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第1編 人事行政
【第3部】 平成19年度業務状況
第5章 職員の福祉
第1節 健康安全対策
1 健康の保持増進
(1) 心の健康づくり対策
公務において自殺した職員が増加し高止まり状況にあること、長期病休中の職員のうち精神及び行動の障害によるものが急増していることを踏まえ、職員の心の健康づくり対策に重点的に取り組んできている。
平成16年3月には、専門家の意見を踏まえて「職員の心の健康づくりのための指針」(勤務条件局長通知)を発出し、この指針に基づいて、以下のとおり様々な施策を実施している。
ア 専門性の高い課題について四つの専門家会議を設けて検討を進め、平成17年、「職員の自殺防止のために」、「心の健康に関する相談体制とストレス対策のあり方」、「心の健康のための早期対応と円滑な職場復帰」、「心の健康づくりの研修のために(職員編、管理監督者編、心の健康づくり研修講師養成講座編及び健康管理者編)」が取りまとめられた。人事院ではそれらの報告書に基づいて、各府省の健康管理者等を対象とした「心の健康づくりの研修(健康管理者)」、各府省の職員及び管理監督者への研修を行う講師を養成する「心の健康づくりの研修(心の健康づくり研修講師養成講座)」を人事院の本院及び各地方事務局(所)で開催し、その普及啓発に努めた。
イ 各府省の職員、家族等が共同で利用できる「こころの健康相談室」(全国10か所に設置)の平成19年度における相談件数は、合計199件で、相談内容としては、「職員の健康問題」が133件、「職場に関する問題」が53件、「家族の問題」が10件、「その他」が3件となっている。相談者は、「職員本人」が93件、「職場関係者」が101件、「家族」が5件となっている。
ウ 平成18年度に人事院の本院、中部事務局及び近畿事務局に設置した「こころの健康にかかる職場復帰相談室」を、平成19年度からは北海道事務局及び九州事務局にも設置し、各府省における精神及び行動の障害による長期病休者の職場復帰及び再発防止に関して専門的立場から助言・指導を得られるよう、精神科を専門とする健康管理医を配置して相談に応じている。平成19年度における全体の相談件数は、合計135件であった。
(2) 生活習慣病対策
がん、心臓病、脳卒中等の生活習慣病を積極的に予防するため、各府省の健康管理医療スタッフ及び健康管理事務スタッフを対象に、「生活習慣病管理研究会議」を毎年度開催している。平成19年度は、12月に「メタボリックシンドロームと特定保健指導」及び「生活習慣病対策(特定健診・特定保健指導への取組)」というテーマで、専門家による講義を行った。
(3) 喫煙対策
「職場における喫煙対策に関する指針」(平成15年勤務条件局長通知)に基づき喫煙対策を推進してきているが、更に推進するため、今後とも、同指針に基づき職場における受動喫煙防止対策等の推進を図っていくこととしている。
(4) 国家公務員長期病休者実態調査
職員の健康管理に関する諸施策の検討に資するため、一般職の非現業国家公務員のうち、平成18年4月1日から平成19年3月31日までの間に、引き続いて1月以上の期間、負傷又は疾病のため勤務していない者を対象に「国家公務員長期病休者実態調査」を行った。その結果の概要は、次のとおりである。
平成18年度における長期病休者は、6,105人(全職員の2.04%)であり、前回調査(平成13年度)に比べ486人減少している。性別にみると、男性は4,702人(全男性職員の1.88%)、女性は1,403人(全女性職員の2.82%)となっている。
傷病別にみると、「精神及び行動の障害」3,849人(長期病休者総数に対する割合は63.0%)、「新生物」604人(同9.9%)、「循環器系の疾患」317人(同5.2%)、以下、「損傷、中毒及びその他外因の影響」、「筋骨格系及び結合組織の疾患」の順となっている。
前回調査と比べ、「精神及び行動の障害」が1,631人増加しているが、その他の傷病はいずれも減少している。(表5‐1)
(5) 国家公務員の死亡者数等の調査
職員の健康管理及び安全管理の向上に資するため、平成18年度中に死亡した一般職の国家公務員について「国家公務員死亡者数調査」を実施した。
平成18年度における在職中の死亡者は339人(死亡率(10万人に対する率)は110.2)で、前年度より205人減少(死亡率は13.9ポイント増加)している。
死因では、病死が252人で平成17年度より151人減少し、災害死が87人で平成17年度より54人減少した。災害死のうち、自殺は71人で平成17年度より29人減少し、死亡率は17.7から23.1と増加した。
(6) 健康診断の実施状況等
ア 健康診断の実施状況各府省の報告を基に把握した平成18年度の健康診断の実施状況をみると、各検査項目別の受診対象者の受診率は、前年度に比べほぼ横ばいであったが、総合健診(人間ドック)(規則10‐4第21条の2)の受診者は、全職員の32.4%と、前年度に比べ0.3ポイントとわずかながら上昇した。両者を含めた受診率はほぼ同様となっている。
また、有害な業務又は健康障害を生ずるおそれのある業務(規則10‐4で18種類の業務を定めている。)に従事する職員を対象として、特別定期健康診断が各府省において実施された。18業務を合わせた受診率は92.0%で前年度に比べ0.1ポイント上昇した。特別定期健康診断の結果、医療の面の指導区分の決定を受けた職員の割合は、要医療が受診者の0.8%、要観察が2.6%であった。
このほか、各府省において、臨時の健康診断、子宮がん健康診断、VDT作業者の健康診断等が実施された。
一般定期健康診断は、規則10‐4第20条で定める検査項目について実施され、その結果は資料5‐1のとおりである。
イ 検査項目の改正「高齢者の医療の確保に関する法律」により、平成20年4月から医療保険者である共済組合による、被保険者である職員に対する特定健康診査及び特定保健指導の実施が義務付けられたこと等を踏まえ、特定健康診査として定められた健診項目と整合性を図るため、規則10‐4で定めた健康診断の検査項目の一部を改正し、平成20年4月から施行した。
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