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第1編 人事行政

第1部 人事行政この1年の主な動きと今後の課題

公務員の在り方 〜その志・使命感の原点を探る〜

2 国民と行政の関係の変化


(1) 政策の成果と効果の重視へ

国家の発展のために、行政が中心的な役割を果たし、国の計画や統制、そして事前の規制や誘導的な行政手法が多く用いられた時代から、今、国民一人ひとりの自由な意思決定と自立的な活動をより重視する社会の発展段階に至っている。このため、行政の判断・決定過程の透明化と情報の開示を図り、その判断と決定手続についても国民の納得が得られるものであることが求められている。

行政が、計画、統制や規制などで主導的な役割を果たしていた時代は、行政が民主的かつ公正に運営されているかが重視されたが、今日では、一定の政策目標に対し、いかなる成果と効果を国民にもたらしているかという、行政の効率的、効果的な運営がより重視されるようになる。単なるインプット(資源投入)・アウトプット(産出実績)により効率性を測るのではなく、アウトカム(成果・効果)が重視される時代といえる。

資源配分の効率性が価格メカニズムでは実現できない公共財等においても、最小の資源消費で最大の政策の効果が求められる。このため、業務、組織や人のマネジメントが今まで以上に重要となってくる。

(2) 官と民の連携による取組

このような時代の要請から、行政が公共政策を行うに当たって、国民や企業の自立的な意思決定を尊重すること、国民・住民に身近なところで問題を解決すること、また、市場の機能を効果的に活用することが求められている。

国民や企業の意思決定に一定の枠をはめるなど事前に関与する仕組みから、これを原則自由とし市場での競争とその後の状況に関与するという行政手法への転換や、国から地方への権限と財源の移譲による地方の自立と主導も、この時代の流れに沿ったものである。公共の利益という目標の達成を第一として公務に生じがちな過剰な人や予算、非効率を抑制し、また、財政赤字や少子・高齢化などによって、従来のような行政の活動を継続していくことができなくなっている状況の下で、我が国が直面している課題を解決するために、行政の活動自体にも、市場機能がもたらす合理的、効率的な取引、受益者と負担者の一致などが重視されるようになった。

公共の事業・サービスは、行政が独占的に供給するものという考え方が長く続いていたが、民間が多様なサービスを提供するようになるとともに、官と民だけでなくNPOなどの中間組織の活動が盛んになり、互いに分業・協働の精神で公共的課題に取り組み、施策を作り出すという仕組みが重要な役割を果たすようになった。国の行政においても、公共政策の検討・選択に当たって、国民参加の民主的手続への認識が不可欠となっている。こうした中で、官と民との機能分担の在り方、そのなかでの公務員の役割は何かが問われている。

(3) 行政手続・行政過程の透明化

かつては国民の行政判断への不服について、行政不服審査や行政訴訟など専ら事後の救済の制度によって争うという仕組みがとられていた。今は、行政手続法や情報公開法などの施行により、行政の判断と決定の過程があらかじめ定められ公表された手続によって行われ、また、その過程における情報が公開される時代となった。さらに、政策立案段階でのパブリック・コメントの導入や各府省がそれぞれの政策評価に取り組み、毎年公表するシステムも定着してきている。一方、必ずしも結果を顧みないプロセス重視の非効率や自己目的化については、その反省を踏まえたアカウンタビリティの手続の見直しが求められている。

このような時代には、政策として「何をするか」とともに、その政策を「どのような方法で」−いかに誠実に、丁寧に、迅速に、透明に実施するかということが重要であり、公務に対する国民の信頼を築いていくための最も大切な第一歩といえる。同時に、行政の目的や内容と成果・効果について十分説明を行い、行政情報について国民との共有を図りつつ合意形成を進めることが、行政への国民の理解と信頼を得るために欠かせない条件となっている。


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