第1編 《人事行政》

【第2部】 在職状況(年齢別人員構成)の変化と人事管理への影響

第1章 国家公務員の在職状況(年齢別人員構成)の変化と課題

第2節 在職状況の変化がもたらす課題

1 本府省と地方機関の関係

国の行政運営の中で、本府省が主として行っている企画・立案に関する事務と地方機関が主として行っている執行に関する事務はそれぞれが関係なく機能するものではない。すなわち、地方機関は本府省の企画した所定の制度や予算を適正に執行し、さらに、現場での関係者との調整業務等を通じてくみ取った現場のニーズなどの情報を本府省に伝え、本府省はそれを制度や予算に適切に反映するというようなサイクルがあり、両者は相互に有機的に連携して機能を発揮する、いわば「車の両輪」である。

仮に、企画・立案部門である本府省を重視するあまり、執行部門である地方機関に本来の業務量に見合わない過少な人員しか配置されないとすれば、執行事務の円滑な遂行に支障が生じ、結果的に本府省の企画・立案機能も十全に発揮されない事態が生じるおそれがある。また、前述のように地方機関を有する府省の多くでは地方機関採用者を本府省に異動させて勤務させる人事管理を行っているが、地方機関においても業務遂行に必要な人員を確保する必要があるため、地方機関の業務遂行に支障が生じるような数の職員を本府省に供給することはできない。そのため、地方機関の若年層の職員数の減少は、本府省に供給できる職員数の減少にもつながり、結果的に本府省の業務遂行や人事管理にも影響を与えることになる。

したがって、本府省と地方機関の人員の配置を考えるに当たっては、このような企画・立案と執行の相互依存関係を十分に意識した上で、最適な配置を考えることが必要となる。

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