災害補償審査申立等事案に関する判定 三 請者にとって過大な業務負荷となっている状況は見受けられず、また、欠勤等もないなど、申請者の現在の勤務状況を総合的に勘案すれば、申請者の現在の配置において健康上の理由から十分な職務遂行を行えない状況となっているとは認められないことから、当局が申請者に対して改めて指導区分を付与するなどの特段の措置を講じていないことが、現状において適切でないとは認められない。康状態に関する当局の対応が適切でないとは認められないことから、申請者の各要求は認められない。●くも膜下出血に係る公務上の災害の認定(申立てを容認したもの)〔事案の概要〕ろ、平成X年三月Y日から頭痛が始まり、翌日、急激な頭痛に見舞われて意識を失い、搬送先のC病院でくも膜下出血(以下「本件疾病」という。)と診断された。以上のとおり、申請者の勤務環境及び健(令和五年六月二九日判定)申立人は、A局B所で勤務していたとこ実施機関は、申立人が従事した業務等によって、申立人がかねてから有する血管病変等の病態を自然的経過を超えて著しく増悪させて本件疾病を発症したものとは認められず、公務上の災害とは認められないと認定した。これに対して、申立人から、業務により相当な緊張感を強いられる状況が継続し、業務量も膨大であった。本件疾病発症前に従事した業務に伴う負荷により本件疾病の発症に至ったものであり、公務上の災害と認められるべきであるとして、申立てがあった。〔人事院の判断〕脳血管疾患が公務上の災害と認められるためには、心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災害の認定指針において、発症前に、通常の日常の業務に比較して特に量的に又は質的に過重な業務に従事したか、あるいは、業務に関連してその発生状態を時間的、場所的に明確にし得る異常な出来事・突発的な事態に遭遇したかのいずれかにより、医学経験則上、当該疾患の発症の基礎となる病態をいわゆる自然的経過を超えて著しく増悪させ、当該疾患の発症原因とするに足る強度の精神的又は肉体的な負荷を受けていたことが必要であるとされている。申立人は、平成X年三月Y日から頭痛の症状があり、その後も症状が続いたことから、医学経験則上、この時点でマイナーリークと呼ばれる少量の出血があり、翌日の意識喪失時に大きな出血を起こした可能性が高いと考えられる。これらのことから、申立人は、同月Y日に本件疾病を発症したものと認められる。申立人によれば、課内で一番遅くまで残っている職員が執務室の鍵を返却する時刻に一緒に帰ることが多く、昼の休憩時間は四〇分程度を業務に充てていたとし、これら申立人の主張は、いずれの同僚の陳述においても裏付けられる。そこで、執務室の鍵の返却時刻を念頭に、昼の休憩時間に勤務をしていたことも加味し、本件疾病発症前六か月間の申立人の超過勤務時間を概算すると、発症前六か月間における一か月当たりの超過勤務時間の平均は約七〇時間となり、調査結果にある申立人の勤務状況からすると、その勤務密度は通常の日常の業務と比較して同等以上であったと認められる。申立人は、課の管理業務に加え、D会議の新設及び運営等、E規制区間の新規設定に向けた調整、F規制に係る新たな情報連23
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