人事院月報 2024年6月号 No.898
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給与決定審査申立事案に関する決定携体制の整備等の業務に従事した。これについて、D会議は、管内での先駆けとしての取組であり、多数の関係各機関の意見調整等を行う必要があり、同僚によれば、D会議に関する膨大な業務のほぼ全てを申立人が一任されていた状況であったとしている。E規制区間設定については、急きょ対応が求められた前例がない取組であり、同僚によれば、先行事例的な役割が期待され、方向性や道筋をどう定めるかなどの案を率先して作成することが求められ、作業のボリュームや時間的な切迫度からも申立人に負担感があることは明白であったとしている。F規制に係る情報連携体制の整備については、申立人は、本省担当部局との折衝を繰り返したとされ、同僚によれば、本省担当部局に了承を得る作業はとても労力が必要であったとしている。以上の点を踏まえると、申立人は、対外折衝等で著しい精神的緊張を伴うと認められる業務に相当程度の期間従事し、疲労が蓄積していたものと認められる。去の平均回数を大きく上回る一〇回にわたり行われた。特に台風の接近に伴い行われたG規制については、同僚によれば、申立人は、中心的、指導的な役割と責任を負い、申立人が担当した年度には、G規制が過     )四   不眠不休の状態で対応し、休養はほぼ取れていなかったとしている。また、申立人は、平成X年三月に、H事案への対応、Iを指摘する通報への対応といった特別な事態の発生に対応した。これについて、H事案への対応については、同僚によれば、年度末の多忙の中、短期間での対応が求められたとし、Iを指摘する通報への対応については、同僚によれば、見えない敵と戦っている感じで、B所での二年間の業務経験の中で、最も精神的にきつく、負担が大きい出来事であったとしている。以上の点を踏まえると、申立人は、G規制の対応に加えて、本件疾病の発症に近接した時期に当たる年度末の繁忙期に、H事案やIを指摘する通報という特別な事態が発生し、それらに対応するため、日常は行わない強度の負荷を伴う業務の遂行を余儀なくされたものと認められる。同僚によれば、申立人は、出張回数が多く、官用車での移動中も、打合せ等を行い、官用携帯電話の受信履歴やメール着信履歴を頻繁にチェックしていたとしている。以上の勤務状況を総合的に評価すると、申立人は、本件疾病発症前に、本件疾病の発症原因とするに足る強度の精神的又は肉体的な負荷を受けていたと認められる。申立人は、定期健康診断の高脂血症との診断結果に基づき、健康管理医の診察を受けたものの、経過観察を要するとされたにとどまり、特段の服薬の処方等はされておらず、通常どおり生活していたことからすれば、申立人は、基礎疾患を有していたものの、日常の業務を支障なく遂行できる状態であったと見ることが相当である。以上のことから、申立人は、通常の日常の業務に比較して特に過重な業務に従事したことにより、基礎疾患を自然的経過を超えて著しく増悪させ、本件疾病を発症したと見ることが相当である。以上のとおり、申立人の申立てに係る災害については、公務と相当因果関係をもって発生したものと認めることが相当であるので、実施機関はこれを公務上の災害と認定すべきである。(令和五年六月一五日指令一三―一七)●勤勉手当の成績率の決定(申立てを棄却したもの〔事案の概要〕申立人は、令和三年一二月期の勤勉手当24

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