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第2編 国家公務員倫理審査会の業務

第2部 平成19年度業務状況

第3節 倫理法等に違反する疑いがある行為に係る調査及び懲戒

2 倫理法等に違反する疑いがある行為に係る調査及び懲戒の状況


(1) 調査及び懲戒処分等の件数

平成19年度に倫理法等に違反する疑いのある行為に関し新たに調査が開始された事案は34件、前年度から継続して調査が行われた事案は6件であった。これらのうち、倫理法等に違反する行為があることを理由として懲戒処分が行われたものは、27件(83人)であり、各府省の内規による訓告、厳重注意等の措置(以下「矯正措置」という。)が講じられたものは、14件(76人)であった(1件の事案の中で複数の職員が違反行為を行い、懲戒処分、矯正措置の両方が行われているもの9件については重複計上している。また、懲戒処分を受け又は矯正措置が講じられた者の数には、復帰時処分予定の者3人を含む。)。また、調査が平成20年度に継続された事案は6件であった。

これらを前年度と比べると、新たに開始された調査件数は2件、懲戒処分件数は6件それぞれ増加し、矯正措置件数は5件増加している。

なお、平成12年4月から平成19年度末までの間に、倫理法等に違反する行為があることを理由として懲戒処分が行われた者が273人(免職44人、停職18人、減給58人、戒告153人)であり、矯正措置が講じられた者が287人であった。

(2) 倫理法等違反事案の概要

平成19年度において、倫理法等に違反する行為があることを理由として懲戒処分が行われた事案の概要及び処分内容は次のとおりである。

違反行為
処分内容
事案の概要
1
利害関係者から金銭の贈与を受け、及び共にゴルフをした事案(倫理規程第3条第1項第1号及び第8号違反) 減給1月
(1/10)(3人)

戒告(5人)

厚生労働省の地方支分部局の職員6名が、ゴルフ場においてゴルフを行うに際し、立入検査・監査又は監察の相手方として利害関係者である事業者から提供された無記名法人会員権利用券を使用したことにより、ゴルフ料金を一般利用者より割り引かれ、割引額に相当する額の金銭の贈与を受けた。また、職員1名は、上記割引額に相当する額の金銭の贈与を受けたほか、立入検査・監査又は監察の相手方として利害関係者である事業者と共にゴルフを行い、さらに、職員1名は、立入検査・監査又は監察の相手方として利害関係者である事業者等と共にゴルフを行ったもの。

2
利害関係者と共に飲食し、共にゴルフを行い、共に旅行をし、利害関係者以外の者から社会通念上相当と認められる程度を超えて供応接待等を受け、及び利害関係者以外に自らの複数回にわたる飲食費をつけ回した事案(倫理規程第3条第1項第7号から第9号、第5条第1項及び第2項違反) 免職

国土交通省の職員が、立入検査・監査又は監察の相手方として利害関係者である業者と共に飲食し、共にゴルフを行い、前日から同利害関係者と共に宿泊したもの。また、利害関係者以外の業者から複数回にわたり、社会通念上相当と認められる程度を超えて飲食等の供応接待(金額不明なものを除き約295,300円)を受け、さらに、同利害関係者以外の業者に、複数回にわたり、自らの飲食費用等(約669,200円)の負担をさせたもの。

なお、他の国公法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分が行われた。(他に、同じ課の職員1名が、利害関係者以外の者から飲食の接待を受けているところ、行為の態様等を考慮し、懲戒処分は行われず、同省の内規に基づく矯正措置が講じられた。)。

3
利害関係者から金銭の贈与を受けた事案(倫理規程第3条第1項第1号違反) 免職

国土交通省の地方支分部局の職員が、補修工事の指名競争入札に関し、契約の相手方として利害関係者である業者から同業者を同工事の指名競争入札参加者に選定してもらいたいとの趣旨の下に供与されるものであることを知りながら、2回にわたり現金60万円の供与を受けたもの(職員は収賄容疑で逮捕されている。)。

なお、他の国公法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分が行われた。

4
利害関係者から金銭の贈与を受けた事案(倫理規程第3条第1項第1号違反) 戒告(4人)

