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第1編 人事行政

第3部 平成15年度業務状況

第5章 職員の福祉

第1節 健康安全対策


職員の健康の保持増進を図るとともに、職場の安全を確保するため、規則10−4(職員の保健及び安全保持)等を定めている。これらの規則に従い、各府省は健康安全管理のための措置を実施しているが、制度の円滑な運営を確保するため、人事院が基準の設定、総合的な指導、調整等を行っている。

1 健康の保持増進
(1) 生活習慣病対策

ア がん、心臓病、脳卒中等の生活習慣病を積極的に予防するため、「生活習慣病管理研究会議」を毎年開催している。

▲生活習慣病管理研究会議総会


本会議は、健康管理技術スタッフを構成員とする第1部会と健康管理事務スタッフを構成員とする第2部会とで構成されている。平成15年度は、喫煙問題をテーマとして取り上げ、まず、喫煙対策に関する講演により理解を深めた後に、平成15年7月の「職場における喫煙対策に関する指針」発出後の各府省における喫煙対策について、第1部会と第2部会に分かれて討議し、その後両部会の参加者を一堂に会し、全体会議において意見交換を行った。

▲[生活習慣病管理研究会議」分科会風景


イ 生活習慣病対策の強化のため、「脳血管疾患及び心臓疾患の予防のための保健指導」に従事する各府省の医師等を対象に、平成15年7月に、保健指導講習会を開催し、運動面や栄養面の指導処方について専門家による指導を行った。

また、四国地区において、平成15年10月から12月にかけて、各機関の希望者を対象に肥満対策講座(減量ラリー)を開催し、肥満対策について具体的な指導を行った。

(2) 喫煙対策

公務職場における喫煙対策については、平成9年4月に指針を発出し、その推進に努めてきたところであるが、その後、喫煙が健康に及ぼす影響についての医学的研究、社会一般の認識等が深まり、また、平成15年5月から施行された健康増進法において、官公庁施設の管理者に対し、受動喫煙防止対策について努力義務が規定されたことを踏まえ、職員の健康の保持増進、快適な職場環境づくりの観点から、新たに「職場における喫煙対策に関する指針」を発出した。新指針では、空間分煙(庁舎内の特定の場所のみでの喫煙)を最低基準とし、可能な範囲で全面禁煙(庁舎全体が禁煙)の方向で改善に努めることや、喫煙場所には屋外への排気装置を設置することなどを定め、喫煙対策の一層の推進を図った。

また、平成15年10月に関東地区において、「禁煙サポート」に関する講座を開催した。

(3) メンタルヘルス対策

精神科医など専門家によるメンタルヘルス対策推進のための指導委員会を設置するとともに、全国9ブロックに委員を配置して、各府省のメンタルヘルス対策を支援している。

平成15年度は、各府省の健康管理担当者、管理監督者等を対象とした「メンタルヘルス講習会」を本院並びに北海道、近畿、中国、四国及び沖縄の5地区で開催し、職場における精神保健体制の在り方について指導した。この講習会には計467人が参加したが、受講者の評価は非常に高く、アンケートの結果、「有意義だった」としたものが90%以上であった。

また、平成15年12月、各府省の医務室等に勤務する保健師及び看護師を対象として、メンタルヘルス相談員養成講座を3日間の日程で開催し、メンタルヘルスの基礎知識等についての講義、ロールプレーイング、事例研究等を行った。

そのほか、各府省への支援策として、主として健康管理関係者向けに発行している情報提供誌「こころの相談室」を発行した。

また、メンタルヘルス相談室を全国10か所に設置しており、その平成15年度における相談件数は、合計209件であった。相談内容としては、「職員の健康問題」が122件、「職場に関する問題」が53件、「家族の問題」が22件、「その他」が12件となっている。また、相談者は、「職員本人」が152件、「職場関係者」が48件、「家族」が6件、「その他」が3件となっている。

さらに、メンタルヘルス対策を一層充実させるため、平成15年10月に専門家からなる「メンタルヘルス対策のための研究会」を設置し、その検討を基に、平成16年3月に勤務条件局長通知「職員の心の健康づくりのための指針」を発出した。

●公務職場における喫煙対策●

これまで国の職場における喫煙対策は、平成9年の職員局長通知「職場における喫煙対策に関する指針について」により、行われてきました。

近年、喫煙が健康に及ぼす影響についての医学的研究、社会一般の認識等が深まり、また、平成15年5月1日から施行された健康増進法でも、官公庁施設の管理者に対し、受動喫煙防止対策についての努力が求められています。

こうした状況を踏まえ、職員の健康の保持増進、快適な職場環境づくりの観点から、喫煙場所の設置や設備等について喫煙対策の一層の充実を図ることとし、平成15年7月10日、新たに「職場における喫煙対策に関する指針」を発出しました。

