を続けていきたいと思っています。室主任研究官の荒木さんと気象予報研究部第五研究室主任研究官の田尻さんにお話を伺いました。―研究内容について教えてください。[荒木]災害をもたらす雲について研究しています。気象庁から発表される警報や注意報等の防災気象情報の高度化につながるような研究をしています。[田尻]研究室としては雲物理という分野を扱っています。雲がどのようにできて、最終的に降水になるのか、というところをターゲットにしています。私自身は室内実験を行っているのですが、大気中のエアロゾルからどう雲粒や氷の粒が発生するのかということを雲ができる環境を制御できる装置を用いて調べています。ときには野外観測も行います。―この仕事に就いたきっかけを教えてください。[荒木]数学が好きで、数学を使って身近な分野の研究がしたいと思っていました。その中の一つとして気象学を選びました。元々理論研究をしていたのですが、気象大学校卒業後、地方の気象台で予報の現場に携わる中で、気象学は防災のための学問であると思いました。また、予報が難しい現象があるのですが、それがどうして難しいのかを気象台でも調査研究していました。その中で雲について分かっていないことが多いということに気付き、こちらに移ってきました。[田尻]大学では物理学を学んでいたのですが、研究室の中には大気物理を扱うところがありました。実験やフィールドに出て観測したりするのが面白そうだと思い、気象分野に進んだのがきっかけです。おおまかに、理論・実験の研究アプローチがある中で計測装置を自作して野外観測するところに興味を持ちました。―一日のスケジュールはどのようになっていますか。[田尻]私は主に室内実験に取り組んでいるので午前に準備し、午後に実験を行っています。実験のスケジュールを優先し、合間に解析をしたり、観測装置の運用状況を見たりしています。―台風などの顕著な気象現象が起こった場合、現地まで出かけていくことはありますか。[田尻]台風のような顕著な気象現象のみを対象とするのではなく、ある場所に観測装置を長期間設置し、そこにできる雲やその発生環境を計測するということを行って最後に、台風・災害気象研究部第二研究日々の積み重ねで新しい装置が稼働荒木さん好きな雲は「積乱雲」。雲が発生して衰弱するまで大体30分から1時間くらいで、大きく姿かたちが変化するところが面白いそうです。田尻さん好きな雲を尋ねたところ、形というより、雲の中で粒子がどう成長し、雲粒なのか凍っていないのかが気になります、とのことでした。 14
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