人事院月報 2024年6月号 No.898
23/40

れない。 と、請求者の勤務態度に起因して処理した業務の件数が極めて少ない、単純な作業以外はほとんど行わず、所内の関係部署との連絡が十分でないなど、通常の係員に比して請求者の事務量は限定的であり、かつ、困難度の低いものが多かったものと認められ、また、上司の名前を乱暴に呼び、周囲との間で協調性を欠く行動を取るなどしていたものと認められる。務を行わず、定型的な業務の実施にとどまったこと、指示された作業の一部を拒否したこと、自ら作成したプログラムについて、上司等から再三にわたる説明の要請があったにもかかわらず、十分な説明を一切行わず、プログラムの作成が組織の業務の効率化に結び付くことはなかったことなどが、それぞれ認められる。さらに、業務の依頼をしても対応せず、上司や同僚とのコミュニケーションを適切に行うことができていなかったことが認められ、改善措置や警告書の交付を経ても、これらの状況に改善が見られなかったものと認められる。ないまま勝手に書き換えたと主張するが、請求者の勤務の状況について見てみるまた、請求者は、その後も指示された業請求者は、評価者が業務目標を話合いの業績評価の業務目標の設定に関しては、人事評価の基準、方法等に関する政令により「業績評価に係る評価期間において職員が果たすべき役割について、業務に関する目標を定めることその他の方法により当該職員に対してあらかじめ示すこと」及び「業績評価の評価期間の開始に際し、被評価者と面談を行い」、当該果たすべき役割を確定することが求められている。この点について、当局の対応をみると、請求者の設定した業績目標には請求者の所属する部署の所掌でない業務に係る目標が記載されていたため、評価者は、被評価者である請求者との面談を行って業務目標案を示し、修正すべき箇所や追加したい業務目標があれば申し出るよう伝達した上で、再び面談を行い、請求者から業務目標としてふさわしい目標への修正等の申出等がなかったことからやむを得ず当該業務目標案を業務目標として定めたことが認められる。このことから、業績評価に係る業務目標の設定については、業務目標を話合いのないまま勝手に書き換えたと評価されるものでも同令に違反するものでもなく、不当なものとは認められない。また、請求者は、改善措置に関し、請求者に示されていたのは当局が作成した改善措置に係る資料のうち一部のみであり、請求者が改善措置による改善に向けた取組から排除されていたと主張するが、当局側と請求者との間で行う振り返りの面談の際に、請求者からヒアリングを行い、振り返りを行って、振り返りの中で把握した改善措置の進捗状況を踏まえて翌月の到達点を決め、決まった到達点を請求者に提示してそれを踏まえて請求者が一月間業務を行うというサイクルが繰り返されていたことが認められ、請求者は、面談において到達度に関する当局側と請求者の認識の違いを確認し、翌月の到達点について意見を述べるなどの機会を有していた等の状況が認められる。よって、改善措置に係る資料のうち一部が請求者に示されていなかったとしても、請求者に対しては、自らの職務遂行に関し改善すべき事項を明確に認識するために必要な情報が示されていたものと認められ、その他改善措置に不当な点は認められない。以上のことからすると、請求者は、勤務実績が不良と認められ、改善措置を通じて上司等が指導等を繰り返し行ったにもかかわらず、なお勤務実績が不良の状態が改善されず、行(一)二級の職務を遂行することが困難であると認められることから、処     21

元のページ  ../index.html#23

このブックを見る