厚生労働省の職員4名が、契約等の相手方として利害関係者である事業者から依頼を受けて、書籍のチェック加筆訂正作業を取りまとめ、その増刷に係る報酬として、作業量と対価の関係が明らかでない報酬を事実上受領し、もって、利害関係者から金銭の贈与を受けたもの。

5
利害関係者から物品の贈与を受け、金銭の貸し付けを受け、飲食の提供を受け、及び共に旅行した事案(倫理規程第3条第1項第1号、第2号、第6号及び第8号違反) 免職

国税庁の地方支分部局の職員が、立入検査・監査又は監察の相手方として利害関係者である調査先の実質経営者と飲食を共にし、その飲食代金を負担させた(8回)ほか、当該職員と他の者との飲食代金を同利害関係者に負担させた。また、同利害関係者からスーツ、ネクタイ、ワイシャツの贈与を受け、利害関係者と共に旅行(1泊2日)し、その代金を負担させ、100万円の貸し付けを受けたもの。

なお、他の国公法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分が行われた。

6
利害関係者以外の者から社会通念上相当と認められる程度を超えて財産上の利益の供与を受けた事案(倫理規程第5条第1項違反) 停職3月
(1人)

減給3月
(2/10)(1人)

減給3月
(1/10)(1人)

減給1月
(1/10)(2人)

戒告(8人)

国税庁の地方支分部局の職員13名が、利害関係者以外の事業者等である高級クラブの経営者から、同クラブを利用した際、通常一人当たり3万円程度のところ、概ね5千円.1万円程度の格安料金での飲食の供応接待を受けたもの。 うち1名においては、合計39回にわたり通常一人当たり3万円程度のところ、概ね0円.1万円の格安料金で飲食し、タクシーチケット(計4回約3万円分)、プロ野球チケット(6枚、約3万円分)、ネクタイ(2本、2万円分)、飲食費用(4回、約5万円分)の贈与を受けた(利益供応総額1,052,252円)もの。

なお、他の国公法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分が行われた。

(他の職員6名については、上司の誘いを受けての行動であったこと等を考慮し、懲戒処分は行われず、同庁の内規に基づく矯正措置が講じられた。)

7
利害関係者から物品の贈与を受け、飲食の提供を受け、及び利害関係者以外から社会通念上相当と認められる程度を超えて財産上の利益の供与を受けた事案(倫理規程第3条第1項第1号、第6号及び第5条第1項違反) 減給7月
(1/10)

国土交通省地方支分部局の職員が、契約の相手方として利害関係者である業者から、ゴルフボール1ダース(3,500円相当)及びゲーム機(時価7万円相当)を受け取り、また、昼食等(3回:約4,000円相当)の提供を受けた。さらに、利害関係者以外の者に依頼し、エアコン(施工費含み68,250円)を自身の官舎に設置させたもの。

8
利害関係者と共に遊技を行った事案(倫理規程第3条第1項第7号違反) 戒告(2人)

厚生労働省の地方支分部局の職員2名が、立入検査・監査又は監察の相手方として利害関係者である事業者と共に、2年間にわたり、月に2回から3回程度、麻雀を行ったもの。

9
利害関係者から金銭の贈与を受け、利害関係者と共に飲食をし、及び飲食の供応接待を受けた事案(倫理規程第3条第1項第1号、第6号及び第7号違反) 免職

社会保険庁の地方支分部局の職員が、立入検査・監査又は監察の相手方として利害関係者である者から、職員らによる指導、監査の対象となることを免れるための助言等を受け、今後も同様の取り計らいを受けたい旨の趣旨など職務に関し供与されるものであることを知りながら、8回程度、現金合計470万円の供与を受け、さらに、計4回程度、飲食の供応接待(金額不明)を受け、うち1回は利害関係者と共に飲食をした行為を含む(職員は収賄容疑で逮捕されている。)。

なお、他の国公法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分が行われた。

10
利害関係者から金銭の贈与を受けた事案(倫理規程第3条第1項第1号違反) 免職

法務省の施設等機関の職員が、行政指導の相手方として利害関係者である者から、有利便宜な取り計らいを得たいなどの趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら、同利害関係者に指示を受けた第三者を通じて現金30万円の供与を受けたもの(職員は収賄容疑で逮捕されている。)。

