人事院月報 2024年5月号 No.897
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に役立ちますが、同じ属性にいる人の間でも考え方や価値観は異なります。このため、「多様性といえば○○問題」という形で対象となる属性を限定せず、個人間には複数の差異があり潜在的な対立要素を抱えていることを自覚し、自らも多様性を構成する一部だと認識することで顕在化した違いだけにとらわれないというのが米国における多様性の一つの考え方だと学びました。まるものだと感じます。どのような政策も完全に価値中立的であるということはなく、何らかの価値を実現するためにルールを設定したり、企業や国民に行動を促したりしています。エビデンスに基づく政策立案や科学的な妥当性という観点は欠かせませんが、全員が賛成する政策が難しい中では、何が起きるかという定量的な説明のみならず、なぜその政策が必要なのか、どのような価値を重視したものなのかという視点も大きな役割を担うのではないでしょうか。こうした考えは行政官の仕事でも当ては早いもので留学生活もまもなく折り返しとなりますが、大学院での勉強も米国の社会についても、広い世界のほんの一部しか知らないということに気づかされる毎日です。執務を離れて五感で学ぶ機会をいただけたこと、派遣期間中も手続等でサポートしていただいている方々に改めて御礼を申し上げるとともに、残りの一年間も貴重な機会をいかして様々な経験をしていきたいと思います。(さいとう・しゅんすけ)おわりに大学院の同級生たちとの一枚34

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