人事院月報 2024年6月号 No.898
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岐うどんでしょう。総務省の令和四年家計調査によれば、「生うどん・そば」の一世帯当たり年間支出金額(購入)は、高松市は五、七六四円で全国第一位(第二位は長野市五、〇二二円。全国平均三、五七四円)。「日本そば・うどん」(外食)の年間支出額においても一万三、九六三円で全国第一位(全国平均五、九一一円)となっています。県は温暖で降雨が少ないという瀬戸内特有の気候条件により米の安定的な生産が難しく、代わりに上質の小麦が生産されていたこと、塩田による塩づくりが盛んであったこと、また、小豆島の醤油、さらに、伊吹島沖で採れるカタクチイワシを加工した新鮮な「いりこ」で取られる出汁など、うどん文化が生まれ育つ好条件がみごとにそろっており、うどん県が生まれるのも納得がいきます。コシのあるもちもちした麺の感触に加え、全部飲み干してしまえるほど風味高い出汁の格別の美味しさが讃岐うどんの魅力であるといえます(高松空港ロビーに出汁の出る蛇口があるのはご存じの香川の文化といえば、言わずもがな、讃なぜ香川県がうどん県なのか?香川方も多いと思います)。もちろん、人口一万人当たりの「そば・うどん店」事業所数を見ても全国平均一・九九を大きく上回り、香川県は五・〇八と全国一位です(「令和三年経済センサス動調査」)。なお、筆者は当地に赴任後、高松市中心部にある約三〇件の店を制覇し、今後は郊外店がターゲットです。また、近年、県では国の支援を受け、「UDON」の海外販路拡大に向けた取組も進めています。実はこのうどん、現在主に原料として使われている小麦は製麺に適したオーストラリア産の麺用小麦ASW(オーストラリアン・スタンダード・ホワイト)という品種です。しかし、県産小麦の良さを活かそうと研究が進められており、平成一二年(西暦二〇〇〇年)に開発された県産小麦「さぬきの夢2000」、二代目の「さぬきの夢2009」に続き新たに生まれた後継品種が昨年「さぬきの夢2023」と名称決定されました。県産小麦の、切れやすい、伸びやすいという点が改良されたこの小麦、今後本格栽培に入り、令和九年産までに、従来品種から全面的に栽培を切り替えることが目標とされています。将来一層風味や食感の高い味わい深いうどんがいただけることでしょう。今年一月の能登半島地震で甚大な被害を被った石川県の被災地において、香川県内の製麺業者等の組合が三日間で二、〇〇〇食の讃岐うどんの炊き出しを行い、避難生活を送られている方々を激励しました。温かい香川のうどんは、身体だけでなく、多くの人々の心も温め、元気や勇気を与えることにも役立っています。少し話を転じますが、能登半島地震において被災地の支援・調査のため、国土交通省四国地方整備局では、のべ二〇〇人以上のTECFORCE(緊急災害対策派遣隊)を派遣し、また、第五管区海上保安本部高知海上保安部では、巡視船を派遣し、七尾港等海上からの給水支援活動を行いました。高知港での帰還式の様子が新聞やテレビ等で報じられました。・・・「」-活-香川といえば、さぬき茹でたて麺、生卵、だし醤油の味わい「釜玉うどん」33

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