人事院月報 2024年6月号 No.898
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行政措置要求事案に関する判定分者が請求者について法第七五条第二項及び規則第四条第一号イに該当すると判断したことが、違法又は不当であるとは認められない。●職場の勤務環境についての安全上の配慮に関する要求(要求を棄却したもの〔事案の概要〕あった職員Aからパワー・ハラスメント(以下「パワハラ」という。)を受けた結果、適応障害を発症し、主治医が作成した診断書には「休職前に対人関係上のトラブルのあった上司とは別の系統の部署に異動させることが望ましい」旨が記載されているにもかかわらず、当局は診断書にあるような配慮を行っておらず、また、申請者の健康状態に必要な配慮を行っていないとして、勤務環境についての安全上の配慮を求めて、行政措置要求を申請した。て申出があった職員Aの言動について、当局は、職員A及び複数の関係者に事情聴取(令和五年九月一四日判定一三―二三)申請者は、以前の配属先において上司でなお、申請者からパワハラに当たるとし・ 主張① ・ 主張② を実施し検討した結果、パワハラには該当しないと判断した。また、現在、申請者と職員Aは別の官署に配属されており、申請者は複数官署における同種の事務を集約処理する部署に配置されている。なお、本件要求に当たり、申請者はおおむね次のように主張している。当局は診断書にあるような配慮を行っておらず、申請者は、現在も職員Aと接触することへの懸念を有しており、安心して職務に向き合うことができない。当局に対して健康上のことも切実に訴えているにもかかわらず、当局は、業務が多く大変とされる現在の部署に申請者を配置しており、申請者の健康状態に必要な配慮を行っていない。〔人事院の判断〕主張①について 請者が事務処理を行う対象の官署には含まれていないこと等から、申請者が業務を遂行するに当たり、職員Aと接触する可能性は基本的にはないとみるのが相当である。また、関係者の陳述によれば、申請者の健康状態や職務遂行状況等について気になる点は特にないとのことであり、申請者が職職員Aの配置先は、申員Aとの接触を懸念して業務遂行に支障が生じている様子は認められない。別の系統の部署への異動を行う以外に職員Aとの接触を防ぐ適当な方法がないとは必ずしもいえず、現に申請者が職員Aと接触する可能性が基本的になくなっていることも踏まえれば、当局が診断書にあるような別の系統の部署への異動という措置を行っていないことが、現状において適切でないとは認められない。主張②について ついて、申請者の上司二名の間で情報共有するとともに、体調面の変化等について注視する体制や、申請者の健康状態の変化に応じて具体的な措置を講ずる体制がとられていることを踏まえると、申請者が現在の部署に配属されていることをもって、申請者の健康状態に対する必要な配慮が行われていないとはいえない。申請者に付与された指導区分及び事後措置等は、健康管理医が自ら申請者との面談を行い、自身の所見を根拠として、慎重に経過を見ながら行われており、指導区分解除後に再度、申請者が病気休職となる等の事実も確認できないことから、適切に行われたとみるのが相当である。申請者の超過勤務時間数からすれば、申申請者の健康状態等に  )二       22

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