その要点は以下のとおりです。

(1)原則
  •  受動喫煙防止対策には、全面禁煙(庁舎全体が禁煙)と空間分煙(庁舎内の特定の場所のみで喫煙)とがあるが、新指針は空間分煙を最低基準とし、可能な範囲で全面禁煙の方向で改善に努めることとする。
(2)喫煙場所
  •  庁舎内に喫煙室を設ける。それが困難なときは喫煙コーナーを設置する。
    可能な範囲で庁舎外に喫煙所を設置し、それだけで十分な場合は、庁舎内には喫煙場所は設けない。
(3)喫煙コーナーの位置
  •  事務室及び会議室内の喫煙コーナーの設置は、認めないこととする。また、食堂は、勤務時間中は禁煙とする。
(4)喫煙場所の設備
  •  喫煙室と喫煙コーナーには、屋外への排気装置を設置する。空気清浄装置だけでは不十分である。
(5)空気環境基準
  •  職場の空気環境について、喫煙室等及びその周辺の浮遊粉じん濃度、一酸化炭素濃度の各基準値を明示し、併せて喫煙室等と非喫煙場所との境界において、喫煙室等に向かう風速を0.2m/s以上とすることとする。
(6)喫煙タイム
  •  平成9年の指針では認められていた事務室等における喫煙タイムは、今回の指針では認めないこととする。
●職員の心の健康づくりのための指針●

近年、公務において、自殺する職員の数が増加し、精神・行動の障害による長期病休の職員数も急増しています。これまで人事院では「職場におけるメンタルヘルス対策に関する通知」(昭和62年7月13日付)により心の健康づくり対策を進めてきましたが、新たな状況を踏まえ、対策の見直しが必要となりました。

このため、専門家からなる「メンタルヘルス対策のための研究会」(座長:吉川 武彦 中部学院大学大学院教授)を平成15年10月に設置し検討を行い、その結果を踏まえ平成16年3月30日に「職員の心の健康づくりのための指針」を発出しました。今後、各省各庁は、この指針に基づき、職員の心の健康づくりを進めていくこととなります。

新しい指針のポイントは次のとおりです。

1 基本的考え方
  • (1)役割の明確化

    •  心の健康づくりに当たって、人事院、各省各庁の長、管理監督者、職員等の役割を明示し、それぞれが協力して積極的に取り組むことを推進する。特に、各省各庁の長は、組織全体の心の健康づくりに責任を持ち、人事院は、その支援を行う。

    (2) 心の状況に応じた対策

    • 職員の心の状況に応じてそれぞれの対策を進める。

      •   (心の状況)      (対策)
        ア 健康なとき :心の健康の保持増進
      • イ 不健康なとき:早期対応
      • ウ 回復したとき:円滑な職場復帰と再発の防止
2 重点項目
  • (1)心の健康の保持増進の重視

    •  心が健康なときの健康の保持増進を重視する。そのために、人事院はストレス対処法を備えたストレスチェック表等を作成する。

    (2)体系的な教育

    •  心の健康づくりのための教育を体系的に実施する。そのために、各省各庁の長と人事院とが分担して行う。また、人事院はカリキュラム例、教材等を作成する。

    (3)職務遂行能力の回復計画

    •  職務復帰後の職務遂行能力の回復のために、計画的に職務内容等を決定することが有効である。計画は、おおむね3か月以内として各省各庁の長が決定する。
(4) 単身赴任者の健康管理対策

各府省における単身赴任者の総合的な健康管理対策を推進するため、各府省の単身赴任中の管理監督者等を対象とした「単身赴任者生活管理研究会」を沖縄で開催し、心身両面にわたる健康管理についての講義、討議、調理実習等を行った。

(5) 国家公務員死因調査

職員の健康管理及び安全管理の向上に資するため、3年に一度「国家公務員死因調査」を実施し、他の年度については、「国家公務員死亡者数調査」を実施している。

平成15年度は、平成14年度中に死亡した一般職の国家公務員について「国家公務員死因調査」を実施した。その結果は、次のとおりである。

平成14年度における在職中の死亡者は852人で、前年度より27人減少している。

死亡者を主要死因別にみると、「がん」、「自殺」、「心臓病」、「脳卒中」、「不慮の事故」の順で、前回調査(平成11年度)と比べると「脳卒中」と「不慮の事故」の順位が入れ替わっている。また、国家公務員と国民(18歳〜60歳)の死亡率(10万人に対する率)を比較してみると、国家公務員が107.5であるのに対し、国民は186.1となっている。

平成14年度の「がん」による死亡者は、397人で前回より53人減少したものの、死亡者総数に対する割合は46.6%と高く、また、「心臓病」及び「脳卒中」を含めた生活習慣病による死亡者の死亡者総数に対する割合は66.9%となっている。

