人事院月報 2024年7月号 No.899
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最近の筋トレに関する研究子供を寝かせてそのまま寝てしまうの元々名言というか、台詞を考えようとい気に入っているというか、自分に言い聞かせたいのは「やるか、すぐやるか」、「頑張るか、超頑張るか」ですね。―筋トレ研究の潮流について教えてください。九〇年代の終わりぐらいまで重たいものを上げ下げするのが筋トレだというのが絶対的でした。最低でも一五回くらいできる重さ、つまり一回上げられる重さの六~七割くらいになりますが、それ以上軽くなると筋肉が付かないというのが共通認識でした。それを打ち破った最初の研究が血流制限、加圧トレーニングです。僕の恩師の石井先生の研究室でやっていたのですが、加圧トレーニングでは、筋内環境を過酷にすることでだいぶ軽いものでも筋肉を付けることができます。その次が僕が二〇〇六年に博士論文で取り組んだいわゆるスロトレですね。スロートレーニングは、ややゆっくりと力を抜かずに動作することで、高い筋内圧が維持されて血流が制限されるので、加圧トレーニングと似たような状況を作ることができます。二〇一二年のカナダのミッチェル※1の研究は革命的でした。革命的というか、そんな当たり前のことにどうして誰も今まで気づかなかったんだろうというような研究です。そんなに大きな負荷でなくても、目一杯やりきれば、筋肉がしっかり付くのではないか、というものでした。一回上げられる全力の重さの八割の負荷で一〇回ぐらい行うのが、従来の標準的な方法ですが、全力の三割の負荷でも完全に反復不能まで行えば、それと変わらないぐらい筋肉が大きくなることを示しました。また、ブルームケスト※2というデンマークの研究者は動作範囲を目一杯使って反復すれば、小さな動作で行う場合の半分ぐらいの重さに減ってしまうものの、その方が筋肉が付くことを示しました。かつては、「高負荷で一〇回」がずっとスタンダードだったのですが、三〇回~四〇回ぐらいまでできるぐらい負荷を下げても、また、動作範囲を大きくすることで負荷を下げても筋肉は大きくなるということが、近年の共通認識となっています。僕はやっぱりしっかり筋肉を付けるには重い負荷をかけるべきだろう、高回数はめんどくさい、と反発していたところがあったのですが、ちょうどその頃に筋肉体操の話が来ました。工夫をして自体重でも徹底的に追い込める方法を考えていくと楽しくと思いますが、今はどのように過ごされていますか。で、九時に寝て四時くらいに起きます。起きたら仕事の時間です。大学には早く行きます。そしてとても早く帰ってきます。―先生は名言をたくさんお持ちですが、いつ思いつくのでしょうか。うのはなかったです。僕が筋トレをやっているときに自然に思っていることを体操のテンポに合わせて入れてみました。『みんなで筋肉体操』の最初の回での「あと五秒しかできません」がすごく話題になったみたいで。そう言われて、そんなに刺さるんだ、となってからはすごく考えるようになりました。第二弾からはもう完全にコピーライターの気持ちになって、楽しみながら考えています。基本的にはトレーニングしているときに思いつきます。本気でトレーニングすることで、当事者の気持ちで考えるのが大事ですね。行動することで思いつくというのはありますね。―一番気に入っている台詞は何ですか。10

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