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第1編 人事行政

【第2部】 人事行政この1年の主な動きと今後の課題

Ⅳ 勤務環境の整備

2 多様な勤務形態の導入


(1) 育児のための短時間勤務の制度の導入

我が国の急速な少子化に対応するためには、公務員についても、職業生活と家庭生活とを両立させることができるような勤務環境の整備を早急に行うことが重要になってきている。人事院は、従来より、仕事と家庭の両立支援策の充実を図ってきたが、平成18年、その方策の一つとして、職員が職務を完全に離れることなく育児の責任も果たせるよう支援するため、「育児のための短時間勤務の制度の導入等のための国家公務員の育児休業等に関する法律の改正」について、国会及び内閣に対して意見の申出を行った。

この意見の申出に基づき、平成19年5月16日に、「国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律」が成立・公布され、同年8月1日から施行された。

育児のための短時間勤務の制度の概要

職員が職務を完全に離れることなく育児を行うことを可能とする、育児のための短時間勤務を認める制度。

1 育児短時間勤務
(1) 対象となる職員

小学校就学の始期に達するまでの子を養育する常勤職員。

(2) 承認等

上記(1)の職員が、1日当たり4時間(週20時間)、1日当たり5時間(週25時間)、週3日(週24時間)、週2日半(週20時間)等のうち、いずれかの勤務の形態を選択して請求したときは、任命権者は当該請求をした職員の業務を処理するための措置を講ずることが著しく困難である場合を除き、承認。

(3) 並立任用

同一の常勤官職に週20時間勤務である2人の育児短時間勤務職員を任用可。

(4) 給与

俸給月額及び職務関連手当(俸給の調整額等)は勤務時間に応じた額、生活関連手当(住居手当等)は全額支給。期末・勤勉手当等は基礎額、在職期間等の特例を措置。

2 任期付短時間勤務職員
(1) 任用

任命権者は、育児短時間勤務職員の処理できない業務に従事させるため、育児短時間勤務に係る期間を上限として任期付短時間勤務職員(非常勤職員)を任用可。

(2) 勤務時間

週10時間から20時間までの範囲内で決定。

(3) 給与

俸給表を適用し、俸給月額及び職務関連手当(俸給の調整額等)は勤務時間に応じた額。生活関連手当(住居手当等)は非支給。

(2) 自己啓発等休業法の成立

公務において行政課題の複雑・高度化が顕著となっている情勢に対応できるよう、職員について幅広い能力開発を促進していく必要がある等の観点から、平成18年、自発的に職務を離れて大学院等で修学することや国際貢献活動への参加を通して国際協力に資することを希望する意欲ある職員に対し、職員としての身分を保有しつつ、職務に従事しないことを認める「一般職の職員の自己啓発等休業に関する法律」を新たに制定することを内容とする意見の申出を国会及び内閣に対して行った。この意見の申出に基づき、平成19年5月16日、「国家公務員の自己啓発等休業に関する法律」(平成19年法律第45号)が制定・公布され、同年8月1日から施行された。この法律の施行に合わせて、人事院は、職員の自己啓発等休業に関し必要な事項を定めた規則25−0(職員の自己啓発等休業)を制定した。

自己啓発等休業制度の概要
1 休業の事由
(1) 大学等における修学

国内外の大学(大学に設置される専攻科及び大学院を含む。)の課程に在学してその課程を履修

(2) 国際貢献活動

独立行政法人国際協力機構が自ら行う派遣業務の目的となる開発途上地域における奉仕活動(青年海外協力隊、シニア海外ボランティア等)への参加

2 対象となる職員の要件

休業の請求時において在職期間が2年以上であること

3 休業の期間

2年(修学の成果をあげるために特に必要な場合には3年)

(2) 国際貢献活動

3年

4 休業の請求及び承認

職員が休業を請求した場合において、公務の運営に支障がないと認めるときは、職員の勤務成績、大学等における修学又は国際貢献活動の内容その他の事情を考慮した上で承認・不承認を決定。

5 休業の効果

身分は保有するが職務に従事せず(定員外)、給与は非支給。

(3) 専門スタッフ職職員に対する勤務時間法第6条第3項の適用

従来より、試験研究業務に従事する職員については、勤務時間法第6条第3項に基づき、勤務時間が4週間ごとの期間につき1週間当たり40時間となるように、各省各庁の長が始業及び終業の時刻について職員の申告を経て勤務時間を割り振る仕組み(以下「フレックスタイム制」という。)が適用されていたところである。

専門スタッフ職職員については、調査、研究等の業務を自律的に行うこと及びそれらの業務を集中的・継続的に行う必要がある場合があることを踏まえ、弾力的に勤務時間を設定することが適当であることから、平成19年の給与勧告において、フレックスタイム制を適用する職員に専門スタッフ職職員等を加える勤務時間法の改正を勧告した。これを受けて、平成19年11月30日、勤務時間法の一部が改正された(平成20年4月1日施行)。

この改正を受け、人事院は、フレックスタイム制を適用する職員の範囲及び当該職員への勤務時間の割振りの基準等について措置するため、平成20年2月1日、規則15−14(職員の勤務時間、休日及び休暇)の一部を改正した(平成20年4月1日施行)。

規則15‐14の改正概要
1 新たにフレックスタイム制を適用することとなった職員
(1) 専門スタッフ職職員で人事院規則で定める職員
 ① 各省各庁の長が、「調査、研究又は情報の分析を主として行う職員」に該当すると判断した職員
 ② ①の基準に該当しない職員のうち、勤務時間法第6条第3項の適用について人事院との協議を経た職員
(2) 調査研究業務に従事する研究職俸給表適用職員

2 専門スタッフ職職員の勤務時間の割振りの基準
(1) 始業及び終業の時刻は午前7時以後午後10時以前
(2) 勤務時間は1日につき4時間以上
 (各省各庁の長が公務の能率の向上に特に資すると認める場合は2時間以上)
(3) コアタイムは、毎日、午前9時から午後4時までの時間帯において、休憩時間を除き、1日につき2時間以上4時間30分以下の範囲内で設定
 (各省各庁の長が公務の能率の向上に特に資すると認める場合は、月曜日から金曜日の5日間のうち1日以上の日について設定)

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