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第1編 人事行政

第1部 人事行政この1年の主な動きと今後の課題

ダム技術者の背中

 思い出の喪失


所長は少し座り直し、話をはじめた。「我々は水没者たちに、ダムの必要性を説明した。彼らはダムの必要性に納得して、補償金額にも合意した。代替地での新しい生活も次第に具体化してきて、未来の希望も見えてきた。でも、彼らは寂しいのだ。

何が寂しいか。それは、自分達の思い出が消えてしまうことだ。生まれた家、育った学校、遊んだ小川、初恋の丘。全ての思い出がダムの底に沈んでしまう。

国は水没者の家屋や土地には補償する。しかし、家族の思い出や村の思い出の補償はできない。その思い出の喪失を償うため、現場の我々が水没者の話を聞き、水没者の相談にのっている」という。


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