野のぐち口 英ひで毅き ― 野口さんが従事されている業務の内容をお聞かせください。私の所属している海上保安庁交通部は、船舶交通の安全を確保するため、海上の交通路となる航路の制定や、灯台やブイ等の航路標識の設置・管理を行っています。船は国をまたいで人や物を運ぶことから、これらの航路や航路標識は、条約や基準等により国際的に統一することが必要です。私は、国際的な海運の条約や基準を作成している国際海事機関や、航路標識の国際基準を作成している国際航路標識協会に参加して、これらの条約や基準の策定に従事しています。― 海上交通に関する国際基準の策定に大きく貢献されたとのことですが、野口さんの具体的な役割をお聞かせください。現在、船に搭載されているデジタル航海機器に、「AIS(船舶自動識別装置)」というものがあります。これは、海上に実際のブイがなくても、デジタル技術を利用して、レーダーや航海用のディスプレイに仮想的にブイを表示させることができる装置です。この表示に使われるシンボルは、航路の右側や左側等を示すブイの種類まで表示させることができなかったことから、平成二二年に、日本が新たなシンボルや使い方のガイドラインを作成することを、国際海事機関に提案しました。私は、この作業のために設置された作業部会の議長として、二年間、各国の意見を取りまとめ、シンボルとガイドラインを完成させました。また、現在では、国際航路標識協会のデジタル技術委員会の議長として、新たなデジタル航海機器や海上無線通信機器の基準作成の取りまとめ等をしています。海上保安庁交通部企画課 国際・技術開発室専門官野口さんは、海上交通業務の国際分野での第一人者として、国際会議で議長を務めるなど、他国を牽引。安全かつ能率的な船舶交通の実現のための国際基準を策定し、国内技術の国際標準化を実現させるなど、日本の国際的地位の向上及び国益の確保等に大きく貢献したことが認められました。人事院総裁賞「個人部門」受賞04世界をリードして海上交通のデジタル化を推進
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