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第1編 人事行政

特別寄稿 政治任用 〜専門家の目から見た展望と留意点〜

日本の官僚制と政治的任用

I 外国人の眼


インターネット上にアメリカの知日家が作っているフォーラムがある。今回、公務員制度を考える上で、そこでのインターネット上の会話が参考になった。このフォーラムでは、「靖国」が政治的イシュウとなっているときは靖国について、問題が「郵政」に移ると郵政について意見の交換が行われる。発言参加者は、知識ゼロの人からその問題で著名な書物を書いた人まで多様である。議論はしだいに整理されしばしば鋭い批判になるが、アメリカ人の偏見が良く見えて面白い。彼らの間で、ある時日本官僚はなぜあんなに働くのかが話題になった。

ある人が、なぜ日本の官僚は長時間働くか理由が分からないと発言した。複数の別の人も「同感」と述べたが、これに対して、1人は次のように言った。「日本の官僚が遅くまで働くのには理由がある。日本の政治家にはスタッフがないので官僚がスタッフになっているのだ。つまり国会議員は、自分にスタッフがないので、官僚に国会での質問事項を準備させるのである。しかも、質問が夜渡されるので、官僚も夜まで帰れない。官僚に国会議員の質問がまわってくると、事前に(真夜中に)、翌朝の国会に間に合わせる回答を準備する。国会が金曜日の夜まであれば、次は月曜日の朝に始まるわけだから官僚にとってウィークエンドは無しとなる。」その辺の会話の往復で事実関係の認識は少しずつ深くなり、誤解も少しずつ正される。とにかく相当のやりとりがあった後に、別の人いわく「人間は詰まるところ、効率的に働く方が良いというならば、一日8〜9時間働けば良いところだ。だからどこの国でも、仕事の合間にストレッチをして窓の外を見て、8〜9時間働いて家に帰るのだ。しかるに日本の官僚たちは、家で夕食を食べるということも少ない。その夕食も同僚と一緒が多いようだ。また時期によっては、庁舎内に泊まることもあるようだ。」このところで日本の政治行政の密接な関係を知らないままネットに参加しているアメリカ人はびっくりするのであるが、当該語り手は続ける。「それに今では知らないが、昔の日本では、ボスが帰る前に帰れないという慣行があったし、遅くまで働くことは勤務評定にプラスであったようだ」という。さらに「こんな状態で、いったい彼らが能率的に働いているかどうか、民間の同等の意味で働く者と比べて測ってみたいものだ」と批判的に述べた。この議論の後、この人なら日本のことを知っていると我ら日本人にも有名な人が出てきて、「彼らの働きは抜群だよ」とコメントして、その疑問は終わった。話は、次に、報酬の問題になった。聞くところによると、「官僚が受け取る俸給も特に多くはないし、年金も同等に働いた民間と比べて労働に見合ったものではないようだ。」という話がでたが、この点でははっきりした数字にいたらず、問題は鮮明にならなかった。

この会話の中には、不正確な表現があるし、落着き先もどうかなと感じたところも多い。しかし、外から見ると日本官僚制がよく見えるものだと感心もする。


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