、顧問、参与等の職にある非常勤職員に支給される手当について、支給限度額が引き下げられたことに伴い、人事院の承認を得たものとみなされる額を引き下げるため、規則9−1の一部を改正した。

2その他の制度改正等
(1) 俸給表の適用範囲

行政組織の改正、官職の新設等に伴い、公安職俸給表(二)、福祉職俸給表及び指定職俸給表の適用範囲の変更等を行うため、規則9−2の一部を改正した。

(2) 法科大学院に派遣された職員の派遣給

教授等の業務を行うため法科大学院に派遣された職員に対する派遣給の支給に関する必要な事項、当該職員が職務に復帰した場合における職務の級、俸給月額等の調整方法について、規則24−0に所要の規定を設けた。

(3) 特殊勤務手当

手当の適用範囲の拡大(爆発物取扱等作業手当、自動車等検査作業手当、山上等作業手当、夜間特殊業務手当及び国際緊急援助等手当)、手当額の改正(刑務作業監督等手当及び犯則取締等手当)及び行政組織の改正等に伴う整理(爆発物取扱等作業手当、有害物取扱手当、特殊現場作業手当及び航空管制手当)を行うため、規則9−30の一部を改正した。

3 級別定数の改定等
(1) 級別定数の改定

級別定数は、級別標準職務を基準として個々の職務をその複雑、困難及び責任の度に応じて級別に分類し、それぞれの俸給表の職務の級ごとの数を、組織別、会計別及び職名別に定めたものである。各職員の職務の級の決定は、級別定数の範囲内で、ポストの格付けに応じて行われることとされている。級別定数制度は、職務評価の統一性、客観性を確保し、各府省における適正・妥当な俸給決定が行えるように設けられているものである。また、給与勧告の前提となる官民の給与比較において、官民の対応する職務段階の職責の同等性を担保しており、官民比較を行う上で不可欠の機能を果たしている。

級別定数の設定及び改定は、同定数が職員の昇格枠として職員の重要な勤務条件であることから、労働基本権制約の代償機関である人事院が、労使交渉に代わるものとしてその設定及び改定を行っている。具体的には、毎年、行政需要の増大及び行政の複雑・多様化等に伴って個々の職務の価値が変化することに対処するとともに、各府省における適正かつ安定した人事運用を確保するため、組織の新設又は改廃等職務内容の変化や、各府省における職員構成等を踏まえ、所要の見直しを行っている。

平成15年度においても、職務の重要性が増大し、職務負担の加重化傾向の著しい官職を中心として所要の改定を行った。その際、世代間に大きな不公平性が生じないよう配慮するとともに、職員の処遇について、各府省ごとの事情を十分考慮しつつ全体として著しい不均衡が生じないよう配慮した。また、級別定数の改定に当たって、スタッフ職の充実、早期退職慣行の是正、技術系職員の登用、II種・III種等採用職員の登用など、人事管理上の諸課題に円滑に対応するための条件整備を図っていくことにも意を用いた。

(2) 職務の級の決定等の審査

採用、昇格、昇給等の際の規則9−8に基づく職務の級及び俸給月額の決定等について、行政職俸給表(一)9級以上等の上位級への決定、中途採用者の初任給決定等に係る各府省からの個別の協議に応じ、審査を行った。

4 特別昇給の実施
(1) 表彰等による特別昇給

職員の中には、長年にわたり極めて困難な勤務条件の下で献身的に職務に従事している者や、勤務成績の向上、能率の増進、発明考案等により職務上特に功績のある者が少なくない。各府省においては、これらの職員に対してその労に報いるとともに、職員の士気を高めるため、積極的に表彰ないし顕彰を実施し、給与上も人事院の定める基準により特別昇給を行ってきている。平成15年度は、人事院総裁賞2件のほか、警察庁及び国土交通省において実施された7件の表彰について、特別昇給が行われた。表彰等による特別昇給を行った職員について例示すれば、次のとおりである。

(2) 殉職等による特別昇給

勤務成績の特に良好な職員が生命をとして職務を遂行し、そのために危篤となった場合等には、人事院の承認を得て特別昇給を行ってきている。平成15年度は、イラクにて復興支援会議に向かう中途、何者かに銃撃を受け殉職した在イラク日本国大使館の職員等について、特別昇給を承認した。

5 給与における成績主義の推進

現下の公務を取り巻く厳しい諸情勢の下、公務の活力を維持していくためには、実績を上げた職員に対して各府省においてそれに応じた処遇をすることが重要であり、給与における成績反映の仕組みである特別昇給制度や勤勉手当制度をその本旨に則して一層活用することが必要である。このため、平成15年5月27日、各府省に対し、特別昇給制度及び勤勉手当制度の運用指針を勤務条件局長通知として発出して、両制度についてよりめりはりのある運用の推進を図るなどの措置を講じた。

