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第1編 人事行政
第2部 平成17年度業務状況
第9章 職員の服務及び懲戒
第2節 懲戒
1 懲戒制度の概要及び懲戒処分に関する指導等
各府省等の任命権者は、職員が、1)国公法若しくは倫理法又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合、2)職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合、3)国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合のいずれかに該当するときは、当該職員に対し、懲戒処分として免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができるとされており(国公法第82条第1項)、その具体的手続は、国公法及び規則12−0(職員の懲戒)に定められている。
人事院は、任命権者が懲戒処分を行った場合には、職員に交付した処分説明書の写しの提出を受け、これにより懲戒処分の状況を把握、分析するとともに、各府省等に対し情報の提供や必要な指導を行っている。近時、一部職員による公務に対する国民の信頼を損なうような不祥事が続いたことから、職員の不祥事に対する厳正な対応を求める職員福祉局長通知(平成17年8月15日付け職審−306)を次のとおり各府省等宛に発出した。
国民の公務に寄せる期待と信頼にこたえ、行政の円滑な運営を図っていくためには、職員が国民全体の奉仕者としての使命を自覚し、厳正な規律と高い倫理観を保持しつつ、その職務に精励することが何より肝要でありますが、近時、一部職員による公務に対する国民の信頼を損なうような不祥事が続いていることは誠に遺憾であります。 人事院は従来より、服務義務違反が生じた場合の対応について、「職員の不祥事に対する厳正な対応について」(平成9年1月16日付け職職−12人事院事務総局職員局長通知)等により、任命権者において、事実関係を十分に把握した上で適正な懲戒処分によって厳正に対応するとともに、再発防止策の実施や服務規律の徹底を図る必要があることを指摘してきたところですが、各府省等におかれては、職員の服務義務違反が生じた場合には、下記の点に特段に留意し、適正な懲戒処分による厳正な対応を改めてお願いします。 記
以 上 |
平成17年に懲戒処分を受けた職員総数は3,947人(免職179人、停職148人、減給1,375人、戒告2,245人)であり、社会保険庁における年金個人情報の業務目的外閲覧事件の大量処分の影響で、前年に比べて大幅に(757人)増加している。
処分数を府省等別にみると、日本郵政公社が最も多く全体の57.6%を占め、次いで社会保険庁(26.0%)、厚生労働省(5.0%)の順になっており、この3機関で約9割を占めている。また、処分の事由別にみると、通常業務処理関係、公金官物取扱関係の順に多く、前年に比べて通常業務処理関係が大幅に増加する一方、公金官物取扱関係、一般服務関係等が減少している。(資料9−1、9−2)
平成17年中における主な不祥事としては、上記年金個人情報の業務目的外閲覧事件、厚生労働省の地方労働局における不正経理事件等がある。(資料9−3)
また、各任命権者は、懲戒処分に付せられるべき事件が刑事裁判所に係属している間においても、人事院の承認を経て(職員が、公判廷における供述等により、懲戒処分の対象とする事実で公訴事実に該当するものがあることを認めている場合には、人事院の承認があったものとして取り扱うことができる。)、適宜、懲戒処分を行うことができることとされており、平成17年においては、9府省等で19人(免職18人、減給1人)に係る処分がなされた。
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