なお、他の国公法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分が行われた。

11
利害関係者から金銭等の贈与を受け、無償で役務の提供を受け、供応接待を受け、共に旅行し、及び利害関係者以外の者から社会通念上相当と認められる程度を超えて財産上の利益の供与を受けた事案(倫理規程第3条第1項第1号、第4号、第6号、第7号、第8号及び第5条第1項違反) 免職

農林水産省の地方支分部局の職員が、立入検査の相手方又は契約の相手方として利害関係者である業者から、金銭(現金約40万円)及び物品の贈与、供応接待及び無償の役務の提供を受け、さらに、利害関係者と共に国内及び海外旅行(約36万円)し、その経費を負担させた。また、17年3月以前に利害関係者と共に飲食をしたもの。

さらに、利害関係者に該当しない業者から社会通念上相当と認められる程度を超えて財産上の利益の供与を受けたもの(職員は収賄容疑で逮捕されている。)。

なお、他の国公法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分が行われた。

12
利害関係者から飲食の供応接待を受けた事案(倫理規程第3条第1項第6号違反) 減給1月
(1/10)(1人)

戒告(2人)

経済産業省の職員3名が、許認可等をする相手方として利害関係である関連団体から飲食の供応接待(回数は4回.6回、一人当たり合計約4万円.約5万5千円)を受けたもの。

(他の職員3名については、行為の態様等を考慮し、懲戒処分は行われず、同省の内規に基づく矯正措置が講じられた。)。

13
利害関係者から金品の贈与を受け、及び無償で役務の提供を受けた事案(倫理規程第3条第1項第1号及び第4号違反) 免職(1人)

減給1月
(1/10)(1人)

戒告(1人)

厚生労働省の施設等機関の職員が、主任研究者から分担された研究に関し、同機関の職員3名に不正経理を指示し、契約の相手方として利害関係者である業者から架空の見積書、請求書及び収入印紙貼付の領収書を提出させて不正経理をさせ、もって利害関係者から無償で役務の提供及び収入印紙の提供を受けたもの。

なお、他の国公法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分が行われた。

(他の職員1名については、行為の態様等を考慮し、懲戒処分は行われず、同省の内規に基づく矯正措置が講じられた。)。

14
利害関係者から金銭の貸付けを受けた事案(倫理規程第3条第1項第2号違反) 戒告

国土交通省の地方支分部局の職員が、契約の相手方として利害関係者である業者から現金10万円の貸付けを受けたもの。

なお、他の国公法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分が行われた。

15
利害関係者以外の者から社会通念上相当と認められる程度を超えて財産上の利益の供与を受けた事案(倫理規程第5条第1項違反) 減給10月
(1/10)(2人)

社会保険庁の地方支分部局の職員1名が、利害関係者以外の者から、高級飲食店で供応接待(金額不明)を受けた上、現金35万円を受領したもの。

別の地方支分部局の職員1名が、利害関係者以外の者から、高級飲食店で供応接待(金額不明)を受けた上、現金37万円を受領したもの。

なお、他の国公法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分が行われた。

16
利害関係者から金銭の贈与を受けた事案(倫理規程第3条第1項第1号違反) 免職

法務省の施設等機関の職員が、行政指導の相手方として利害関係者である者から、有利便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら、同利害関係者に指示を受けた第三者を通じて現金22万円の供与を受けたもの(職員は収賄容疑で逮捕されている。)。

なお、他の国公法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分が行われた。

17
利害関係者以外の者から社会通念上相当と認められる程度を超えて財産上の利益の供与を受けた事案(倫理規程第5条第1項違反) 免職

内閣官房の職員が、利害関係者以外の者から、8回にわたり、現金82万円の供与を受け、さらに、飲食の費用を負担させる(金額不明)など、社会通念上相当と認められる程度を超えて財産上の利益の供与を受けたもの。