(1) 特別昇給制度の運用指針の概要
ア 基本的考え方

特別昇給の実施に当たっては、特別昇給実施後の職員の給与が、職員の能力、実績を反映したものとなるようにすることを基本としつつ、職員のモラールの維持・向上の観点から、職員の職務上の成果や公務への貢献に適時に報いるものとして、成績主義に則しためりはりのある運用を図るものとする。

イ 実施に当たっての留意事項等 ウ 実施手続の整備

各庁の長はこの運用指針を踏まえ、特別昇給に関する実施手続を整備し、成績主義に則したよりめりはりのある運用の推進に努めること。

(2) 勤勉手当制度の運用指針の概要
ア 趣旨等

特別給のうちの成績査定部分である勤勉手当について、よりめりはりのある運用を行うために留意すべき事項を指針として示すことにより、成績主義に則した勤勉手当制度の運用を一層推進するものとする。

イ 成績率の決定に当たっての留意事項 ウ 部内基準の整備等

各庁の長は、成績率の決定に当たっての留意事項等を内容とする部内基準の整備充実を引き続き行うこと。

(3) 退職時の特別昇給制度の廃止

勤務成績の特に良好な職員が20年以上勤続して退職する場合に実施することができることとされている退職時の特別昇給制度は、給与上の制度でありながら、その主な効果が退職手当の増額となっており、このような仕組みは、現在では、国民にとってわかりにくく、その理解が得られにくいと考えられることから廃止することとし、規則9−8の一部を改正した(平成16年4月12日公布、同年5月1日施行)。

6 給与実務の指導

給与事務の適正な運用を確保するため、各府省の給与実務担当者を対象とした給与実務全般についての研修会を本院及び各地方事務局(所)において40回開催するほか、給与実務に必要な資料を作成、配布するなど、円滑な事務処理を行う上で必要な事項の周知に努めた。

7 その他の給与に関する事項
(1) 独立行政法人の給与水準の公表の概要

平成14年10月18日の特殊法人等改革推進本部決定において、主務大臣が、独立行政法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準を、国家公務員及び他の独立行政法人の役職員と比較ができる形で分かりやすく公表することとされた。

この決定を受けて、特殊法人等改革推進本部事務局、総務省及び人事院の課長級担当者と外部有識者による「独立行政法人の給与水準公表に関する勉強会」での検討等を踏まえて、総務大臣が平成15年9月9日に「独立行政法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準の公表方法等について(ガイドライン)」を策定し、平成16年度から同ガイドラインに基づく公表が行われることとなった。ガイドラインでは、各主務大臣及び各独立行政法人が役職員の給与水準について国家公務員等との比較が可能な指標を公表することを求めており、人事院は、公務員給与の専門機関として、各独立行政法人の提出したデータに基づいて比較指標等を作成し、各主務大臣及び各独立行政法人に提供することとしている。

独立行政法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準の公表方法等について
(ガイドライン)(平成15年9月9日付け総管査第268号)(抄)
第2 公表されるべき事項
  • 1 役員の報酬等について

    2 職員給与について

    • (1) 基本方針に関する事項

      •  ア 役員報酬への業績反映の方法
      •  イ 役員報酬の改定状況

      (2) 役員の報酬及び退職金の支給状況に関する事項

      •  ア 役名別の報酬(諸手当、賞与を含む。)の支給状況(年間)
      •  イ 退職した役員経験者各人ごとの退職手当の支給状況とその考え方
    • (1) 職員の給与費の管理等の基本方針に関する事項

      •  ア 人件費管理等についての考え方
      •  イ 職員の給与水準決定についての考え方
      •  ウ 職員給与の改定状況

      (2) 職員給与の支給状況等に関する事項

      •  ア 職員の雇用形態別、職種別の給与の支給状況(年間)
      •  イ 年齢別の年間給与の分布状況
      •  ウ 職級別在職状況
      •  エ 賞与の支給状況
      •  オ 給与水準の国家公務員(及び対他法人)との比較指標(法人基準年齢階層ラスパイレス指数)

注1: イ〜オについては、各法人の提出したデータに基づき人事院において算定した数値、指数を用いることとし、当面、事務・技術職員(研究部門を有する法人にあっては事務・技術職員及び研究職員)の状況を記載する。

注2: オの指標に関連して、必要に応じて民間との比較指標を参考併記する。
(2) 幹部公務員の給与の在り方について

幹部公務員の給与の在り方について、今日の経済社会の実情を踏まえて見直しを行うため、内閣官房長官が平成15年6月に「幹部公務員の給与に関する有識者懇談会」(会長:塩野宏東京大学名誉教授)を設置し、特別職給与法の適用を受ける幹部公務員を主たる検討対象として、幹部公務員の給与の格付けや給与水準等についての検討がなされ、その結論が平成16年3月31日にとりまとめられた。


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