人事院 人事院ホーム
妊娠・出産・育児・介護と仕事の両立支援制度の活用に関する指針について
(令和4年3月4日職職―41)
(人事院事務総局職員福祉局長発)
 
 
 両立支援制度については、各種法律、人事院規則等により、様々な制度が措置されています。今般、「妊娠・出産・育児・介護と仕事の両立支援制度の活用に関する指針」として、両立支援制度に共通する基本的考え方や留意点を別添のとおり取りまとめましたので、人事担当部局及び管理者におかれては、令和4年4月1日以降、これを参考にして両立支援制度の適切な運用を図り、職員が働きやすい勤務環境の整備と公務能率の向上に努めてください。
 なお、これに伴い、「仕事と育児・介護の両立支援制度の活用に関する指針について(平成30年3月30日職職―81)」は、廃止します。
 
    以   上
 
別添(HTML形式による表示上、正しいレイアウトとなっていません。PDFも御参照ください。)
 
妊娠・出産・育児・介護と仕事の両立支援制度の活用に関する指針
 
Ⅰ 妊娠・出産・育児・介護と仕事の両立支援制度の基本的考え方
 少子高齢化の進展や生産年齢人口の減少が続く我が国において、誰もが個性や能力を十分に発揮できる社会を実現することは一層重要な課題となっている。公務においても、複雑かつ高度な行政課題に直面する中で、国民に対して質の高いサービスを提供していくためには、個々の職員の希望や置かれている事情に応じた働き方が可能となる働きやすい勤務環境を整備し、職員の能力を十分に引き出す必要がある。
 妊娠・出産・育児・介護に関する事情(不妊治療に関する事情を含む。以下同じ。)を有する職員も、意欲を持って職務に従事し、最大限に能力を発揮することができるよう、全ての職場において、妊娠・出産・育児・介護と仕事の両立を尊重する職場風土の形成や、必要な体制整備等を進め、両立支援制度が適切に活用されるようにしなければならない。
 また、両立支援制度は、職員が妊娠・出産・育児・介護に関する事情に対応できるようにするためだけではなく、職員が勤務を継続し、キャリアを形成していくことができるようにすることによって、能率的な公務運営に資するためのものでもあることを踏まえることが重要である。
 
Ⅱ 人事担当部局及び管理者の役割
 1 制度利用の円滑な請求等のための勤務環境の整備
  ⑴ 制度の周知、研修の実施等
 ① 人事担当部局は、「妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント」の防止を含む両立支援の必要性、両立支援制度の基本的考え方及びその概要並びに両立支援制度の利用の促進に関する方針(注)を職員に周知する。特に、課室長等の管理者に対しては、周知を徹底する。
 (注)「両立支援制度の利用の促進に関する方針」として、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」(平成26年10月17日女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会決定。令和3年1月29日一部改正)に基づき各府省等が定める「女性職員活躍と職員のワークライフバランスのための取組計画」が考えられる。
 ② 妊娠・出産等をしたこと、両立支援制度の利用の請求等をしたこと又は両立支援制度を利用したことを理由とする不利益な取扱いは国家公務員法等で禁止されており、人事担当部局は、こうした不利益な取扱いを生じさせることがないよう徹底するとともに、職員に対し、こうした不利益を受けないことを周知する。
 ③ 人事担当部局は、職員を両立支援制度に係る研修に参加させる。この場合において、特に、新たに職員となった者に両立支援制度に関する基本的な事項について理解させること、管理者に両立支援の必要性や本指針に掲げる管理者の役割について理解させることに留意する。
 ④ 人事担当部局は、職員の両立支援制度の利用の状況等を踏まえ、個人のプライバシーに配慮しつつ、その利用に関する事例の収集を行い、職員に対して参考となる事例を提供する。その際、性別、職種、勤務形態等にかかわらず、様々な職員が両立支援制度を利用していることが明らかになるよう配慮する。
 ⑤ 人事担当部局及び管理者は、近年、不妊治療を受ける者が増加し、それに伴い、生殖補助医療による出生児の割合も増加している状況の下、職場において不妊治療を受ける職員が一定数いること、不妊治療が特別なものではないこと等を認識し、不妊治療を受けやすい職場環境を醸成する必要がある。
   そのためには、不妊治療の実態やプライバシーへの配慮についての理解が必要であり、不妊治療は排卵周期に合わせた通院が必要となるため、通院日が突発的に決まり、特に体外受精や顕微授精を行う場合には頻繁な通院が必要となること、これに伴い、不妊治療を受ける職員が、出生サポート休暇を始めとする両立支援制度を利用する日時をあらかじめ決めることは困難であること、プライバシーへの配慮が必要であること等について、人事担当部局は、制度の周知、研修の実施等を通じ、職員の理解を深める。
  ⑵ 相談体制の整備
人事担当部局は、職員からの両立支援制度に関する相談を受ける職員を配置し、相談を受ける日時及び場所を指定する等必要な体制を整備する。また、相談体制を職員に対して明示する。
 
