持っているのは雲の上の成層圏の大気をめぐる風がどのように変化しているのかということです。―この仕事に就くきっかけは何だったのでしょうか。[原田]気象庁で季節予報を担当している部署に異動した後、全球的な大気循環を日々監視していくという仕事をしていました。その仕事で長期再解析のデータを使うのですが、データの作成に関わる機会がありました。今後も長期再解析の品質を評価したり、それを使って解析的な業務をしたりしたいと希望し、こちらに来ました。大学卒業後にそのまま研究者になる方が多いと思うのですが、私は四〇歳を過ぎてから研究者になりました。気象庁に入って色々勉強しているうちに、今のような仕事がやりたいと思うようになりました。[小林]大学で物理学を学んでいたのですが、もっと生活に生かせる科学がしたいと思い気象庁を選びました。気象庁では季節予報を行っている部署や異常気象の解析を行っている部署で仕事をしていましたが、そのうちに研究所で仕事がしてみたいと思うようになりました。―今の仕事が社会貢献につながったなと感じたのはどんなときでしょうか。[小林]私たちの仕事は、基盤のデータを扱う仕事なので、直接社会に貢献するとい感じはなかなかないのですが、研究者の方々や若い学生さんがデータを使ってくださって、時々これがあるから仕事ができましたと言ってもらったりすることがあり、社会貢献を感じられます。[原田]長期再解析データは生の観測データと比べると比較的取り扱いやすいです。気象学の入門データというわけではないのですが、大学の学生さんに使ってもらって、すごく助かった、というような話は私も聞くことがあり、頑張って出して良かったなと思えます。―今後の抱負をお聞かせください。[小林]季節予報に役立つ何かが見つけられないかなと思っています。長期予測はとても難しい分野なので、それに役立つ要因をデータの中から見つけ出せると良いなと思っています。夢はあるけど、夢のままかもしれないですけどね。まだ人が気が付いてないところに気付きたいです。[原田]今後も長期再解析に少しでも貢献していきたいです。また、それを活用して丁寧な解析的な研究を続けていきたいです。初めて書いた論文が面白かったと言ってもらえたので、またそのような論文が書けたら良いなと思っています。小林さん好きな天気は「晴れ」。つい研究に集中して家でも仕事をしたいこともある、とおっしゃるとおり、研究に対する熱意にあふれた方でした。原田さん好きな天気は「雪」、北海道のスキー場のナイターでは七色の雪が見られることもあるそうです。終始楽しそうにお話しされる姿が印象的でした。12
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