なお、他の国公法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分が行われた。

18
利害関係者から物品の贈与を受け、共に飲食をし、及び飲食の供応接待を受けた事案(倫理規程第3条第1項第1号、第6号及び第7号違反) 戒告

会計検査院の職員が、立入検査・監査又は監察の相手方として利害関係者である団体から、個人名で自宅に送付された物品を受領したもの。また、同団体と2回にわたり共に飲食をするとともに、自己費用負担額が十分でなかったため、実際の精算金額と自己費用負担額との差額分(2回合計6,200円)の供応接待を受けたもの。

(他の職員3名については、行為の態様等を考慮し、懲戒処分は行われず、同院の内規に基づく矯正措置が講じられた。)。

19
利害関係者から金銭の贈与を受けた事案(倫理規程第3条第1項第1号違反) 戒告(2人)

農林水産省の地方支分部局の職員2名が、出張旅費として宿泊代を受領しているにもかかわらず、契約の相手方として利害関係者である関連団体が用意した宿泊施設に宿泊代(11,000円相当)を支払わないで宿泊したもの。

20
利害関係者以外の者から社会通念上相当と認められる程度を超えて財産上の利益の供与を受けた事案(倫理規程第5条第1項違反) 減給3月
(1/10)

厚生労働省の地方支分部局の職員が、利害関係者以外の事業者から飲食(一人当たり約1万円)の接待を受けた上、同事業者の事業所から職場までの帰路に際し、赴いた際に使用した官用車を同事業者の従業員に運転させ、無償で役務の提供を受けたもの。

なお、他の国公法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分が行われた。

(他の職員1名については、上司の誘いを受けての行動であったこと等を考慮し、懲戒処分は行われず、同省の内規に基づく矯正措置が講じられた。)。

21
利害関係者から金銭の贈与を受けた事案(倫理規程第3条第1項第1号違反) 免職

国土交通省の地方支分部局の職員が、契約等の相手方として利害関係者である業者から、有利便宜な取り計らいを受けたことに対する謝礼として現金1,200万円の贈与を受けたもの(職員は収賄容疑で逮捕されている。)。

なお、他の国公法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分が行われた。

22
利害関係者から物品の贈与を受け、無償の役務提供を受け、飲食の接待を受け、及び共に旅行をした事案(倫理規程第3条第1項第1号、第4号、第6号及び第8号違反) 免職

国土交通省の地方支分部局の職員が、契約の相手方として利害関係者である業者から、デジタルカメラ、パソコン及びプリンター(総額247,660円)の贈与を受けた。

また、自宅の植木を運搬、保管させ、さらに、工事により発生した廃線ケーブルを運搬、売却させ、売り払った代金を受け取り、加えてタクシーの提供を受けた。(総額52,700円相当)

さらに、飲食の提供を受け、プロ野球観戦チケットの提供を受け、北海道旅行の旅行費用を負担させ(総額67,500円相当)、利害関係者と共に北海道旅行したもの。

なお、他の国公法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分が行われた。

23
利害関係者以外の者から社会通念上相当と認められる程度を超えて財産上の利益の供与を受けた事案(倫理規程第5条第1項違反) 戒告(16人)

厚生労働省の地方支分部局の組織の長16名が、当該施設の一部で独自の業務を行う利害関係者以外の団体職員に、本来、地方支分部局の職員が行うべき窓口対応や相談業務などに従事させ、社会通念上相当と認められる程度を超えた財産上の利益(無償の役務提供)を受けたもの。

なお、他の国公法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分が行われた。

(他の職員23名については、行為の態様等を考慮し、懲戒処分は行われず、同省の内規に基づく矯正措置が講じられた。)。

24
利害関係者から物品の贈与を受け、及び飲食の供応接待を受けた事案(倫理規程第3条第1項第1号及び第6号違反) 戒告

金融庁の職員が、許認可等の相手方として利害関係者である事業者から土産(1万円相当)の贈与を受け、8回にわたり、飲食の供応接待(合計7,650円)を受けたもの。

25
利害関係者から飲食の供応接待を受け、利害関係者と共に旅行し、及び利害関係者以外の者から社会通念上相当と認められる程度を超えて供応接待を受けた事案(倫理規程第3条第1項第6号、第8号及び第5条第1項違反) 減給3月(1/10)(2人)
減給1月(1/10)(1人)
戒告(8人)