 2 妊娠・出産・育児・介護に関する事情についての申出に関する措置
  ⑴ 申出をしやすい雰囲気の醸成
 人事担当部局及び管理者は、妊娠・出産・育児・介護に関する事情が生ずることが見込まれることとなり、又はそのような事情が生じた職員が、両立支援制度の利用を希望する場合には、そのような事情について人事担当部局又は管理者に早めに申し出ることが望ましい旨を周知するなど、申出をしやすい雰囲気の醸成に努める。その際、職員に対し、個人のプライバシーに配慮する旨を周知する。
  ⑵ 申出があった場合の個別の制度周知等
① 人事担当部局及び管理者は、職員から妊娠・出産・育児・介護に関する事情についての申出があった場合には、当該職員の意向を踏まえ、個人のプライバシーに配慮しつつ、申出の内容等を共有し、連携して、当該職員に対して利用できる両立支援制度等についての情報提供を行う。
② 育児に関する両立支援制度は、対象となる職員や子の年齢、利用することができる日数、回数等が様々であることを踏まえ、人事担当部局及び管理者は、職員の希望や育児の事情等に応じて計画的に制度を利用するよう職員に助言する。
③ 介護と仕事の両立を実現するためには、介護は、自ら行うのみでは対応できないことも多く、要介護者の居住する市区町村の窓口やケアマネジャー等と相談し、介護保険サービスの利用などにより介護の体制を整える必要があることを踏まえ、人事担当部局及び管理者は、職員に助言を行うなど適切に対応する。
  ⑶ 妊娠・出産等についての申出があった場合の制度利用の奨励・意向確認
① 育児の負担が依然として女性に偏っている実態がある中で、男性による育児を促進することは、男性のワーク・ライフ・バランス推進のみならず、女性の活躍促進のためにも極めて重要である。このため、人事担当部局及び管理者は、男性職員から配偶者の妊娠・出産等についての申出があった場合には、特に、配偶者への支援が必要となる子の出生直後の時期における育児休業、配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇の取得を始めとして、育児に関する両立支援制度の利用を奨励する。
[参照:「国家公務員の男性職員による育児に伴う休暇・休業の取得促進に関する方針」(令和元年12月27日女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会決定)]
② 人事担当部局及び管理者は、職員から本人又は配偶者の妊娠・出産等についての申出があった場合には、育児に関する両立支援制度の利用の請求の意向を確認するための面談等の措置を講ずる。
 
