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第1編 人事行政

第2部 人事行政この1年の主な動きと今後の課題

VII 給与構造の基本的見直し

1 検討の必要性と基本的考え方


民間企業においては、限られた人件費を従業員の仕事の内容や成果に応じて適切に配分する賃金制度が確立されつつある。公務においても、限られた財源の下で職員が生き生きと働けるよう、職務・職責や実績に応じた適切な処遇の確保や効率的な給与システムの構築が不可欠となっている。このため、制度全般にわたって次のような見直しを行っていく必要がある。

(1) 職務・職責を重視し、実績を的確に反映する給与制度への転換

現在の俸給表は、上位の職務の級に昇格しなくても俸給が一定水準まで到達し得るよう配慮された号俸設定により、各級の水準の重なりが大きい構造となっており、採用 年次を重視した昇格運用とあいまって年功的な給与上昇を招いているとの指摘がある。

また、普通昇給に関しては、ほとんどの職員が昇給するなど定期昇給的な運用がなされているとの指摘があるほか、特別昇給や勤勉手当についても、評価制度が十分に機能してこなかったこと等から、いわゆる持ち回り運用が行われるなど、勤務実績の給与への反映は必ずしも十分とはいえない状況にある。

このため、各級の水準の重なりを抑制して、より職務・職責の違いを反映し得るよう、級構成の再編や昇給カーブのフラット化など俸給表構造の見直しを行うとともに、勤務実績によってきめ細かく昇給額に差がつくよう普通昇給と特別昇給を査定昇給に統一するなど、勤務実績をより的確に反映し得る給与制度となるよう見直す必要がある。

(2) 在職期間の長期化に向けての環境整備

幹部職員の早期退職慣行を背景とした、いわゆる「天下り」に対する国民からの厳しい批判にこたえ、政府全体として早期退職慣行の是正、在職期間の長期化に取り組んでいる。

そのような取組の一環として、民間の高齢者給与との均衡を図るための給与カーブの見直しや、複線型人事管理に資するように公務部内に高い専門性をもつ人材を確保するためのスタッフ職の処遇の枠組みの整備についても検討を進める必要がある。

(3) 適正な給与の地域間配分の実現

現在の公務員の俸給表水準は、東京都特別区のような高い民間賃金を含んだ全国平均の官民の給与較差に基づいて設定しているため、民間賃金の低い地域でも全国平均に基づく俸給表の水準が保障されることになり、公務員給与が高いのではないかという批判が生じる一方で、都市部では給与の水準が民間を下回るといった問題が生じている。

このため、公務員給与に地域ごとの民間賃金の水準を的確に反映したものとなるよう俸給水準の引下げを行う一方で、民間賃金の高い地域には新たな手当を支給することにより、適正な地域間配分の実現を図る必要がある。


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