農林水産省の施設等機関の職員11名が、許認可等の相手方として利害関係者である業者から飲食の供応接待を受け、共に旅行をしたもの。

また、利害関係者に該当しない業者から社会通念上相当と認められる程度を超えて供応接待を受けたもの。

(他の職員25名については、行為の態様等を考慮し、懲戒処分は行われず、同省の内規に基づく矯正措置が講じられた。)

26
利害関係者から物品の贈与を受け、飲食の供応接待を受け、及び共に飲食した事案(倫理規程第3条第1項第1号、第6号及び第7号違反) 減給1月
(1/10)

国土交通省の地方支分部局の職員が、契約の相手方として利害関係者である業者から8回にわたり、贈答品(計約22,050円及びビール券18枚)を受領し、2回にわたり利害関係者と共に飲食し、飲食の供応接待(計6,000円相当)を受けたもの。

27
利害関係者から飲食の供応接待を受けた事案(倫理規程第3条第1項第6号違反) 戒告(3人)

農林水産省の地方支分部局の職員3名が、契約の相手方として利害関係者である業者との懇親会に会費を負担し飲食したが、実際に掛かった飲食代との差額及び二次会において計3回ないし4回にわたり飲食の供応接待(会費として支払った分の不足額12,000円相当.15,000円相当)を受けたもの。

(他の職員5名については、行為の態様等を考慮し、懲戒処分は行われず、同省の内規に基づく矯正措置が講じられた。)

(注) 表の1、2、9、11、18、25、26の事案については、平成16 年以前の違反行為であること又は違反行為も含まれることから、平成17 年4 月の改正前の倫理規程について適用されている。

また、倫理法等違反の行為があることが調査の結果明らかになったが、当該違反行為の態様等に照らし、懲戒処分は行われず、矯正措置が講じられた事案の内訳は次のとおりである。

倫理法等に違反した場合の懲戒処分

職員が倫理法等に違反する行為を行った場合の懲戒処分については、規則22‐1においてその基準が定められています。

○ 同規則では違反行為に応じた懲戒処分の基準として、例えば下表の左欄に掲げる違反行為に対し右欄に掲げる処分を定めており、職員が行った行為の態様、公務内外に与える影響、職員の官職の職責、当該行為の前後における職員の態度等を考慮して、そのうちのいずれかの種類の処分を行うこととしています。なお、職員が利害関係者から賄賂として供応接待若しくは財産上の利益の供与を受け、又は職員が請託を受けその地位を利用して他の職員に利害関係者から賄賂として供応接待若しくは財産上の利益の供与を受けさせた場合には、その懲戒処分の基準は、免職又は停職とされています。

懲戒処分の基準例
利害関係者から金銭又は物品の贈与を受けること 免職、停職、減給又は戒告
利害関係者から金銭の貸付けを受けること 減給又は戒告
利害関係者から無償で役務の提供を受けること 免職、停職、減給又は戒告
利害関係者から供応接待(飲食物の提供)を受けること 減給又は戒告
利害関係者以外の事業者等から社会通念上相当と認められる程度を超えて供応接待又は財産上の利益の供与を受けること 減給又は戒告

○ 情状により、上記の懲戒処分の基準で定められた懲戒処分より重くしたり、軽くしたり、場合によって懲戒処分を行わないことができることとされています(ただし、懲戒処分が行われない場合には、通常、各府省の内規による訓告、厳重注意などの矯正措置が行われます)。

任命権者が職員に倫理法等に違反する行為があることを理由として懲戒処分を行おうとする場合は、あらかじめ倫理審査会の承認を得なければならないとされています。倫理審査会では、上記規則を踏まえて違反行為の内容を厳正に審査し、任命権者が行おうとする処分案が適正かどうか判断しています。倫理法等が施行されて8年が経過しましたが、これまで273人に対して懲戒処分(免職44人、停職18人、減給58人、戒告153人)が行われています。


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