います。どういったときにどのような雲が出現するのかといった、基礎的なところを研究しています。[荒木]私の研究室では顕著な気象を対象にしています。集中豪雨の原因になる線状降水帯の雲をターゲットにする場合は、毎日最新の予測資料を確認して、ゾンデ観測といって気球にセンサーを付けて上げます。気象庁内のチームで行っているので、どこの地点で何時に上げるのかを打ち合わせしながら行っています。研究所でどのような観測にするかを計画して現場に協力を仰ぎながら行う形なので、その場に自分で行くことはあまりないです。みんなで協力しながらやっています。―荒木さんは今放送されて話題になっているドラマ『ブルーモーメント』の気象監修をされていますが、どのようなことを行ったのでしょうか。[荒木]このドラマは気象災害をテーマに扱うものでして、主人公が気象研究所の研究官です。あくまでドラマのストーリーがベースで、そこに科学的に大幅な飛躍が無く、上手い具合に表現できるようなところを製作のスタッフの方と調整しました。気象庁職員としてではなく、個人の活動として関わっています。使って研究をしています。(写真の)新型に至るまで技術開発を行ってきて、今では気象庁のシステムで使われるようになりました。今は船舶などに載せられるよう小型の物を技術開発しています。―今後の抱負を教えてください。[荒木]マイクロ波放射計は、本年三月からようやく日々の予測にデータが使われるようになりました。本庁の業務に貢献して防災情報を高度化するというところに生かされてきているものの、まだ現象として分かっていないところは数多くありますし、線状降水帯の研究も発展途上なので、そういったところを突き詰めて、より防災に貢献できるように研究したいと思っています。[田尻]降水の状況は気象レーダーを見ればある程度分かるのですが、降る前の段階で、雲が発達して雨になるのかどうか、すなわち、水蒸気が水滴になるかというところにマイクロ波放射計が使えます。各種レーダーと併せて、雲ができるところから実際に降るところまでをつなぐ装置として重要だと思いますので、観測性能の向上に携わっていきたいです。貴重なお話をありがとうございました。屋上で、荒木さんや田尻さんが研究開発を行っているマイクロ波放射計を見せていただきました。[荒木]これまでは一日に二回気球を打ち上げて観測していましたが、積乱雲の発達は三〇分程度のため、その前の状態を把握するのは難しいことでした。この測器を使ってリアルタイムに空がどう変化しているのかを観測することで、何が起こって線状降水帯のような大雨をもたらす雲ができるのか調べることができます。田尻さんとは一〇年以上前からマイクロ波放射計を屋上にはこの最新型のマイクロ波放射計以外にもたくさんの測器が設置されていました。15
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