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第1編 《人事行政》

【第2部】 変革が迫られる国家公務員人事管理

第4章 人事の公正の確保

2 人事における公正の確保の仕組み


行政に携わる一般職国家公務員は、いかなる政権の下においても、専門家として、法律に従い、中立・公正に職務を遂行することが求められている。公務員が、全ての国民に対し、法律に基づいて、中立・公正に行政を執行するためには、「人事行政は基盤行政」(辻清明著「公務員制の研究」など)とされているとおり、人事における公正の確保が極めて重要である。

このため、現行の国公法においては、平等取扱の原則、能力実証主義(成績主義)及び身分保障などの諸原則を定めるとともに、内閣の所轄の下に、合議制の第三者機関である人事院を設け、人事行政の基本である任免の基準設定や採用試験及び研修の企画・実施などを担わせることとしている。

(参考)国家公務員法第3条
 (人事院)
第3条 内閣の所轄の下に人事院を置く。人事院は、この法律に定める基準に従つて、内閣に報告しなければならない。
② 人事院は、法律の定めるところに従い、給与その他の勤務条件の改善及び人事行政の改善に関する勧告、採用試験及び任免(標準職務遂行能力及び採用昇任等基本方針に関する事項を除く。)、給与、研修、分限、懲戒、苦情の処理、職務に係る倫理の保持その他職員に関する人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護等に関する事務をつかさどる。
〔人事行政における公正の確保に関する人事院の提言〕

「国家公務員制度改革基本法等に基づく改革の「全体像」について」(平成23年4月5日国家公務員制度改革推進本部決定)(以下「全体像」という。)において、人事院を廃止して、新たに公務員庁、内閣人事局、人事公正委員会を設置するなど人事行政の実施体制が見直されることとされている。この場合においても、近代公務員制度の原則である人事行政における公正の確保については、引き続き適切に維持される必要があり、人事院は、同年4月19日に、内閣総理大臣に宛てた書簡の中で、今回の改正に際して、人事における公正の確保を図る観点から、次の措置を行うことを提言している。


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