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第1編 人事行政
【第2部】 人事行政この1年の主な動きと今後の課題
Ⅲ 適正な公務員給与の確保
3 給与勧告に伴う給与法等の改正
(1) 給与法等の改正
給与法等の改正は、上記の閣議決定に基づき、「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案」として、平成19年11月2日に閣議決定され、同日、第168回国会に提出された。同法案は、衆議院総務委員会、参議院総務委員会における審議を経て、平成19年11月26日の参議院本会議で可決・成立し、同月30日に公布された。(平成19年法律第118号)
改正の内容のうち、平成19年4月の民間給与との較差に基づく給与改定に関するものとしては、①俸給表について、初任給を中心に若年層に限定した改定(中高齢層は据置き)(平成19年4月1日適用)、②扶養手当について、子等に係る支給月額の改定(平成19年4月1日適用)、③勤勉手当について、平成19年12月期の支給割合の改定(平成19年11月30日施行)及び平成20年度以降の支給割合の改定(平成20年4月1日施行)が盛り込まれた。
また、給与構造改革に関するものとしては、次のとおり専門スタッフ職俸給表が新設された(平成20年4月1日施行)。
ア 俸給表専門スタッフ職俸給表は、3級構成とし、行政の特定の分野における高度の専門的な知識経験に基づく調査、研究、情報の分析等を行うことにより、政策の企画及び立案等を支援する業務に従事する職員で人事院規則で定めるものに適用する。
イ 昇給専門スタッフ職俸給表2級である職員を昇給させるか否か及び昇給させる場合の昇給の号俸数は、昇給の日前1年間の全部を良好な成績で勤務した場合の号俸数を1号俸とすることを標準として人事院規則で定める基準に従い決定する。専門スタッフ職俸給表3級である職員は、昇給の日前1年間の勤務成績が特に良好である場合に限り、人事院規則で定める基準に従い昇給させる。
ウ 専門スタッフ職調整手当専門スタッフ職俸給表3級である職員が極めて高度の専門的な知識経験及び識見を活用して遂行することが必要とされる業務で重要度及び困難度が特に高いものとして人事院規則で定める業務に従事することを命ぜられた場合は、当該職員には、当該業務に従事する間、俸給月額に100分の10を乗じて得た額を専門スタッフ職調整手当として支給する。
エ 管理職員特別勤務手当等専門スタッフ職俸給表2級以上である職員について、超過勤務手当、休日給及び夜勤手当の適用を除外し、管理職員特別勤務手当の支給対象とする。
オ 勤務時間法第6条第3項の適用対象の拡大各省各庁の長が始業及び終業の時刻について職員の申告を経て勤務時間を割り振ることができる職員として、専門スタッフ職職員等を追加する。
(2) 規則の改正等
給与法等の改正に伴う規則のうち、民間給与との較差に基づく給与法等の改正に伴うものは、平成20年度以降の勤勉手当に関するものを除き、改正法の公布に合わせて平成19年11月30日に公布・施行され、平成19年12月期の勤勉手当に関するものを除き、同年4月1日にさかのぼって適用された。また、給与構造改革に関する規則は、平成20年2月1日に公布され、同年4月1日に施行された。なお、平成20年度以降の勤勉手当に関する規則改正は、給与構造改革に関する規則と併せて公布・施行された。
改正の内容の主要なものは、次のとおりである。
ア 平成19年4月の民間給与との較差に基づく給与改定に関するもの(ア) 俸給の調整額
俸給月額が改正されたことに伴い、規則9−6(俸給の調整額)の調整基本額表を改正した。
(イ) 昇格時号俸対応表の改正俸給表の改定に伴い、職員が昇格した場合の号俸対応を変更するため、規則9−8(初任給、昇格、昇給等の基準)の一部を改正した。
(ウ) 期末・勤勉手当等勤勉手当の支給割合が引き上げられたことに伴い、平成19年12月期及び平成20年度以降の成績率の基準を定めるため、規則9−40(期末手当、勤勉手当及び期末特別手当)の一部を改正した。
(エ) 地域手当地域手当の級地の支給割合と平成18年3月31日の調整手当の支給割合との差が6%以上の地域において、指定職俸給表の適用を受ける職員を除き、既に平成19年4月に行った改定に加えて0.5%の支給割合の引上げを行うため、規則9−49(地域手当)の一部を改正した。
イ 給与構造改革に関するもの(ア) 専門スタッフ職俸給表の新設に関連するもの
① 俸給表の適用範囲
専門スタッフ職俸給表の適用範囲について規定するため、規則9−2(俸給表の適用範囲)の一部を改正した。
② 級別標準職務等専門スタッフ職俸給表についての級別標準職務、級別資格基準及び他の俸給表から専門スタッフ職俸給表へ異動した場合の号俸決定基準等を規定するため、規則9−8の一部を改正した。
③ 専門スタッフ職調整手当専門スタッフ職調整手当の新設に伴い、専門スタッフ職調整手当の支給要件等について定めるため、規則9−122(専門スタッフ職調整手当)を制定した。
④ 管理職員特別勤務手当専門スタッフ職俸給表の2級以上の職員が管理職員特別勤務手当の支給対象とされたことに伴い、その手当額について定めるため、規則9−93(管理職員特別勤務手当)の一部を改正した。
⑤ 勤勉手当専門スタッフ職俸給表適用職員について、他の俸給表が適用される職員に比べて、成果をより強く反映し得る成績率の基準を定めるため、規則9−40の一部を改正した。
⑥ 専門スタッフ職職員等への勤務時間法第6条第3項の適用専門スタッフ職職員等について、勤務時間法第6条第3項(いわゆるフレックスタイム制)を適用することができる職員及び勤務時間の割振りの基準等を規定するため、規則15−14(職員の勤務時間、休日及び休暇)の一部を改正した。
(イ) 地域手当平成20年4月1日から平成21年3月31日までの暫定的な支給割合の決定に伴い、支給割合の引上げを行うため、規則9−49の一部を改正した。
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