人事院月報 2024年5月号 No.897
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SNSは、スマートフォンの画面を通して各個人がつながることができるサービスですが、このSNSが登場してから現在に至るまで、写真、動画、ライブ配信など様々な技術の進化がありました。今もなおコミュニケーションの中心として利用者が増えているポイントは「共感」という言葉に集約されているようです。SNSは日常の投稿からライブ配信まで、それぞれのユーザーが、「どのようなものを体験し、誰がどのような考えなのか」を可視化できるツールになっている、と言い換えることもできるでしょう。現在、行政や企業などの組織も、SNSに積極的に取り組み、それぞれの組織の認知の獲得、イベントの募集、サービスの宣伝など、様々に活用しています。これら組織のSNSアカウントは、個人の発信と異なり、運用の方向を定めることが難しく、「SNSを投稿すること」が目的化してしまう例も少なくありません。そのような場合、肝心な共感者を獲得できないうえに、SNSは、ウェブサイトの一部を切り出すような、一つの「おしらせサービス」になってしまいます。 このようなことにならないためにも、組織のSNSアカウントは、SNSの運用に目的を持ち、公式に発信していきたい内容を自分たちで議論することが重要です。また、発信内容も伝えたい内容のトーンがバラバラでは情報を受け取ったSNSの一般ユーザーには届きにくくなります。拙著﹃シェアする美術Sマーケティング戦略﹄(翔泳社)でも、SNS運用の心得を運用の最も重要なポイントとして記していますが、まさに、何を打ち出すかを整理しておくことで、筋の通ったSNSアカウントになります。SNSを組織で運用していく場合、環境をしっかり準備する必要があります。運用する環境とは、組織の理解とSNS担当者、またはチームの設置になります。組織については、SNS運用を決定した時から、マネジメント層の理解を得て、きちんと準備をしてSNSアカウントを立ち上げることが大切です。また、組織のSNSに対する認識が、企業情報やプレスリリースと同等に捉えられ森美術館のSN組織はSNSとどう向き合うべきかSNSの環境づくりと担当者の養成  個人間のコミュニケーションツールのSNSを組織がどのように活用するべきか。多くの行政、企業が今も手探りでSNSを日々運用しています。行政情報の発信はビジネス的な企業投稿とは異なり、より難易度の高い運用が求められます。情報を必要としている層に向けてどのように発信していくべきか。行政のSNSアカウントはより丁寧にユーザーに向き合う姿勢と理念が鍵になるでしょう。コラム35人事院 広報プランナー洞田貫 晋一朗SNSの活用と求められる発信

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