[山内]小学生の頃に、アメリカのボイジャーという惑星探査機が木星や土星の探査をしていたのですが、それを見て天文や惑星探査に興味を持ちました。中学生、高校生の頃は望遠鏡を作ったり、プラネタリウムを作ったりということに熱中していました。天文や自然を観察したかったのと、物を作るのが好きだったので、両方にまたがるようなことをやっていました。大学に入ってからは航空宇宙工学を学びました。ロケットは目的地に飛んで行くまでに大気中を飛んで行くので、気象の勉強もしました。気象の勉強をしているうちに、わざわざ木星まで行かなくても、地球にも面白い気象の現象があることに気づき、大学院を卒業した後気象庁に入庁しました。―どのように観測をしているのでしょうか。[山内]研究室内にある装置で電波を発生させて発射し、雨雲に当てて、返ってきた電波を受信するという形で観測しています。電波の送受信を行う装置は直径が四メートルほどあります。返ってきた電波が強いほど雨が強いということになるのですが、大体の強さであって本当の強さはすぐには分かりませんでした。二重偏波レーダーを使うと水平と垂直の方向にそれぞれに振動する波の違いにより、粒子の形や正確な雨の強さがよく分かるようになりました。―研究用の装置などのメンテナンスは研究者自身が行うのでしょうか。[山内]年に一回業者の方に行っていただく以外は自分たちで行っています。昔は一週間くらいで汚れてしまい掃除をしなければならなかったのですが、今は年に一回の掃除で済むようになりました。―今後の抱負をお聞かせください。[山内]最新の技術を使って、より正確で信頼のできる気象情報を出せるように研究室室長の山内さんにお話を伺いました。山内さんの研究室では、二重偏波ドップラー気象レーダーという装置を用いて、雨の強さや、雨・雪・あられといった降水粒子の判別をいかに行うかを研究されています。―どのような研究をされているのでしょうか。[山内]私の研究室では、レーダーを使った観測を通じて大雨や突風、発雷といった顕著な現象を予測するための研究をしております。―今の仕事に就くきっかけを教えてください。続いて、台風・災害気象研究部第三研究最新鋭・二重偏波レーダーによる観測山内さん好きな天気は「秋晴れ」。仕事では雷などの激しい天気の研究を行っているが、プライベートではあまり好きではないとのことです。取材に伺った日は、年に一度のメンテナンスの時期だったので、間近にアンテナを見ることができました。この角度でアンテナを見られるのは大変貴重です。13
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