 3 制度を利用しやすい勤務環境の整備
  ⑴ 業務体制の整備、代替措置の実施等
① 管理者は、両立支援制度を利用する職員の業務が、必要に応じて周囲の職員によっても処理できるよう、日ごろから業務に関する情報の適切な共有化を推進するとともに、業務の遂行方法や業務分担を工夫する。
② 管理者及び人事担当部局は、職員から両立支援制度の利用の請求があった場合にはこれを承認できるよう、業務の効率化、業務分担の見直し、交替制等勤務等の勤務形態の変更、任期付採用の活用等を含む人員配置上の対応など、当該職員の業務を処理するために最適な措置を講ずる。
③ 両立支援制度を利用する職員が勤務しなくなること、勤務時間が短くなること等により周囲の職員の業務負担が増大することは、「妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント」の原因や背景となる。このため、管理者及び人事担当部局は、業務体制の整備、代替措置の実施等を行うに当たっては、特定の職員に負担が偏らないよう十分に配慮する。また、人事担当部局は、恒常的に両立支援制度を利用する職員が生じることを見据えて要員を確保する必要がある。
  ⑵ 超過勤務の縮減、年次休暇の取得促進等
① 超過勤務の縮減及び年次休暇等の取得促進は、職員が両立支援制度を利用しやすくするためにも重要であり、管理者及び人事担当部局は、取組を一層強化する。
② 管理者は、両立支援制度を利用する職員に超過勤務等を命ずるに当たっては、両立支援制度が、職員が妊娠・出産・育児・介護に関する事情に対応できるよう支援するものであることを考慮する。例えば、超過勤務の免除を請求した職員に対する超過勤務命令はもちろんのこと、勤務の後に育児・介護等を行うために早出勤務やフレックスタイム制を利用している職員に対する超過勤務命令は、可能な限り避ける必要がある。特に育児短時間勤務職員については、その勤務時間がフルタイム勤務職員の勤務時間より短く設定されている趣旨から、超過勤務又は宿日直勤務を命じなければ公務の運営に著しい支障が生じる場合を除き、これらの勤務は命じられないこととされていることに留意する。
③ テレワークを活用した働き方は、妊娠・出産・育児・介護を始めとする事情のために時間制約等がある職員の能力発揮やワーク・ライフ・バランスの実現にも資するものである。管理者は、職員からテレワーク勤務の申告を受けた場合、申告内容、希望者の職場勤務での実態等を総合的に勘案して、職員の希望を踏まえてテレワーク勤務を命じ、特に、このような時間制約等がある職員については、できる限り希望のとおりテレワーク勤務を行うことができるよう配慮する。
  ⑶ キャリア形成・職場復帰の支援
① 管理者及び人事担当部局は、職員から両立支援制度の利用について相談を受けた場合には、適切に助言をしつつ十分に話し合い、両立支援制度の利用期間並びに利用中及び利用後の働き方について、職員と認識を共有するよう努める。利用開始後においても必要に応じ確認する。
② 管理者又は人事担当部局は、職員に対して両立支援制度の利用について助言等を行う場合は、職員の妊娠・出産・育児・介護に関する事情等を踏まえるとともに、将来に向けたキャリア形成を考慮する。例えば、育児休業からの復帰時期について、育児短時間勤務の利用により早めること、育児短時間勤務の利用について、フレックスタイム制への切替えを行うことなどを提案することも考えられる。なお、このような職員の事情やキャリア形成を考慮した提案は、「妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント」に該当するものではないが、職員に復帰等を強いられたとの誤解を生じないよう、十分な意思疎通が必要である。
③ 人事担当部局は、両立支援制度の利用等により、キャリア形成に必要となる業務を一般的な時期に経験できなかった職員であっても、それぞれの能力・実績等に応じ、職業生活を通じて十分に活躍できるよう、別途それらの業務を経験する機会を設けるなど、一般的なキャリア形成の時期や方法にとらわれない柔軟な人事管理を推進する。
④ 管理者及び人事担当部局は、職員が両立支援制度を利用しながらでも活躍できるよう、業務遂行の在り方を随時見直す。
⑤ 管理者及び人事担当部局は、職員の育児休業又は介護休暇終了時の円滑な職場復帰のため、職員の希望に応じて休業・休暇期間中に職務に関連する情報を定期的に提供するほか、必要に応じ、職務復帰直後に休業・休暇期間中における業務のフォローアップ研修等を行う。
⑷ プライバシーへの配慮
 管理者及び人事担当部局は、不妊治療を受けている職員が、不妊治療を受けていることやその具体的な内容を周囲の職員に知られたくないと考える場合が多いことを認識し、不妊治療を受けている職員が、出生サポート休暇を始めとする両立支援制度を利用するに当たり、当該職員のプライバシーが守られるよう、十分留意する。
 また、人事担当部局は、職員が出生サポート休暇を請求する際、休暇簿の理由欄の記載に当たって、通称である「出生サポート休暇」や人事院規則における出生サポート休暇の根拠規定の条項等の番号を用いることも差し支えないことについて、管理者及びその他の職員に周知する。
 
 4 非常勤職員の両立支援
 妊娠・出産・育児・介護といったライフイベントが生じ得ることは、常勤・非常勤といった勤務形態で異なるものではなく、本指針は、常勤職員のみならず非常勤職員も対象とするものである。
 非常勤職員は、その採用時期や任期が区々であることから、人事担当部局は、時期、頻度等に配慮して制度周知及び研修を実施する。また、制度によっては、その内容、対象職員の範囲等が常勤職員と異なる点があることから、その点に留意して周知等を行う。
 
Ⅲ 実施体制等
① 人事担当部局は、幹部職員の定例会議の場などで、育児・介護に関する両立支援制度の部局ごとの利用状況並びに次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)及び女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)に基づく特定事業主行動計画に基づく措置の実施状況について定期的に報告を行い、これらの両立支援制度の利用の促進を図る。
② 人事担当部局は、人事院が設ける「妊娠・出産・育児・介護と仕事の両立支援に関する連絡協議会」等の場を活用して、必要な情報交換等を行う。
 

別紙1
 妊娠・出産に関する両立支援制度(概要)
 妊娠・出産に関する女性職員の健康・安全・福祉制度(概要)
 (常勤職員・非常勤職員)
 育児に関する両立支援制度(概要・常勤職員)
 育児に関する両立支援制度(概要・非常勤職員)
 育児に関する両立支援制度の活用例
別紙2-4
 育児に関する両立支援制度の併用について
別紙3-1
 介護に関する両立支援制度(概要・常勤職員)
別紙3-2
 介護に関する両立支援制度(概要・非常勤職員)
別紙3-3
 介護に関する両立支援制度の活用例
別紙3-4
  介護に関する両立支援制度の併用について