人は間違いをするものであり、Ⅲ又はⅣのような人の注意に頼った低減措置は望ましいものではなく、Ⅰ(又はⅡ)のとおりハザードそのものをなくし、どのような状況であれ災害が起きないようにする必要があります。しかしながら、図3のⅠ又はⅡのリスク低減措置は、予算確保や工事期間を要する場合があるので、すぐにはできない場合があります。そのような場合、Ⅰ又はⅡの措置を終えるまでの当面の措置として(当該ハザードを放置せず)、Ⅲ又はⅣの措置を行うことも必要です。ハザード例① フロアのタイルのずれなど)リスクの見積り 床の固さ(けがの程度)、通路の使用頻度や段差の高さ(発生頻度)でリスクを見積もるリスク低減措置 【安全管理担当の取組】スロープを設ける。タイルを整える(ずれの原因を取り除く)【職員ができる取組】通路の移動において手を自由にしておく(大荷物を両手で抱えたり、ポケットに手を入れて移動しない)ハザード例② リスクの見積り 床の固さや物品の形状(けがの程度)、物品が放置される頻度(発生頻度)でリスクを見積もるリスク低減措置 【職員ができる取組】整理整頓(【安全管理担当の取組】単に片付けるだけでは再度放置される可能性があるため、別途収納棚を設けて片付ける場所の確保も必要である)ハザード例③ リスクの見積り 床の固さや周辺の物品の形状(けがの程通路等の凹凸(段差やOA転倒した場合にぶつかる通路等に放置された物品転倒した場合にぶつかる床等のコード類転倒した場合にぶつかる④ リスク低減措置の実施 優先度が決まれば、その優先度に応じて、リスク低減措置を行います。このリスク低減措置は、限られた予算や時間で一度に全てを行うことができないため、計画を立てて、必要があれば複数年かけて実施します。また、予算の都合等で必ずしも優先順位どおりできない場合がありますが、その場合でも、当面の応急措置を実施しつつ、計画を見直し、最終的には特定されたハザード全てについて、リスク低減措置をやりきることが重要です。なお、リスク低減措置を行ったゆえに、別のハザードが発生する場合、あるいはリスク低減措置が必ずしも有効に機能しない場合もあります。このため、リスクアセスメントを一巡し、リスク低減措置を実施した後も改めてリスクアセスメントを実施して、更なるリスク低減措置を行い、より安全な職場形成に努める必要があります。三 事務作業に存在するハザード(危険源)とリスク低減措置の例実際のリスクアセスメントの実施例として、事務作業におけるハザードの例とリスク低減措置の例について紹介します。リスクの低減措置の内容の検討図308
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