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第1編 人事行政
【第3部】 平成19年度業務状況
第1章 職員の任用
第1節 採用試験
5 実施状況
(1) 概況
平成19年度に実施した採用試験の状況は、表1−1のとおりである。
Ⅰ種試験は、対象となる官職に必要とされる専門知識等に応じて13の区分試験に分けて実施している。同様にⅡ種試験は11、労働基準監督官採用試験及び法務教官採用試験は2、Ⅲ種試験は6、刑務官採用試験は2、航空保安大学校学生採用試験は3、海上保安学校学生採用試験は4の区分試験に分けて、それぞれ実施している。(資料1−2,1−3,1−4,1−5,1−6,1−7,1−8,1−9)
さらにⅡ種試験のうち「行政」区分、Ⅲ種試験のうち「林業」以外の5の区分試験及び刑務官採用試験については、合格者の地域的偏在を防ぎ、全国各地に所在する官署の採用に応じられるようにするため、地域別の試験に分けて実施している。
人事院及び他の試験機関(平成18年度は外務省及び日本郵政公社、平成19年度は外務省)の実施する全試験の申込者総数は、126,453人で、日本郵政公社の採用試験が民営化に伴い実施されなかったため、前年度に比べ39.5%の減少となった。大学卒業等程度の試験では83,850人で21.4%の減少、高等学校卒業程度の試験では42,603人で58.3%の減少となっている。全試験の平成元年度以降の申込者数の推移をみると、平成7年度をピークとして減少に転じ、平成11年度には前年度に比べ16.4%の大幅な増加となったものの、翌年度から減少に転じていた。平成15年度は日本郵政公社の採用試験が新設されたこともあって、大幅に増加したが、平成16年度以降再び減少に転じている。(図1-1)
全試験の合格者総数は、日本郵政公社の採用試験が実施されなかったこともあり10,407人(43.5%)の減少となった。また、申込者数の合格者数に対する倍率は、表1−1のとおりであり、大学卒業等程度の試験が9.1倍で前年度(13.6倍)に比べ4.5ポイント低く、高等学校卒業程度の試験は9.8倍で前年度(6.3倍(日本郵政公社の採用試験を含む))に比べ3.5ポイント高くなったが、引き続き高い倍率となっている。
(2) 試験の種類別の状況
人事院が試験機関として実施するⅠ種試験、Ⅱ種試験及びⅢ種試験における特徴的な事項は、次のとおりである。
ア Ⅰ種試験(ア) 申込者数及び合格者数は表1−1のとおりで、ともに前年度に比べ減少した。また、系統別申込者数の推移は図1−2のとおりで、法文系、理工系、農学系のいずれにおいても前年度に比べ減少した。
(イ) 申込者及び合格者を系統別・学歴別にみると、申込者の場合、法文系では大学卒業者等(卒業者、在学者、中退者をいう。以下同じ。)が多数を占めているのに対し、理工系では大学院修了者等(修士・博士課程修了者、在学者、中退者をいう。以下同じ。)が多数を占めている。合格者の場合、法文系では大学卒業者等が多数を占めているのに対し、理工系及び農学系では大学院修了者等が多数を占めている。(資料1−10)
(ウ) 女性の申込者数及び合格者数は表1−1のとおりである。平成19年度の申込者数は、前年度に比べ減少したが、近年、女性の増加が著しく、本試験が創設された昭和60年度(3,378人)の約2倍となっている。申込者全体に占める女性の割合は、やや減少しているが、平成8年度以降25%を上回る状況が続いている。また、合格者数は、前年度に比べ減少し、合格者全体に占める割合も減少している。(資料1−11)
(エ) 合格者の国・公・私立別の出身大学(大学院を含む。)数は表1−2のとおりである。
イ Ⅱ種試験(ア) 申込者数及び合格者数は表1−1のとおりで、申込者数は、前年度に比べ減少し、合格者数は、前年度に比べ増加した。
(イ) 申込者及び合格者を学歴別にみると、大学卒業者等の占める割合は、申込者、合格者ともに8割を超えており、大学院修了者等の割合は1割強である。(資料1−12)
(ウ) 女性は大きく増加しており、申込者数については、昭和60年度には全申込者数(51,665人)の19.8%であったのに対し、平成19年度は31.0%となっている。また、合格者数については、昭和60年度は全合格者数(5,133人)の11.7%であったのに対し、平成19年度は26.6%に増加している。(資料1−11)
(エ) 申込者、合格者の出身大学(大学院を含む。)等を国・公・私立別にみると、申込者では私立大学が55.0%(前年度54.9%)、国立大学が34.2%(同34.2%)を占め、合格者では私立大学が47.7%(同47.5%)、国立大学が43.7%(同44.4%)となっている。(資料1−13)
ウ Ⅲ種試験(ア) 申込者数及び合格者数は表1−1のとおりで、前年度に比べ申込者数は減少したが、合格者数はわずかに増加した。
(イ) 行政事務、税務及び技術系の区分の学歴の状況についてみると、全体に占める高等学校卒業者等(卒業者、在学者、中退者をいう。)の割合は、申込者で45.6%、合格者で31.9%であり、前年度に比べ、申込者割合ではやや増加したものの、合格者割合では減少した。(資料1−14)
(ウ) 女性の申込者数及び合格者数は表1−1のとおりである。申込者及び合格者の割合は前年度を下回った。(資料1−11)
エ 点字による試験等の実施結果Ⅰ種試験及びⅡ種試験の「行政」区分については、点字試験を行っている。また、視覚障害の程度によって、Ⅰ種試験、Ⅱ種試験、Ⅲ種試験、国税専門官採用試験及び気象大学校学生採用試験については、拡大文字による試験、解答時間の延長等の措置を講じている。
平成19年度においては、点字試験の申込者は、Ⅰ種試験1人(前年度0人)、Ⅱ種試験0人(同1人)、拡大文字試験及び試験時間延長措置による試験の申込者は、Ⅰ種試験1人(同1人)、Ⅱ種試験1人(同0人)、Ⅲ種試験1人(同2人)であった。
平成19年度の試験では合格者はいなかった。
(3) インターネットによる受験申込み
行政事務の効率化・高度化への対応及び簡便な受験申込みを図っていく観点から、航空管制官採用試験、航空保安大学校学生採用試験、入国警備官採用試験、皇宮護衛官採用試験、海上保安学校学生採用試験及び海上保安大学校学生採用試験について、従前の郵送等による申込方法に加え、インターネットによる受験申込みを実施した。
平成19年度におけるインターネットによる受験申込者数は1,462人で、対象試験の合計申込者数(13,244人)に占める割合は11.0%であった。
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