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第1編 人事行政

【第3部】 平成19年度業務状況

第2章 人材の育成

2 府省合同幹部要員研修(行政研修)


各府省の行政運営の中核となることが期待される職員を対象に、豊かな感性と高い倫理観に基づいた全体の奉仕者としての使命感の徹底、広い視野、柔軟な発想など国民全体の視点に立つために求められる資質を向上させること及び国家公務員として協力して施策を行うための相互の信頼関係を醸成することを基本的な目的とした合同研修(行政研修)を実施している。

行政研修は、採用時の合同初任研修、初任行政研修をはじめ、本府省の係長級、課長補佐級、課長級の各職員に対する研修など各階層ごとに実施しており、係長級以上では①公務員の在り方を考える、②公共政策の在り方を考える、③リーダーシップ・マネジメントを学ぶ、の三点をカリキュラムの柱としている。また、研修参加者は、合宿研修を通じて議論を重ね、意見を交換して、互いに啓発しながら相互の理解・信頼を深めている。

また、様々な分野の者との交流を通じ幅広い視野を身に付け相互の理解を促進する観点から、民間企業、地方公共団体、外国政府等からの参加を得て実施している。

平成19年度における行政研修の実施状況は、表2−1のとおりである。

[表2-1]平成19 年度行政研修実施状況
(1) 国家公務員合同初任研修

Ⅰ種試験(これに相当するものを含む。)により採用された直後の職員を対象に、総務省と共同で実施している。

平成19年度は、各界を代表する講師によるこれからの公務員の在り方に関する講演等のほか、公務員の服務・倫理についての講義・事例研究、各府省の人事管理官及び課長補佐などを迎えての班別演習を中心として実施した。

(2) 初任行政研修

Ⅰ種試験(これに相当するものを含む。)により採用された職員のうち、将来、本府省において政策の企画・調整の衝に当たることが見込まれる者を対象に、4コースに分けて実施している。

平成19年度は、「公務員倫理」に関する講義・演習のほか、研修員8〜9人が一組となり政策提言をまとめる「政策課題研究」や、行政事例を題材として実際の政策決定の在り方を学ぶ「行政政策史」などをカリキュラムとして実施した。また、体験型カリキュラムとして、社会福祉施設での実地体験を通じて学ぶ「介護等実地体験」、地方自治体に赴いて地方行政の実情を学び、地方行政に携わる職員や地域住民との意見交換を行うこと等により、地域の多様性、生活実態、住民の意識やニーズ等について認識を深める「地方自治体実地体験」を関係者の協力を得て実施した。(表2−2

[表2-2]平成19年度初任行政研修の内容
 

初任行政研修の在り方に関する懇話会

初任行政研修の在り方に関する懇話会は、平成18年度に初任行政研修の実施10回目の節目を機会として設けられた。平成19年度は1回開催し、初任行政研修の実施状況について報告するとともに、今後の行政研修全体の在り方について意見を聴取した。

(3) 行政研修(係長級)

本府省の係長級の職員を対象に実施している。

平成19年度は、地球環境問題をテーマとした「政策課題研究」、各府省の行政課題等についての「個別政策研究」のほか、「古典講読」、「コーチング」などをカリキュラムとして1回実施した。

(4) 行政研修(課長補佐級)

本府省の課長補佐級の職員を対象に実施している。

平成19年度は、我が国の安全保障、地域振興等をテーマとした「政策課題研究」、各府省の行政課題等についての「個別政策研究」のほか、「職業と倫理」に関する講義・演習、「コーチング」、古典を通じてリーダーシップを考える「古典に学ぶ」などをカリキュラムとして5回実施した。

(5) 行政研修(課長補佐級)中国行政学院派遣コース

本府省の課長補佐級の職員を対象に実施している。

平成19年度は、中国事情について把握するための事前研修と日中の行政官の意見交換や中国の農村等への訪問などを行う派遣研修を1回実施した(訪問先は、成都及び北京)。

なお、課長補佐級において、中国行政官35名の受入れを行った。

(6) 行政研修(課長補佐級)韓国中央公務員教育院派遣コース

本府省の課長補佐級の職員を対象に実施している。

平成19年度は、韓国事情について把握するための事前研修と日韓の行政官の意見交換や韓国の行政機関等への訪問などを行う派遣研修を1回実施した(訪問先は、ソウル特別市及びクワチョン市)。

(7) 行政研修(課長補佐級)科学技術・研究振興コース

本府省の科学技術関連の部局に勤務する行政職員のほかに、独立行政法人を含む研究所の研究職員を対象に実施している。

平成19年度は、研究開発システムの創生をテーマとした「政策課題研究」、各機関における課題についての「個別事例研究」、「メンタルヘルス」の講義などをカリキュラムとして1回実施した。

(8) 行政研修(課長級)

本府省の課長級職員を対象に実施している。

平成19年度は、現代の中国事情と日中関係、過労死・過労自殺等をテーマとしたレクチャー・フォーラム方式の「政策課題研究」、各府省の行政政策についての「個別政策研究」、公務員倫理に関し思索等を深める観点からの「古典に学ぶ(読書研究)」、「文化・文明論」に関する講義のほか、「人事管理・組織管理」などをカリキュラムとして5回実施した。

(9) 行政研修(係員級特別課程)

Ⅱ種試験又はⅢ種試験等により採用された係長昇任直前の職員で、各府省が将来の幹部要員として計画的に育成しようとしている者又はその選抜の候補となる勤務成績優秀者を対象に実施している。

平成19年度は、格差社会、少子高齢社会における社会保障をテーマとした「公共政策立案の基礎」のほか、「公務員倫理演習」、「政策ディベート」、「英語学習技法演習」などをカリキュラムとして2回実施した。

(10) 行政研修(係長級特別課程)

Ⅱ種試験又はⅢ種試験等により採用された本府省の係長級の職員で、各府省が将来の幹部要員として計画的に育成しようとしている者を対象に実施している。

平成19年度は、人口減少時代の社会保障、我が国の外交をテーマとした「政策課題研究」、各府省の行政課題についての「個別政策研究」のほか、「公務員と職業倫理」、「政策ディベート」、「コーチング」などをカリキュラムとして2回実施した。

(11) 行政研修(課長補佐級特別課程)

Ⅱ種試験又はⅢ種試験等により採用された本府省の課長補佐級の職員で、各府省が将来の幹部要員として計画的に育成しようとしている者を対象に実施している。

平成19年度は、地域間格差、官と民の役割分担をテーマとした「政策課題研究」、各府省の行政課題についての「個別政策研究」のほか、「公務員倫理演習」、「コーチング」、古典を通じてリーダーシップを考える「古典を学ぶ」等をカリキュラムとして2回実施した。

特別課程においては、研修員の所属府省における今後の育成の参考に資するため、研修期間中のレポートの内容、研修への参加状況等を通じて、研修員の能力・適性等について評価を行った。

(12) 行政フォーラム

行政フォーラムは、長期間の研修の参加が困難な本府省の課長級職員に研修機会を提供する場として、人事院の会議室において、講義と意見交換を合わせて夕刻から約3時間という参加の容易な形式で実施している。

平成19年度は、各界から著名な講師を招いて、「変革の時代における課題と展望」というテーマに沿った講演を5回実施した。また、政策研究大学院大学と共催で、「公共部門の人材育成」というテーマでパネルディスカッション方式のシンポジウムを1回開催した。(表2−3

[表2-3]平成19年度行政フォーラムのテーマ及び講師

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