平成14年度における主要死因別順位及び死亡率は次のとおりである。(表5−1

●表5−1 主要死因別順位及び死亡率


(6) 健康診断の実施状況

各府省の報告を基に前年度の健康診断の実施状況を把握しており、平成14年度の実施状況は、次のとおりである。

一般定期健康診断は、各府省において、1)全職員を対象とする胸部エックス線検査、血圧測定及び尿の検査(蛋白)、2)血糖検査受診者を除いた全職員を対象とする尿の検査(糖)、3)40歳以上の職員を対象とする肺がん胸部エックス線検査、喀痰細胞診、胃の検査及び便潜血反応検査、4)35歳及び40歳以上の職員を対象とする血糖検査、心電図検査、血清総コレステロール検査、HDLコレステロール検査、中性脂肪検査、貧血検査及び肝機能検査が実施された。(資料5−1

各検査項目別の受診対象者の受診率は、前年度に比べ喀痰細胞診を除くすべての検査において低下したが、一方、総合健診(人間ドック)(規則10−4第21条の2)を受診した者は、全職員の25.5%と、前年度に比べ0.9ポイント上昇した。両者を含めた受診率はほぼ横ばいとなっている。

また、有害な業務又は健康障害を生ずるおそれのある業務(規則10−4で18種類の業務を定めている。)に従事する職員を対象として、特別定期健康診断が各府省において実施された。18業務を合わせた受診率は85.8%で前年度に比べ0.3ポイント低下した。特別定期健康診断の結果、医療の面の指導区分の決定を受けた職員の割合は、要医療が受診者の0.7%、要観察が2.4%であった。

このほか、各府省において、臨時の健康診断、子宮がん検診、VDT作業者の健康診断等が実施された。

2 安全の確保
(1) 職場における災害の防止

職場における災害の発生を防止し、安全管理対策を推進するため、職場における災害の発生状況等について各府省から報告を受け、特に死亡事故等重大な災害については、事情聴取等により詳細な調査を行い、的確な再発防止措置が講じられるよう指導するとともに、その後の措置状況について確認している。

平成14年度の職場における災害の発生状況は、次のとおりである。

職場で発生した災害により死亡した者及び1日以上休業した者は321人で,前年度に比べ78人の減少となった。また、死亡者は1人(前年度2人)で溺死によるものであった。(図5−1

災害の発生状況を事故の型別にみると、武道訓練が17.5%と最も多く、次いで転倒14.7%、墜落・転落11.2%、レク・スポーツ10.9%の順となっており、これらで全体の半数以上を占めている。(図5−2

(2) 放射線障害の防止

放射線障害の防止を推進するため、平成16年3月に「放射線障害防止基準研究会」を開催した。また、平成14年度に放射線施設等の実態を調査し、その結果概要は表5−2のとおりである。

●図5−1 死傷者数の推移〔休業1日以上(平成5〜14年度)〕


●図5−2 事故の型別死傷災害発生状況〔休業1日以上(平成14年度)〕


●表5−2 放射線発生装置等の設置状況


また、平成15年度に文部科学省に申請された放射性同位元素等の使用承認及び変更承認に関し、人事院に協議のあった156件(使用承認12件、変更承認144件)について承認することに同意した。

(3) 設備等の届出

ボイラー、クレーン等安全管理上特に配慮を必要とする設備の設置等の際に、その状況について各府省から届出を受けることとなっている。平成15年度は1,900台(設置1,365台、変更9台、廃止526台)の届出があり、これらの審査を通じて各機関に対し必要な安全上の指導を行った。

また、エックス線装置を設置等した場合についても、各府省から届出を受けることとなっており、平成15年度は675台(設置463台、変更18台、廃止194台)の届出があった。

3 健康安全管理の指導及び啓発
(1) 健康安全管理の研修会等

健康安全管理について、各府省の健康安全管理の担当者を対象とした研修会等を開催している。平成15年度は、本府省のほか、東北、関東、近畿、四国及び九州の5地区で開催し、健康安全管理に対する認識と実務についての理解を深めることに努めた。

(2) 国家公務員安全週間・健康週間

健康安全管理の推進について、広く職員の意識の高揚を図るため、毎年、7月1日から「国家公務員安全週間」を、10月1日から「国家公務員健康週間」を実施している。平成15年度は、各週間の実施に先立ち、標語の募集、ポスターの配布、人事院ホームページへの掲載を行うとともに、本院及び各地方事務局(所)において安全対策会議等を開催した。なお、平成15年度の標語は、安全週間については「みんなでつくるゼロ災害 みんなで守るその笑顔」、健康週間については「働き上手は休み上手 お互い様で健康職場」であった。


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