人事院月報 2024年5月号 No.897
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()― 浪速少年院ではどのような業務を行っているのでしょうか。浪速少年院は、大正一二年、大阪府茨木市に我が国最初の少年院として、多摩少年院東京都八王子市と同時に設置されました。現在は、主として近畿地方の家庭裁判所で少年院送致決定を受けた一八歳から一九歳までの犯罪・非行少年を収容し、その健全な育成と社会復帰への支援を通じて再犯防止を図っています。二課二部門で構成され、教育部門では、少年の問題性を改善して社会適応を図るための矯正教育を実施し、支援部門では、少年の帰住先の調整、就職、復学・進学など、円滑な社会復帰のために必要な様々な支援を行っています。また、医務課は少年の心身に係る医療及び健康管理を担当し、庶務課は適切な生活・教育環境が保たれるよう、各課部門と連携し、教育・支援の基盤づくりを担っています。― 浪速少年院について、他の少年院と異なる特徴をお聞かせください。最大の特徴は、長年にわたり、職業訓練の専門施設であったことです。昭和三九年に職業訓練施設として指定されて以降、西日本全域の少年院から訓練生を受け入れ、様々な職業資格・技能を習得させることに取り組みました。平成二七年の現行少年院法施行により、職業訓練専門施設の制度は無くなりましたが、再犯防止の前提となる安定した就労生活への足掛かりとして、職業指導はなお重要です。浪速少年院で長年培われてきた指導基盤は現在も健在であり、加えて令和五年▲設置当時の浪速少年院法務省 浪速少年院大正12年に我が国初の少年院として設置され、以降100年もの長きにわたり、非行少年の改善更生に尽力。少年院の原点としての歴史を継承しつつ、社会情勢の変化も踏まえ、情熱と使命感を持って職務を遂行し、公務の信頼の確保と向上に大きく貢献したことが認められました。人事院総裁賞「職域部門」受賞08「手塩に掛ける」教育~非行少年たちと共に歩んだ100年間

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